2008.07.16
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「変わらない」というスクールアイデンティティ

学校法人山陽学園 山陽女子中学・高等学校広報室長 野村 泰介

 私の勤める山陽女子中学・高校の冬の制服は全国的にも珍しい、ワンピースの紺色セーラー服。その基本デザインが誕生したのは今から74年前、昭和9年(1934年)のことです。その後、何度かマイナーチェンジされましたが、「ワンピースの紺色セーラー」という形は守り続けられています。白ラインの入ったワンピースの紺色セーラー服にスクールカラーであるオリーブグリーンのネクタイといえば岡山で知らない人はいないという程親しまれています。

 70年以上大切にされているワンピースの制服ですが、学園の図書館の資料室に、この制服をデザインした人のコメントが残されていましたので紹介します。制服をデザインしたのは、昭和9年当時、被服の教師であった立岩孝代という人です。

立岩孝代コメント
 ―昭和5年、米国から帰りましてすぐ山陽に奉職いたしました頃の制服はツーピースでした。スカートはギャザーでしたので町の男子学生が山陽の腰巻と云って笑うと生徒が申して嫌がりましたため、「制服は変えられないのですか。」と上代淑校長先生に相談いたしましたところ、早速、職員会議をして下さいまして、変更が決定いたしました。そのときのうれしかった事は忘れられません。私にデザインを命ぜられ、ツーピースとワンピースの三体製作いたしました。まさかワンピースが合格するとは思いませんでした。先生方は全員がワンピースが良いと決定いたしました。
 あの当時、学生服は全部ツーピースでしたが、ワンピースの方が良いと思いました。セーラー服にしたのは、若さを表現してみたかったからです。
 昭和5年、アメリカから帰国した時、東京の学習院の制服がセーラー服でした。とても可愛らしく美しく気品があり、顔うつりがよくきれいに見えました。山陽の生徒さんは、今の制服を見ると誰でも美しく見えると言ってくださいました。―


昭和初期、ワンピースのセーラー服は当時の最新ファッションだったようですね。さて、山陽学園では2年前、創立120周年記念事業の一環として、70年以上愛されている制服をアピールしていこうということで「制服モバイルクリーナー」を製作しています。生徒にデザインをお願いし、2000個限定で作り、学園が参加するイベントなどで販売したところ大変な反響でした。
詳しくはhttp://www.sanyojoshi.com/archives/50517140.htmlを参照してください

 「山陽学園といえばワンピースの紺色セーラー服。」目まぐるしく変化する現代社会の中、あえて「変わらない」ということがスクールアイデンティティの確立になることもあるようですね。

野村 泰介(のむら たいすけ)

学校法人山陽学園 山陽女子中学・高等学校広報室長
今年創立125年の女子校の広報を担当しています。岡山市内唯一の女子校として、その特色をアピールできればと思います。

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