2008.08.05
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新学習指導要領と給食の民間委託

東京都 栄養教諭 宮鍋 和子

【新学習指導要領と食育】

各学校に「新学習指導要領」が配布され、次年度の教育計画について先生方が頭を抱えていることと思います。これまでの改定と大きく異なるのは、教えなくてはいけない内容が「増えた」ということ。そして、時数はほとんどかわらない。では、増えた内容をどこに組み込んでいったらいいのか・・・

先日、教務の先生から、「『食育』の希望時数を早めに出してほしい」とのお声賭けをいただきました。これまでの内容だけでも各教科時数がきつきつの中、総合の時間も削られ、さらに「食育」。どの教科のどの単元を「食育」と絡めていくのかを早めに知りたいのでしょう。本校でも、昨年度、年間計画を作成し、どの学年のどの単元が「食育」とリンクできるのかの洗い出しをおこないました。そのため、大まかな枠組みはできているものの、学年を追って食育を進めていくと、「あ~これも取り組めるな」「こんなこともできるのではないか」と手直しの必要性を感じます。「去年の1年生はこれをできたけれど、今年の1年生はこの段階ではない。」「昨年の4年年生ではこれは扱えなかったが、今年は3年生からの積み重ねがあるからここまでできる!」段階をおっての“学び”の大切さも実感しました。


【栄養教諭と給食の民間委託】

東京でもやっと本年度から「栄養教諭」が5名採用になりましたが、これまでの「栄養士」としての仕事にプラスして「栄養教諭」としての仕事がはりつくため、みなさん、土日もなく働きつめてもまだ追いつかないとのこと。他県の栄養教諭さんのお話を伺っても、「立ち上がったばかりだから、2・3年は、がんばらないと」と、「とにかく私たちがこの制度を起動に乗せる!!」という意気込みが伝わってきます。

「栄養教諭」としての職務に追われる中で一番簡素化したいのが「給食事務」の分野でしょう。文部科学省は、給食調理業務を委託しても献立の作成・発注・指示書の作成は行政の栄養士の仕事であり、栄養教諭も当然これを担うべきと考えていますが、労働局は、「委託・請負契約の場合、食材の発注や調理指示はそれぞれ請け負った会社が責任を持って行わなくてはいけない」という見解を示しています。「食材」は手放したくない、しかし、仕事量は多すぎる。法的には委託・請負した段階で一緒に委託すべき内容・・・
はて、さて、あと何年で、食材も含めた委託になるのか。企業の栄養士の活用も考えたら「栄養士」自体の職種の存続も・・・

「食育」「栄養教諭」「委託・請負」学ばなくてはいけないことはまだまだありそうです。

【新学習指導要領 総則】
第1章 総則
第1 教育課程編成の一般方針  ―3
・・・特に,学校における食育の推進並びに体力の向上に関する指導,安全に関する指導及び心身の健康の保持増進に関する指導については,体育科の時間はもとより,家庭科,特別活動などにおいてもそれぞれの特質に応じて適切に行うよう努めることとする。

宮鍋 和子(みやなべ かずこ)

東京都 栄養教諭
定時制高校、聾学校(高・専)、中学校と勤務し、2007年春より小学校に勤務することになりました。学校給食を通して、子どもたちと一緒に、成長できたらと思います。

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