2004.02.24
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授業に使える画像データベース集!

今回は、授業で使える画像コンテンツのデータベース特集! 教室では行えない化学実験を収録した動画や、珍しい昆虫の生態を撮影した映像、衛星から撮影した貴重な画像などを無料で提供しているサイトを紹介します!

インターネットが普及したことで、授業の時に、これまでビデオやスライドで見せていた画像コンテンツを、ネットを通じて容易に入手することが可能となった。ダウンロードして、生徒に提示したり、教材を作成する際に利用するなど、そうしたデジタルコンテンツは、様々な使い道が考えられる。教室では行えない化学実験を収録した動画や、珍しい昆虫の生態を撮影した映像、衛星から撮影した貴重な画像など、使い方次第では、子ども達の理解を深めるのに、かなり有効な手段となるものも多い。今回はそのような教育向けデジタルコンテンツを提供しているウェブサイトの中で代表的なものを幾つか紹介する。

教育用コンテンツ検索

ネット上から活用できるコンテンツを集めて

トップページ。キーワード検索のほか、教科や目的から絞り込むこともできる。

トップページ。キーワード検索のほか、教科や目的から絞り込むこともできる。

教育情報ナショナルセンター(NICER)

NICERの「教育用コンテンツ」は、授業で使うためのデジタルコンテンツが、すぐに見つけられるように開発された検索システム。ネット上には静止画や動画を公開しているウェブサイトが数多く存在するが、そうした中から教育に利用できるコンテンツに対して直接リンクが張られ、キーワードを入力して検索をかければ、求めている素材を探し出せるようになっている。

和楽器、手話の画像も充実

和楽器、手話の画像も充実

そうしてフリーキーワードを入力して全文検索する以外に、カテゴリーごとに検索することも可能で、小学生用教育コンテンツ14410件、中高生用教育コンテンツ22203県、先生用教育コンテンツ37912件と、その数は膨大なものとなっている。その他にも授業の指導計画や指導案を集めたものや、文教行政情報、手話、伝統芸能などのカテゴリーでも検索を行うことができ、授業で使うコンテンツを探す以外にも、情報収集や特別活動での活用なども考えられる。
著作権に関するQ&Aも

著作権に関するQ&Aも

ただし、そこにあるコンテンツは、様々なサイトから集められたものなので、著作権の所有者は、それぞれ異なってくる。そうしたことに関する注意点は、サイト上で案内されているので、よく読んでから使う必要がある。

教育用画像素材集

項目を順に追いながら画像を探す

独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)

1月5日から、独立行政法人情報処理推進機構として新たにスタートしたIPA。そこではIT化の推進に向けては、情報教育の支援が欠かせないものとして、授業等への二次利用が可能な画像コンテンツを集めて、サイトを通じて公開している。

インデックスページ

インデックスページ

トップページから、理科の実験や歴史記録映像、和楽器の演奏場面にいたるまで、幅広く集めた「教育用画像素材」と、働く人たちの姿など仕事に関する画像を収めた「産業用画像素材」を選択することができ、そこから求めている画像を、すぐに見つけられるように、「大項目」→「中項目」→「小項目」と順を追って、探すようになっている。例えば「教育用画像素材」の、「大項目」に表示されている「自然現象」をクリックすると、「中項目」に飛ぶが、そこにある「天体」を選ぶと、「小項目」にある「日食」や「銀河系」に関する画像を見つけ出せる。また、「インターネット美術館」では、写実主義や印象派などに分けられた美術作品の画像を見ることもできる。

 そして、「産業用画像素材」では、林業や水産業に関する仕事のデータや、新聞制作の行程などが紹介されているので、子ども達に社会の仕組みを学ばせたり、職業意識を身に付けさせる際に、そこにあるコンテンツを活用することができる。

