2008.09.22
  • twitter
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

石橋をたたいて渡る・・危険察知能力を磨く・・

明石市立王子小学校 主幹教諭 原田 幸俊

台風13号が爪痕を残しながら通過していきました。自然の力には、人間の力ではどうしようもないときはありますが、危険を察知してそれを回避する能力はあると思います。
自分も何十年も前、大学時代に高知に住んでいたのですが、台風による豪雨で川の堤防がが決壊して、市内が水浸しになった経験があります。昭和51年頃でしょうか? 古い話ですね。でもその時、寮の1階は水没し、ろうそくの明かりの中でラジオを聞いて一夜を過ごしたのですが、ラジオに入る市民からの情報は実にせっぱ詰まったものでした。途中からは、自分の身は自分で守ってください。と繰り返しラジオのアナウンサーが放送していたのが今も耳の奥底に残っています。あの時はすごかったです。友人が下宿の外の様子がいつもと違う事に気づき、様子を見に出た直後に裏山が崩れ下宿が埋まってしまい命拾いをしたと話したのも昨日のことのようです。

教育現場でも一つ判断を間違うと大変な状況になり、取り返しのつかないことが起こります。校外学習などの行事、体育、理科…思い浮かべてください。いろんな状況が目に浮かびます。先日、理科の授業で空気圧で飛ぶペットボトルロケット、よくあるやつなのですが・・。A先生が実験をしていたのですが、(もちろんA先生は安全に細心の注意を払っていますので事故など起こりませんでした。)、その時の状況を見ていてA先生があらゆる状況を想定し細心の注意を払っていたからこそ、事故にはならなかったのだなと考えさせられました。
 一言で言うとペットボトルロケットが全く子どもたちが思っている方向と違う方向に飛んでいったのです。もし人がいたらとぞっとしました。私が想定していた方向とも、全く違う方向です。そばで見ていて、ぞっとしました。自分だったら、その様な配慮をしただろうか? やはり自分の想定以上に危険を回避する為の策は講じないといけないだろうなと考えました。そういった意味で石橋をたたいて渡ることが大切なのです。ちなみに通常で考えたらそんな方向に飛ばないのです。A先生もそのように言っていました。沢山の子どもたちが使い、尾翼やジョイント部分が微妙に変形して軌道がとんでもない方向になったようです。最初に実験したクラスでは考えられない軌道でした。

 私自身が背筋が凍った体験は、理科クラブでアルコールランプを使って実験をしていた時です。口が酸っぱくなるほどアルコールランプの使い方を説明し、アルコールランプから別のアルコールランプに火を移したらどうなるかということも、こんなことまでと思いつつ説明しました。若かったんですね。子どもたちに伝わったと思ってしまったのです。ある子どもが自分のアルコールランプの火が消えたとき、やったんです。隣のランプから火をもらいに行ったんです。それを見たときぞっとしました。叫びました。時既に遅しですね。机にこぼれたアルコールに引火しました。幸い私の着ていたジャージをかぶせると消える程度だったのですが。これは、子どもを責められないです。子どもは、こちらが考えない行動をしますし、1回の説明で理解できるわけはない。ましてや楽しい実験です。頭では理解してもその通りの動きはしないと考えて指導しなければいけないのです。

 もちろん、石橋を叩きすぎて渡らせないのではいけないのです。安全上問題があれば補強し、最前の状態で渡らせるのです。二重三重の安全策が必要でしょうね。

 これは、学校だけではなく家庭でも同じです。もちろん過保護もいけません。治るすり傷は、あってもいいのです。完治不能な傷は、心の傷も含めつくってはいけないのです。
私達教師、保護者はその辺りを肝に銘じて、指導したり、見守ったりしながら子どもを育んでいかなければいけないと思います。

 少しタイトルとずれてしまいました。今日はこの辺りで・・

原田 幸俊(はらだ ゆきとし)

明石市立王子小学校 主幹教諭
小学校の低学年の教育に関心があり、細々と研究を続けています。特に生活科や幼少の連携について興味があります。韓国の教育についても低学年教育はいろいろ共通点が多く興味を持っています。

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop