2004.08.24
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親の悩みに国境はない!~夏休み、アメリカ旅行で得たものとは!?(はじめての公立小)

夏休みは子連れでアメリカへ! 訪れたオレゴン州ポートランドではホームスクールが主流。「子どもの学習環境」に悩む同世代ママたちと出会い、「親の悩みは世界共通!」=「悩める親は私だけじゃない!」と、 元気を得て帰国する寺田であった!!

はじめての公立小学校、はじめての夏休みがついにやってまいりました。今年の挑戦課題は、『アメリカに行くこと!』。

 ことの発端は、小学校入学前の春休み。趣味の異なる男女の双子ということもあって、幼稚園時代は習い事を渋っていた我が家だったが、そこに一本の電話が。「某大手英会話教室が、4日間5000円の特別価格で春季講習やるけど参加しない?」

 聞くと、ネイティブの外国人教師による1日2時間授業で、通常の2ヶ月分の内容をいっきにまとめて学習できるという。それで5000円。"小学校に上がれば英語の授業もあるし、ものは試しで行かせてみるか"。親の損得勘定で決めた春季講習、外国人教師との新鮮な出会いに最初の1日、2日は子どもたちも楽しそうだったが、3日目になると「ちょっと難しいんだよね」「面倒くさいなぁ」と不満を口にしはじめた。たしかに英語環境の極端に乏しい日本で、目的や目標なくして外国語レッスンは続かない。「ビジネスのため」「海外で生活したいから」「自分磨きに」……大人だって、そんな目標があるからなんとか教室通いし続けるのだ。そこで、子どもたちに提案したのが「夏休みのアメリカ行き」だ。

 <小1の夏休みに、国際結婚してアメリカに永住している友人ファミリーを訪ねる。そのために英語レッスンしておこう!>実は、昨年そのファミリーが来日した際、日米ハーフの子どもたちと一緒に遊んだことが、双子にとって強い思い出になっていることを知っていた。そこをくすぐったわけだが、目標ができたふたりは、俄然、春季講習を楽しむようになった。5000円のもとは十分とったのである。が、約束した以上、きちんと果たさなければならない。私と双子分の航空運賃をコツコツ準備し、ついに夏休みを迎えたのだった。

 行き先はオレゴン州ポートランド。カナダに近く、夏でも朝・夕は少し肌寒い。日中の陽射しは強いが、自然豊かでのんびりとした小都市だ。これが初海外旅行となる双子にとって、12時間以上ものフライトはどうなることやら不安もあったが、やはり小学生!
たった一年でも幼稚園の年長とは、体力も知恵も違う。機内備え付けのゲームを楽しみ、機内食を楽しみ、ぐずることなく眠り、トランジットを乗り越え、飛行機に飽きた頃、現地に到着した。ポートランド滞在は10日間。といっても、なんら計画を持たない私たちは、ホスト・ファミリーである友人のすすめるままに、観光ではないごくごく日常的な滞在生活を送った。友人の知り合いの家のバースディ・パーティに参加したり、ゲストを呼んでプールサイドでバーベキューをしたり、教会主宰の夏休みワークショップに子どもだけ行かせたりと、そんな具合だ。

 そのなかで、小学生の子どもを持つ同世代の母親たちと多く触れ合う機会を得た。ある日、訪ねていった先の家に、ダンボールがたくさん届いていたので質問すると、「全部ホーム・スクール用の教材なのよ」という。聞けば、治安のいいポートランドでも、公立小学校はトラブルが少なくなく、子どもを学校には行かせず自宅で母親が勉強をみるホーム・スクールがポピュラーなのだという。そのどっさり届いていた荷物は、9月からの新学期(新学年)を前に、さまざまな教材業者から送られてきたものだった。「この会社がいいというのはあるんだけど、教材業者選びから全部母親がやるのはホントに大変なのよ」

 実は、私の友人もまたホーム・スクールの経験者だ。この9月からいわゆる小3に上がる長女がいるのだが、小1のときは地元学区の公立小学校に、そして2年になってホーム・スクールに切り替えた経験を持つ。しかし、その娘の場合は母親とのマン・ツー・マンではなく、5人くらいの母親が集って指導するグループ学習で、週3回程の割合でひとつの場所に集まり勉強していた。「指導する母親にも得意・不得意はあるし、子どもも仲間がいるほうが息がつまらないでしょう。それでグループ学習をやってみたんだけど、うちの娘の場合、学校の方がやっぱり好きみたい。もっとたくさんの友達と遊びたいっていうのよね(笑)。だけど地元の公立はいまいちだから、この9月からは学区を越境して英語と日本語の両方の授業を持つ公立校に行かせたいと思ってるんだけど、すごく人気があって順番待ちの状態なの。学校選びって本当に難しいわよね」
 何処も同じ、である。

 ちなみに、ホーム・スクールの場合、共通テストというのが行われ、それに参加しクリアすれば進級できるのだという。第三の選択肢とでもいおうか。日本では公立か私立かいずれにせよ学校教育のなかでのニ択しかないが、子どもの学習環境を選択する難しさ、親の悩みは日米問わず(もしかしたら世界中どこでも)変わらない。自分と同じように子育てに悩むアメリカ主婦たちを見て、あらためて"ひとりじゃない"と痛感した私。子育てに国境はないのだ。見れば、外で遊ぶ双子たちは、英語が喋れなくとものびのびコミュニケーションしてる。そばに戻ってきた息子に聞くと、「なんとなくみんなが言ってることはわかるんだよ。でもさ、来年はちゃんと英語で答えられるようになりたいな」期待以上のポジティブさ。案ずるより産むが易し。<子育て中>という共通パスポートを胸に、さらなる海外渡航を企てんとする私であった。

(イラスト:Yoko Tanaka)

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