教育用画像素材活用事例集

授業での活用ポイントもアドバイス

 トップページ

トップページ

情報ネットワーク教育活用研究協議会

コンピュータ教育開発研究センターの平成14年度「教育用画像素材活用のための調査及び開発作業」により開発されたサイトで、学年別や教科別に分けて収録されている素材は、授業でスムーズに導入できるように、活用場面や、使用する場合の留意点、活用のポイントなどが、丁寧に解説されている。

インデックスページ

インデックスページ

例えば、5年生・理科「台風と天気の変化」では、人口衛星から撮影した台風の静止画や、台風で大波が押し寄せる岸壁の動画などが紹介されているが、単にそうした画像を公開するだけでなく、授業の導入部で子どもの興味を喚起させ、学習の意欲を持続させるために使用した方が良いといったことや、図書資料やWebからの情報も併せて収集させるといった、アドバイスなどが紹介されている。

 また、キーセンテンスとして、ピアノ産業や新聞が届くまで、和楽器といったカテゴリーで、コンテンツが紹介されている。
和楽器では、普段は見ることができない、雅楽の篳篥や笙を奏でている場面が動画として公開され、子ども達に社会の仕組みを学ばせたり、職業意識を身に付けさせる際に、そこにあるコンテンツを活用することができる。

NASDAフォトライブラリー, NASDAムービーライブラリー

貴重な宇宙に関する画像を提供

フォトライブラリーのトップページ

フォトライブラリーのトップページ

宇宙開発事業団

NASDA(宇宙開発事業団)には、多くの宇宙開発に関する画像が集められ保存されているが、そうした画像の一部は、ホームページ内にあるライブラリーのコーナーで公開され、教育に関しての利用ならば、自由に使用することが許可されている。

ムービーライブラリーのトップページ

ムービーライブラリーのトップページ

「フォトライブラリー」コーナーに保存されている静止画像は約4000枚。人口衛星を使って撮影された、日本海付近の海面温度やアマゾンの原生林の写真、スペースシャトル内で行われた実験の記録など、他では見ることができない貴重な画像も多い。また、宇宙未来図や月面基地など、未来を構想した想像図も公開されており、見ているだけでも宇宙への好奇心が刺激される。
インデックスページ

インデックスページ

そして、動画を公開しているのが「ムービーライブラリー」のコーナー。そこには宇宙ロケットや人口衛星の打ち上げの記録が映像として残されているほか、日本人宇宙飛行士としてスペースシャトルに搭乗した若田光一さんが、宇宙服を着用する様子や、ロボットアームを修理する姿が記録されている。

算数・数学の思考過程をイメージ化する動画素材集

公式や定理をアニメーションで分かりやすく

トップページ

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株式会社NHKソフトウェア

算数や数学で学ぶ公式や定理は、言葉で説明するよりは、図形などを使って視覚を通して教えた方が、子どもにも理解されやすい。このサイトには、立体図形の展開図や因数分解などが、一目で理解できるように約30秒程度のアニメーション動画となって収められている。

インデックスページ

インデックスページ

収録されている素材は全部で60クリップ。それぞれ、「小学校 低・中学年」(15クリップ)、「小学校 高学年」(12クリップ)、「中学校1年生」(14クリップ)、「中学校2年生」(6クリップ)、「中学校3年生」(13クリップ)に分けられている。
例えば、小学校高学年で習う三角形の内角の和は180°といった定理も、これまでは紙で作った図形を黒板に張りながら説明していたのが、音声による解説付きの動画を見せることで、生徒の理解を早めるのと同時に、授業にかける先生の手間も軽減させられる。
また、このコンテンツを、すぐに使えるように、授業での活用例も、動画として収録。授業において、先生が収められたコンテンツを使いながら、生徒に対して公式を説明する様子が紹介されている。

理科実験・観察クリップ集

手順を確認し、化学実験を円滑に行う

トップページ

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株式会社学習研究社

中学校の理科において、自然や化学の理解を深めるためには、実験は欠かせないものとなるが、準備や手順が煩雑であるため、先生にかかる負担が大きく、どうしても敬遠されがちである。そこで、実験・観察を行うための一連の流れを分かりやすく解説したのが、このサイト。ここに紹介されている手順に沿って、実験を行っていけば、効率良く授業を進めることができる。

