2005.07.26
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今どきのお洋服事情 子どもたちは毎日何を着てる?

大都会の公立小学校に通う子どもたちは、毎日どんなファッションに身を包んでいるのだろう? どうやら値段もデザインも大人と相違ない海外スポーツブランドが主流。中にはディオールなどの一流ブランドを愛用している子どもも! 少子化が進み、モノが溢れまくる日本では、そう遠くない将来、ヴィトンやシャネルのランドセルを背負った子どもも現れるのかもしれない......。

わが家に双子が誕生してからというもの、食費以上に家計を圧迫してきたのが成長著しい子どもの服飾費だった。ベビー服にはじまり、購入するときは同じサイズを一度に2枚。姉弟間でお古がきかない双子ゆえ、バーゲンになればガールズ売り場とボーイズ売り場を右に左に走り回らなければならない。そんな心労もあって、幼稚園は帽子・カバン・ポロシャツにいたるまでガッチリ制服のある園を選んだのだが、黄色い帽子以外すべて自由な公立小学校に入学するにあたって、まず頭を悩ませたのが〈毎日のお洋服〉問題だった。

 子どもの服は消耗品だ。そこそこのものが安価で手に入ればそれにこしたことはない。郊外在住であれば、子ども服専門の量販店やアウトレットを利用するのが一番賢いのだろう。が、都内のヘソと呼ばれるわがS区で子ども用品を購入しようとすると、デパートの子ども服売り場に行くか子ども服ブランドの路面店に行くしかテがない。たしかに最新のデザインが入手できるメリットはあるけれど、趣味で子どもにブランド品を着せたいわけではなく、それしか近場に選択肢がないから買わざるを得ないという浪費……。

 洋服のみならず、靴、下着、文房具、プール用のバスタオル一枚にいたるまですべてがその調子。バーゲンになっても当然値が張る。デパートの子ども下着なんて安くなっても、パンツ1枚1000円の理不尽。大人用なら3枚買える。会場の赤札をながめながら、「これじゃ都心部に子どもが増えるわきゃないよなー!」とグチりつつ、パパ用の買い物をあきらめるのがいつものパターンなのだ。

 そんな大都会の公立小学校に通うクラスメイトたちは一体どんなファッションに身を包んでいるのかというと、GAPとユニクロを基本に、ポロ・ラルフローレン、アニエス・ベー、シップス、ユナイテッド・アローズのジュニア版、インポート系カジュアル、男子に限るとアディダス、ナイキといったスポーツ・ブランドという具合。男女とも夏場はTシャツ+短パンのスタイルが圧倒的だが、低学年でもノーブランドのTシャツを着ている子はおよそ目にしない。最も顕著なのが、子どもたちの足元だ。昔なら小学生のスニーカーは、仮面ライダーやウルトラマン、キャラクター系の運動靴と相場が決まっていた。ところがいまや、入学まもない一年生の靴箱を覗いても、キャラクター系運動靴を発見するのは難しい。値段もデザインも大人と相違ない海外スポーツブランドが当たり前なのである。

 さらに勢いを増すのが、4~5年生からの女子ファッションだ。ローティーンのカリスマファッション誌といえば『ピチレモン』だが、そのなかから飛び出してきたような中学生と見まごうばかりの女子も少なくない。そして根強いのが、モーニング娘。が火付け役といわれるナルミヤ系〈エンジェルブルー〉! 

 ブルーやピンク、黄色といった鮮やかな原色とキャラクター絵が氾濫するTシャツやスカートは、単品でもプロパー1万円前後する超高級品。ヘアピンひとつで、パパのジーンズが1本買える(笑)。にもかかわらず、なかにはいるんです。頭の先から足の先まで全身エンジェルブルーのお嬢さんも! 

 親御さんに余裕があるんだなぁ~。それと不思議なことに、4~5年生になるとショートよりもロングヘアが主流になり、どんなに暑い日でも髪を結ばずにバサッと下ろすのがブームのようで。でも、一歩間違うとプチ貞子になってしまうわけで……。少女のオシャレ心は奥深い。ま、いまも昔もですが(笑)。

 子どものファッションには多分に親の趣味が反映されるので、一概にはいえないのだが、公立小学校に入学して以来、めっきりお目にかからないのがファミリアとローラ・アシュレイだ。紺とグリーンのチェックのワンピース、小花柄のスカート……。幼稚園時代にチラホラ見かけたこれらのブランドは一体どこに消えてしまったのかというと、お受験して私立小学校に流れてしまった様子。先日、久々に幼稚園時代のクラスメイトたちと集まる機会があったが、私立小学校組のなかにはいまだファミリア・ファッションの伝統が息づいていて非常に興味深かった。

 その一方で、ド肝を抜かれたのがベビー・ディオール(Dior)のTシャツを着た少女の存在。彼女は公立に進んだのだが、学校へもわりとフツーにディオールで通っているらしい。そのママは「ひとりっ子だし公立で学費がかからないからできるのよ」と涼しい顔だったが、こうなると子どもにとって何が豊かで、何が豊かでないか、本当にわからなくなってくる。

 エンジェルブルー危うし! いま2年生の彼女が高学年になる頃には、ルイ・ヴィトンやグッチ、シャネルなんていう海外一流ブランドのジュニア服がメジャーになっているのかも!?  いや、洋服ばかりではない。少子化が進み、モノが溢れまくるこの日本では、そう遠くない将来、ヴィトンやシャネルのランドセルを背負った子どもも現れるのかもしれないのだ。

(イラスト:Yoko Tanaka)

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