2004.07.27
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ああ悲しき学校ボランティア(はじめての公立小)

学校公開、授業参観、そして学校ボランティア。公立小学校がこんなに保護者を借り出すものだとは! フリー業の寺田とて、そこまで暇ではないぞ!

 先日、わがS区の小学校でも学校一斉公開が行われた。木・金・土曜の三日間、在校生の保護者はもちろん、学校選択を前に来年入学予定の保護者や、地域住民などさまざまな人が授業や校内を参観する。とはいえ、子どもたちにとってみれば、あくまで授業参観日。

「明日、来られる?」
「一緒に『5ひきのかいじゅう』やろうね!」

子どもたちの熱烈なリクエストにお応えして、初日から顔を出した。1年生ということもあって、平日にもかかわらず多くの保護者が授業を見にきていた。でもなかには、時間の合わない保護者もいるわけで、ぞくぞく集まる友達のお父さん・お母さんを前に、ソワソワ、ドキドキ、教室の後ろを振り返りつつ、自分の親の不在にさみしそうな表情の子どももいる。家庭事情のあることだからこれも仕方がないのだが、ひとり取り残されたような子どもの不安な顔を見ると、ちょっぴり胸が痛む。

ところが、だ。帰宅するなり、わが双子たちは

「ねぇ明日も来るでしょ?」
「明後日もくるよね?」

おいおいおい。たしかに学校公開は三日間。とはいえ、フリー業の私とて連日、朝から5時間目まで参観するヒマはない。だが、彼らの"ママに見てほしい!"気持ちは止まらない。仕方なく、時間をやりくりして最終日も顔を出すことにした。

 それから間もなくして、今度は学校から『授業参観』のお知らせが届いた。びっくりした。学校一斉公開と、授業参観はナント別物だったのだ……! 保護者会とセットになった参観スケジュールはニ日間。もちろん、自分の都合で自由に時間選択すればいいのだが、これも子どもにしてみれば「全部見てほしい!」となる。授業内容は前回見ているし、今回はさすがに一日、一時間の参観で勘弁してもらったが、参加自由とはいえ、イベントがあまりに多過ぎる……。昨年の学校選択しかり、<子どものためを思って>の<選択>はとても難しいというのに。

 はっきり言おう。公立小学校がこんなに保護者を借り出すものだとは、入学するまで知らなかった。いや、たしかに近所の諸先輩方が、『大変よぉ~学校は呼び出されることが多くて』と愚痴るのを聞いてはいた。でも、それも役員さえ決まれば、その責任さえ果たせば、万事スムーズに運ぶものだと思っていたのだ。ゆえに私は本年度、運動会委員を務めている。ところが、どっこい! その後のプリントで、まず校庭開放ボランティア募集が、続いて、図書館ボランティア、水泳ボランティア、環境整備ボランティア、加えて盆踊りボランティア……くるわくるわ、連日のボランティア募集告知。小人数校の落とし穴はこんなところにもあったのだ。

 児童数が少ない分、職員も少ない。しかし、学校を運営していく上で、欠かせない仕事は大型校と同じだけある。例えば、図書館ボランティア。私立なら専任の図書司書が毎日勤務してるのが普通だろうが、現在、わが校では週1日しか司書の先生がいない。それも、たったひとりの先生が、地区の隣接する学校を週1日ずつ回っている有様。つまり、月曜がA校、火曜がB校、水曜がC校……というぐあいだ。理由を尋ねると、「予算がない」という。だから、日常、図書室の管理・運営は図書委員の児童が中心だ。それでは、書棚の整理も追いつかない。殺伐とする図書館、その一方で、子どもたちに「読書を推進する」行政。おかしいでしょ? どう考えても、金の使い方、間違ってるだろう。この前、図書室をのぞくと図書委員長を務める6年男子がつぶやいた。「ねぇ、僕たちが貸出作業で使ってるエンピツ、全部ここの落し物なんですよ。でもエンピツ削りもないんです。ポスター作ろうにも図書室には専用のマジックもない。ちょっと学校側に言ってやって下さいよ」トホホ……。しかし、学校側も学校側で苦しんでいるのだよ……。

 という現実を前に、学校と子どもの狭間でボランティアせざるを得ないのも保護者の人情。ああ、こうして学校通いが今日もまた続く。

(イラスト:Yoko Tanaka)

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