手順、動画、ワークシートが見やすく整理されたインデックスページ

手順、動画、ワークシートが見やすく整理されたインデックスページ

内容に関しては、第1分野は「身近な物理現象」「身の回りの物質」「電流とその利用」「化学変化と原子、分子」「運動の規則性」「物質と化学反応の利用」、第2分野は「植物の生活と種類」「大地の変化」「動物の生活と種類」「天気とその変化」「生物の細胞と生殖」「地球と宇宙」といったように、テーマが分けられており、その中から行ってみたい実験の項目を選んでいく。例えば、酸素を発生させる実験の項目を選んだ場合、まず実験の手順をPDFファイルとしてまとめられたもので確認。そして、臭いの嗅ぎ方や試験官への集め方など、注意すべき点を動画クリップで確認していくことになる。

授業に活用できるデジタルコンテンツライブラリー

授業では行えない危険な実験を公開

トップページ

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富山デジタルコンテンツ活用教育推進協議会

文部科学省の平成14年度「デジタルコンテンツの活用高度化推進事業」として開発されたサイトで、その名前にもあるように授業で活用できるデジタルコンテンツが、「小学校編」、「中学校編」、「高等学校編」に分けて紹介されている。

インデックスページ

インデックスページ

「小学校編」で主に紹介されているのが、理科や社会の授業で使えるようなコンテンツで、川の流れや水害対策など、教室の中では見ることができない自然の様子を、動画を通じて見ることができる。「中学校編」はコンピュータの中はどのような仕組みになっているか、家庭や社会のどこにコンピュータが活用されているかを理解してもらうための画像が用意されている。そして「高等学校編」では実際に教室で行うには危険を伴う化学実験や物理実験の様子を収めた動画を公開している。
そうしたコンテンツの活用場面を教えてくれるのが、豊富な活用事例。指導案がPDFファイルで分かりやすく単元ごとにまとめられているので、そのコンテンツをどのように使えば、生徒の興味をうまく引き出せるかが分かるようになっている。

マルチメディア素材資料

地域の歴史や自然を写真で紹介

トップページ

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岐阜大学総合情報メディアセンター

岐阜大学総合情報メディアセンターが、学習システム研究会の協力を得て、教育用の使用を目的に集めた画像の中から、授業に活用できるものを選んで公開しているサイト。

インデックスページ

インデックスページ

「社会科・地域学習関係」のコンテンツは、地元の岐阜県に関するものが中心となっており、水害に悩まされた輪中地域の人たちの暮らしなどを写真で見ることができる。また、「理科関係」のコンテンツも、長良川の源流から河口までの様子や、岐阜県に生息する動植物の写真など、地域に根ざしたものが多く集められている。岐阜県の学校が自分達の住んでいる地域を学ぶのに、そして他県の学校が岐阜県のことを学習する際に活用できるものとなっている。

 また、素材検索の機能により、キーワードさえ入力すれば、サイトに収録されているデジタルコンテンツの中から、求めているものを、素早く見付けることができる。

さらに、地域学習から発展させて、全国の文化や自然に目を向けられるように、秋田県・本庄市の伝統工芸や、神奈川県・八ヶ岳の画像など、学習ソフトウェア情報研究センターが主催するプロジェクトⅣで収集された素材の一部も公開されている。

長良川を知ろう~あなたの自然体験活動を支援 ~

長良川で体験学習を行うために

トップページ

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地域資料情報化コンソーシアム

長良川での体験活動を支援していければという考えから、「平成14年度 子どもゆめ基金助成活動」の助成を受けて制作されたのがこのサイト。体験学習における事前学習などに、このサイトにあるコンテンツを利用することで、より楽しく長良川のことが学べるようになっている。

