2017.08.02
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意外と知らない"校務支援システム"(vol.1)

意外と知らない

情報化が進む現代において、全国の学校でもコンピュータやネットワークが当たり前のように導入され、平成27年度には教員のコンピュータ整備率は116.1%となっています。現在は、それらのICT環境を活用した「校務支援システム」を整備し、教職員の業務の情報化が進められています。そこで、今回から2回にわたり、「校務支援システム」について紹介します。

校務ってどんな業務なの?

「先生の業務」と聞いた時に、どのようなイメージが浮かぶでしょうか。恐らく、多くの人は、教室で児童生徒に授業を行っている様子を思い浮かべると思います。実際には先生は授業以外にも多くの業務をこなしており、その一つが「校務」になります。あまり聞き慣れない言葉なので、校務が一体どのような業務なのかイメージしにくいと思います。

校務の情報化を進めている一般社団法人 日本教育情報化振興会:JAPETCEC(旧JAPET)では、教職員の業務について「学校事務」、「事務以外の実務」、「授業」の3つに分類しています。「校務」は、3つの分類の中で、「学校事務」に該当します。文献によっては、校務について「学校運営上必要な一切の仕事」と説明される場合もありますが、「校務の情報化」においては3つの分類の中で、学校事務を校務と位置づけることが一般的です。

出典:(旧)JAPET校務情報化調査研究委員会における校務の定義

(出典:(旧)JAPET校務情報化調査研究委員会における校務の定義)

会社において役職ごとに業務内容が異なるように、学校においても実施者ごとに業務内容が異なります。その中で、最も関わる人が多い業務は(1)教員事務になります。どのような業務を行っているか代表的なものを見ていきましょう。

1.教務関連事務(成績処理、通知表作成、教育課程編成、時間割作成等)
主に授業と児童生徒の成績に関わる業務です。

成績に関わる業務では、通知表作成がイメージしやすいと思います。通知表以外にも指導要録(様式2/成績の部)や調査書など、成績に関する帳票はたくさんあるので、それらの作成も成績処理においては重要な業務です。

また、普段行っている授業についても、1年間の授業の組み立てを行ったり、週ごとの授業の計画として週指導計画案を作成したりと、授業運営のための業務も行っています。

2.学籍関連事務(転出入関連事務、指導要録管理、出欠管理等)
児童生徒の学籍に関わる業務です。

小中学校においては、指導要録と呼ばれる公簿によって、学籍が管理されます。主にその作成・管理を行っています。例えば、転出入など学籍に変更がある場合、指導要録へ記載を行ったり、相手の学校との間で各種書面・帳票のやり取りを行ったりします。

また、出欠情報の管理も学籍に関する重要な業務です。(指導要録にも出欠情報が記載されています)多くは日毎の出欠を出席簿にまとめていますが、自治体によっては時限毎に出欠を記録する時限別出席簿を運用している場合もあります。

3.保健関係事務(健康観察・報告等)
こちらは養護教諭と呼ばれる先生の業務です。

毎日の健康観察や、健康診断票歯科検査票・受診勧告書(家庭へのお知らせ)の作成、保健日誌の作成等の業務を行っています。もちろんケガをして保健室に来室する児童生徒もいますので、その対応も行っています。学校規模にもよりますが、養護教諭は学校内に基本的に1名しかいないという点も、一般教員と異なる点です。

ここまで代表的な校務について紹介しました。あくまでも一部の業務のため、この他にも多くの校務を日々先生は行っています。また、校務に加えて授業などもこなさなければならない点も、忘れてはいけません。

校務の情報化の目的と国の施策について

実施者毎に多岐にわたる校務があることがわかりました。この校務について、現在、情報化が進められています。文部科学省の「教育の情報化に関する手引」では校務の情報化の目的について以下のように示されています。

【校務の情報化の目的】
校務の情報化の目的は、効率的な校務処理とその結果生み出される教育活動の質の改善、教員のゆとり確保にある。
校務が効率的に遂行できるようになることで、教職員が児童や生徒の指導に対してより多くの時間を割くことが可能となる。また、各種情報の分析や共有により、今まで以上に細部まで行き届いた学習指導や生徒指導等の教育活動が実現できるなど、様々な恩恵を被ることができる。
(出典:文部科学省 教育の情報化に関する手引)

情報化することで効率的に校務を進めることはもちろんですが、効率化の先にある「教育の質の改善・向上」が大きなテーマになっています。

次に、国がどのように校務の情報化を進めていくのか、計画を見ていきましょう。以下は、校務支援システム普及のロードマップです。

出典:「2020年代に向けた教育の情報化に関する懇談会」最終まとめ(案)概要 文部科学省 平成28年7月

(出典:「2020年代に向けた教育の情報化に関する懇談会」最終まとめ(案)概要 文部科学省 平成28年7月)

平成29年度まで段階的に、指針・行程・システム化する業務範囲を定め校務支援システム整備の基礎を固めていき、平成30年度から平成32年度を「システム導入加速化期間」として、整備を進めていく方針です。普及目標としては平成32年度(2020年)までにすべての自治体に校務支援システムを導入することを目標としています。

校務支援システムの整備率について

では、現在の校務支援システムの整備状況が、どのようになっているか見ていきましょう。

以下は、平成25年度から平成27年度までの校務支援システムの整備状況をまとめたものです。

出典:文部科学省「学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果 平成25年度、平成26年度、平成27年度」

(出典:文部科学省「学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果 平成25年度、平成26年度、平成27年度」)

項目B「校務支援システムを整備している学校数」を見ると、平成27年において小学校・中学校共に割合が80%を超えています。この数値を見ると多くの学校に校務支援システムが整備されているように見えますが、欄外に下記の記載があります。

注1) ここでいう「校務支援システム」とは、校務文書に関する業務、教職員間の情報共有、家庭や地域への情報発信、服務管理上の事務、施設管理等を行うことを目的とし、教職員が一律に利用するシステムをいう。これらの機能のいずれか1つでも、教職員が一律に利用できるシステムが整備されている場合をいう。

項目Bでは出欠機能や、保健機能など一部の機能のみを扱っている製品を整備している場合も、学校数として数えられています。先程のロードマップでもあったように、国の施策としては、学校における校務業務全般の機能を扱っている「統合型校務支援システム」の整備を進めています。

実態調査では平成26年度から項目F「Bのうち、統合型校務支援システムを整備している学校数」が調査項目として追加されました。平成27年度においては、小学校・中学校共に、校務支援システムを整備している学校数の約半分の学校が「統合型校務支援システム」を整備していると回答しています。よって、全体の学校数から見ると、統合型校務支援システムの整備は4割強という状況になります。

ここまでのまとめ

今回は、校務とはどのような業務か? から始まり、国の施策と現在の校務支援システムの整備状況を紹介しました。

・校務とは教務・学籍・保健などの学校事務の業務
・校務の情報化の目的は、効率的な校務処理とその結果生み出される教育活動の質の改善、教員のゆとり確保
・2020年までにすべての自治体に統合型校務支援システムを整備する計画
・現在の統合型校務支援システムの整備状況は4割強

次回は、校務支援システムの機能、導入例、今後の方向性について紹介します。

構成・文:内田洋行 メジャーアカウント&パブリックシステムサポート事業部 奥田 雄哉

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