2006.04.04
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子どもたちのみている世界

子どもを持つ親にとって、少年非行や事件へ巻き込まれることへの不安の大きい昨今。現代を生きる子どもたちは、毎日の生活において何を見、自分の生きている社会をどうとらえているだろう?子どもたちの成長にともなう親達の不安を彼等はどう感じ取っているのだろうか? 彼等の生活感覚を知るために、首都圏郊外新興住宅地に住む任意の小学5年生、中学2年生各5名に対し、ひとりひとりと向かい合いながら話を聴いた。(学びの場.com特派員/森川千鶴)

対象

首都圏郊外新興住宅地に住む小学5年、中学2年生各5名

14才は、義務教育を終えようとしている基礎的な学力を修得しつつあり、身体的・心理的に自分と他をわけて考えることができるようになる年齢で、心身の変化にともなう自意識の発達のプロセスにある時期で身体的に第二次性徴期にかかっている年齢でもある。
一方、10才を境に他者と自分の違いというものの意識が芽生え、13才前後にその葛藤によるいろんな変化が起こるといわれている。これらのことから、今回の対象年齢を設定し、この年代における心身の発達やひとりひとりが置かれている環境を推察するために、個別のヒアリング調査を実施した。
今回のヒアリングでは、親の承諾が得られることを対象者の条件とした。

時期

2005年2月25日~5月6日

手法

近隣の公共施設・ミーティングルームでの対面インタビュー。
平日の放課後、もしくは週末の空き時間で一人当たり1.5時間~2時間程度。
聞き手:森川千鶴(編集・コーディネーター/自身にも小学5年と2年の娘がいる。)

項目

次の項目について、感じていることや実際の行動について尋ねる。
具体的な質問は、後述。
聴き方は、ヒアリング当日のそれぞれのこどもの様子に応じて変えている。
・ 学校(勉強、先生)、友だち
・ 家・家族(親、親以外の家族、食事、生活)、地域(遊び場や人とのかかわり)
・ 心とからだ(自分自身の変化)
・ 将来・ゆめ(今大事にしてること、習っていること)

子どもたちに尋ねたこと

1. 朝起きて寝るまでの一日の時間の使い方を教えてください。
2. いちばん好きな時間、きらいな時間は?
3. ひとりでいる時ってある?何をしてるの?
4. 今、夢中になっていることはある?
5. 嫌なこと、恐い思いをしたことってある?
6. うざいときってどういう時?
7. 好きな場所はある?
8. 行ってみたいところは?
9. あこがれの存在っている?
10. 学校以外に友だちはいる?
11. 親や先生と話をしてる?
12. 親や先生にいいたいことは言える?自分の気持ちを話せる?
13. 親や先生にどういう時に怒られるの?
14. うそをつくことはある?
15. 親や先生以外に、話ができる大人っている?
16. 仲のいい子は決まってる?
17. テレビや新聞のニュースは見てる?
18. おこづかいはもらってる?
19. 塾には行ってる?
20. ゲームはやる?
21. ケータイ持ってる?
22. 苦手なことってある?
23. その他

本リポートの構成

1.子どもたちの話
できるだけ子どもの話しことばと、話の流れを忠実に再現した。聞き手側の言葉の記述を省くことでアンケート結果的な記述を避け、報告を目にする側 が読み物としてひとりひとりのこどもの違いにふれやすいようにした。また年度の切りかわりの時期であったことから、年齢別にではなく、インタビューした日付順に、10人の子どもの話を整理している。

2.子どもの言葉から動かされたこと、気になったこと
子どもの言葉から、聞き手が気になった視点を掘り起こした。また発せられた言葉だけでなく、表情や雰囲気から伝わってきたことを聞き手として感じたことからも加味していった。

3.ヒアリングを経ての考察
子どもたちへのヒアリングから得た共通する気付きや、今後さらに深めたいと思われた視点について、考察する。
学びの場.comでは、2005年1~2月にかけてサイト上で「親たちの子育て不安アンケート」が実施された。子どもたちが感じている生活実感について、その結果も踏まえた考察を言及する。

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