インデックスページ

インデックスページ

トップページからは、「長良川の様子」「長良川と活動」「長良川の生活文化」を見ることができ、「長良川の様子」では、川の上流・中流・下流の、それぞれの地域で撮影された様々な写真や動画を紹介。それと同時に、どのようなそれぞれの地域ではどのような魚が生息しているかを知ることができる。

 「長良川と活動」では、子ども達がボートで川下りを楽しむ様子や、キャンプをするためにテントを組み立てる様子が静止画と動画で紹介されている。

 そして、「長良川の生活文化」では、美濃和紙の作り方や輪中地帯特有の水門、長良川の鵜飼の様子などが紹介されているので、社会化の授業で、地域の文化を教える際の活用が考えられる。

aglance(アット ア グランス)

欲しい画像をリクエストできる

オンデマンド日本語教育用写真のトップページ

オンデマンド日本語教育用写真のトップページ

e-dream-s

このウェブサイトはNPO法人であるe-dream-sが運営する画像サーチエンジンで、「教育用海外写真」と「オンデマンド日本語教育用写真」で構成されている。

教育用海外写真のトップページ

教育用海外写真のトップページ

「教育用海外写真」には、世界56ヶ国、約6000枚の画像が収録され、国別やジャンルごとで画像を探す以外に、キーワードを入力して、求めている画像を見つけ出すことができる。例えば、「祭り」という言葉を入力すると、キリスト教最大の祭りであるスペインのセマナ・サンタや、カナダ・トロントの祭りなどの画像があがってくる。こうした画像は常にメールを通じて一般から募集されており、日増しにその内容を充実させている。
インデックスページ

インデックスページ

そして「オンデマンド日本語教育用写真」は、日本語や日本の文化を学ぶ学生や教師に向けて画像を提供するサイトになるが、欲しい画像をリクエストすると、協力者から写真が提供されるシステムになっている。手順としては、サイトにアクセスして「リクエストする」のコーナーに希望する素材を入力すれば、数日後には「リクエスト一覧」で紹介され、1週間後には望んだ画像が掲載されるというもの。1ヶ月間は掲載されているので、非営利目的で教育機関で利用するものならば、誰でも使用することができる。

日本語教育用視聴覚リソースデータベース

日本語を学習するために画像を利用

トップページ

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外国語学習メディアセンター長 畑佐一味

外国人に日本語を教えるために活動する日本語教師に画像素材を使ってもらうための写真集サイト。パデュー大学外国語外国文学科内に設置されているテクノロジー支援言語学習研究センターの援助を受けて行われているプロジェクトで、デジタルカメラで撮影されたお店の看板や標識などの画像が数多く集められている。そこにある画像は、日本人からすれば、どこでも見かけるような当たり前の写真ばかりに思えるが、これが外国人に日本語を教える際には、格好の学習素材となる。特に日本を訪れた際に、利用する機会が多くなる駅や空港など交通機関に関する画像は多数収録されている。

インデックスページ

インデックスページ

文字が入ってない画像のコーナーには、清水寺や浅草の雷門、原爆ドームなどの画像が収録されており、日本の文化を教える際にテキストに張りつけて利用することができる。

 写真は全てJPEG形式で保存。大きいサイズでスキャンされているので、コピーしたものをWordに張り付けた場合でも、きれいに印刷することができる。

こうしたデジタルコンテンツを活用するためには、インターネットの環境が整っていることが大前提となるが、その他にも動画をうまく作動させるためのアプリケーションも必要となってくる。しかし、その僅かな手間さえ惜しまなければ、デジタルコンテンツを使って、子どもの興味を授業に引きつけることが可能となる。また、そうしたコンテンツをいかに使うかは、先生の腕次第。今回紹介したサイトの中には、指導例が公開されているものもあるので、そうしたものを見てぜひ参考にしてもらえればと思います。

※当記事の情報は、公開当時のものです。

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