2004.09.21
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恒例の親子イベント......夏休みの宿題!(はじめての公立小)

魔の8月31日。そう、夏休みの宿題総決算の日! 子どもの頃の悪夢を、わが子を通して追体験するとは! しかし、よく考えてみれば、「夏休みの宿題」があるってことはありがたいこと。もしなければ、せっかく学んだ覚えたてのひらがな、足し算、引き算はどうなる? かくして、テラダ家の格闘が始まった!!

 「なんてダメなヤツなんだろう……」

私が、己のふがいなさを初めて痛感したのは、小学校に上がった夏休み。宿題をたんまり残したまま8月31日の朝を迎えたときだ。時計とにらめっこしながら、サマースキルの答えを丸写しし、読書感想文は作者あとがきをリライト。父を道連れに徹夜で仕上げた自由研究、「先が見えた!」と思いきやプリントの間から見つかる天気が空欄の計画表……。インターネットなどない時代の忌々しい夏の記憶だ。ドキドキ、ハラハラ、じょじょに冷や汗。そして泣く泣く誓うのだ。「来年こそは、7月中に宿題を終わらせよう!」。が、その強く固い決意とは裏腹に、翌年も、また翌年も、高校を卒業するまで8月31日の攻防は毎年続いたのだった。

 計画性ゼロ。そんなふがいない自分が、今度は我が子の宿題を管理する立場になってしまった。とはいえ、まだまだ1年生、初めての夏休み。なんとかなるさとタカをくくっていた私。そして双子が終業式に持ち帰った宿題袋を開いてみると、おやおやおや。(1)国語&算数のサマースキル1冊、(2)担任オリジナルの計算プリント10枚、(3)夏休み計画表(毎日の1行日記付き)、(4)絵日記3枚、(5)あさがおの観察記録(毎朝、咲いた花の数を記録する)、(6)計15冊分の読書記録表、トリを飾るのは(7)自由作品(図画や工作)。バラエティ豊かな宿題……ってか、意外に手が込んでる!? それも前回のコラムでお伝えしたように、夏休み前半は旅行中。『せっかくの旅行に宿題持参は酷』という主人の仰せに、本格始動は8月からと決定。『残すと気が重いサマースキルから片付けさせようかしら……』などと大ざっぱに予定してみるものの、かつて自分が経験した8月31日の悪夢がよみがえる……ブルルルル。同じ宿題を双子分。自由作品なんて、いったいどうやって片付けさせよう(泣)。

 ところが、同じ区内の公立小であってもこの夏休みの宿題、学校によってまったく違うらしい。ベテランのご父兄からは「なにを今さら?」とお叱りの声を頂戴するかもしれないが、私は“平等教育の公立校”ゆえ判で押したように同じ宿題が出されるものだと思っていたのだ。調べてみると、「サマースキルも、プリントも、お勉強は一切なし」という学校、「自由作品・研究はOK」という学校、「計画表は親が子どもの生活態度を評価する」という学校、「絵日記1枚」という学校……同じ1年生対象にもかかわらず実にさまざま。そしてみんなに言われるのだ。「いいじゃない。きちんと宿題出してくれる学校なんていまどき貴重。うちなんてドリル買い込んで、親子バトルなんだから……」。

 親になってみると、夏休みの1ヵ月半という学習ブランクはたしかに長い。覚えたてのひらがな、たし算、ひき算……4月からの積み重ねが一瞬にして抜けていきやしないか、と。二学期からの授業に支障が出るのではあるまいか、と。宿題が少なければ少ないほど不安が募る。『これでいいのか?』そして、教科書よりも授業よりも数段ハイレベルな市販ドリルを子どもに買い与え、母親はいつしか“ママ先生”に変身してしまう。しかし、ママ先生はあくまでママ先生であって、教師にはなりきれない。気がつくと、学習指導などそっちのけ。問題にまごつく目の前の子どもにイライラし、つい感情的に声を張り上げてしまうのだ。でも、ちょっと待った。本来、親子水入らずが理想の長~い夏休み、はたしてこれでよいもの?

 宿題の種類やボリュームは、学校の方針や担任の心ひとつで決まっていくのだろう。子どもにとって宿題は、そりゃあ少ないにこしたことはない。学校生活ではその方が、子どもに好かれる先生なのかもしれない。が、事実は違うのだ。宿題も少なく、家庭でホッと一息つけるはずの夏休みが、ママ先生の怒号に息詰まる夏休みになっているとしたら……? 全国教職員のみなさま、遠慮はいりません。不幸な夏休みを生まないためにも、親子の緩衝材となる<学校の宿題>は必要なものなのです。それも多からず、少なからず適量の宿題。その見極めこそ、ママ先生には決してマネできない、プロ教師の腕の見せどころではないだろうか?

 こう考えると、我が家はラッキーだったのかもしれない。8月31日の深夜まで家族総出で自由作品と挌闘できたのだから……。

(イラスト:Yoko Tanaka)

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