2022.01.31
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意外と知らない"情報モラル教育"(第1回) インターネット利用開始時期の低年齢化

子どもたちのインターネット利用開始時期は低年齢化しています。この動きはGIGAスクール構想により更に加速することが予想されます。そんな中、求められる情報モラル教育とは何か、具体的に何を使ってどう指導すればよいのか、考えていきましょう。

1.情報モラル教育とは

「情報モラル」は学習指導要領 第1章総則(小学校(平成29年告示,中学校(平成29年告示),高等学校(平成30年告示)及び特別支援学校(幼小中等部平成29年告示,高等部平成31年告示))において「言語能力,情報活用能力(情報モラルを含む。),問題発見・解決能力等の学習の基盤となる資質・能力」と位置付けられています。特定の教科学習で習得する内容ではなく、全ての学習活動を通して必要となる、「言葉を使う」のと同じくらい重要な能力と位置付けられているのです。ではその「情報モラル」とは具体的に何でしょうか?同じく学習指導要領の【解説】の中では以下のように記されています。

情報モラルとは,「情報社会で適正な活動を行うための基になる考え方と態度」であり,具体的には,他者への影響を考え,人権,知的財産権など自他の権利を尊重し情報社会での行動に責任をもつことや,犯罪被害を含む危険の回避など情報を正しく安全に利用できること,コンピュータなどの情報機器の使用による健康との関わりを理解することなどである。

私たちの生きる情報社会はめまぐるしいスピードで変化しています。例えば「スマートフォンの使い方」を学校で学んだとしても、数年後には「スマートフォン」自体がなくなり、別の新しいソリューションに置き換わっているかもしれません。しかし、形が変わったとしても、これからの未来を生きていく上で「情報」を扱わないということはおそらく無いでしょう。大切なのは「モノをどう使うか・使わないか」ではなく「情報を扱うとき何を考えなければいけないか、どんな態度でいるべきか」を学ぶことです。それが「情報モラル教育」です。

2.GIGAスクール構想による子どもたちをとりまく環境の変化の加速

令和2(2020)年度青少年のインターネット利用環境実態調査(内閣府)では、小学生では90.5%、中学生では97.4%、高校生では98.9%がスマートフォンやタブレットなどの機器を使ってインターネットを利用していることが明らかになりました。平成26(2016)年度の調査では小学生が62.9%、中学生が86.8%、高校生が97.3%であったことから、その利用開始時期の低年齢化が進んでいることは明らかです。

この動きは、GIGAスクール構想の実現によりさらに加速することが想像されます。現在、多くの学校で1人1台の学習者用端末が整備されています。令和3年7月末時点の調査では、公立小学校の約8割、中学校の約9割が“全学年で”端末の利用を開始しています。

さらに、GIGAスクール構想では1人1台端末を整備するだけでなく、クラウドバイデフォルトの考えに基づき、子どもたちは1人1アカウント(ID)を持ち、クラウド上に自分のデータを蓄積し、活用していくことが望ましいとされています。コンピュータ教室に行ってパソコンを使っていたときは、端末に共有のアカウントが設定されていて、パソコンを立ち上げると自動的にログインされるという学校や、個別のアカウントがあったとしても、アカウントと子どもたち個々のデータを紐づけるような使い方をしておらず、パスワードは全員共通あるいはパスワード設定をしていない、という学校も多かったのではないでしょうか?こうしたアカウントやパスワードに対する考え方は子どもたちだけでなく、教職員も考え方を見直していく必要があります。

またコロナ禍で臨時休校期間が長かった子どもは、1日のうちテレビやゲーム、インターネット、携帯電話を利用する時間である「スクリーンタイム」が顕著に増加したという日本財団・三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査のデータもあります。健康面からも日々の生活の中でどのようにICT機器と付き合うか、といったことを考えていく必要があるでしょう。

3.子どもたちが経験しているインターネット上のトラブル

では、子どもたちは実際にどんなトラブルに巻き込まれているのでしょうか?先述の内閣府の調査によると、インターネットを使っていると回答した子どものうち、インターネット上のトラブルや問題行動について、経験したことがあると回答した子どもは45.2%でした。約半分の子が何らかのトラブルに巻き込まれていることが分かります。学校種別に見ると、小学生では何らかのトラブルや問題行為を経験したことがあると回答した子どものうち「インターネットにのめりこんで勉強に集中できなかったり、睡眠不足になったりしたことがある」という回答が最も多くなっています。この項目は、中学生でも最も多い(また、年齢が上がるごとに回答率も上がっている)回答となっています。高校生で「迷惑メールやメッセージが送られてきたことがある」が最も多くなっています。

こうした子どもたちが巻き込まれているインターネット上のトラブルに対して、総務省では「インターネットトラブル事例集」を作成し公開しています。事例集の1番最初にはやはり「スマホの過度な使用による生活や体調への支障」があげられています。こうした事例や、実際に学校でおきたトラブルなどをもとに、情報モラルの中でも何を取り上げるか検討している学校も多いのではないでしょうか。

このようにこれからの子どもたちは、情報に触れる機会が増え、情報との付き合い方もどんどん変わっていきます。情報モラル教育としては、これまでは小学校高学年以上で教えていたような内容でも、低学年のうちから教えていく必要が出てくるかもしれません。一方で、学齢によって理解できる範囲は異なるため、先生方はどのように指導を行えばよいのか、悩まれているのではないでしょうか。第2回では、具体的に何を使ってどのように指導すればよいかについて考えていきましょう。

構成・文:内田洋行教育総合研究所 研究員 吉澤 日花里

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