2015年度グッドデザイン・ベスト100受賞! 教育用家具『地域産材で作る自分で組み立てるつくえ』
2014年3月発売の教育用家具『地域産材で作る自分で組み立てるつくえ』がこの度、2015年度のグッドデザイン賞で未来づくりデザイン賞及びベスト100を受賞いたしました。
同製品は、ただ新しい机を配るのとは異なり、児童・生徒が自分で机を組み立てるワークショップに参加することで、組み立てた机に愛着がわき、日常生活で使っていく中で、木を身近に感じてもらうことができるというプログラムになっています。
従って、同製品・プログラムは吉野町に限定されるものではなく、どの地域でも取り組めるものです。地域に木材加工の技術があれば、天板部を提供してもらい、耐久性の必要な脚部は内田洋行が提供するスチール脚と組み合わせることができます。
卒業の際には、児童・生徒本人が天板部だけを外して持ち帰ることができ、継続的に木に親しめます。あるいは、卒業証書などの賞状に加工して配布することも可能です。机の脚部や椅子はリユース(再使用)し、毎年新入生が入る度に天板部のみを購入してもらうことで、地域の産業に需要を生み出すことができます。
近くに地域産材や木材加工工場がない場合は、内田洋行が各自治体の姉妹都市提携地域やその他の適切な地域を紹介し、材の手配や木加工を手伝うことも可能です。
奈良県吉野町立吉野中学校の取り組み
この取り組みは、町の事業として今後も継続され、地域と企業、地域内の産業、大人と子どもなど、様々なものを結びつける地域経済循環の新しい仕組みとなっています。
開発者・デザイナーのコメント
木の町『吉野』に相応しい生徒用机を用意しようと、単に完成品を提供して終わりではなく、継続できるモノづくりの仕組みをつくり、それを広く発信したいという思いがありました。この仕組みは吉野町に限定されるものではなく、どの地域でも出来ることです。また、企業とつながることで活動が継続可能になり、多くの人に知ってもらえることが魅力であり、価値になると確信しています。
(Re:吉野と暮らす会 中井章太・石橋輝一)
デザインコンセプトを「地域の材料と地域の人々がつながり、地域で循環する仕組み」として、このプロジェクトでは、生徒達が継続的に木に親しめるように、卒業後も上部を取り外して自立した家具として使えることを考えました。“自分でつくる”というアイディアもそこから生まれました。一つのデザインが、地域と企業、地域内の産業、大人と子どもなど、様々なものを結びつける接着剤のような役割を担うことを目指しました。
(藤森泰司アトリエ 藤森泰司)
【グッドデザイン賞とは】
様々に展開される事象の中から「よいデザイン」を選び、顕彰することを通じ、私達の暮らしを、産業を、そして社会全体を、より豊かなものへと導くことを目的とした公益財団法人日本デザイン振興会が主催する「総合的なデザインの推奨制度」です。その母体となったのは、1957年に通商産業省(現経済産業省)によって創設された「グッドデザイン商品選定制度(通称Gマーク制度)」であり、以来約60年にわたって実施されています。
【受賞理由の概要】
学童家具を地場産の木材や技術で作る手法は過去にも行われてきたが、このプロジェクトの秀逸なところは子ども達が天板部を直接自分達で手を加えて作りあげ、卒業時にそれを記憶と一緒に持って帰れること。そしてなによりデザインが美しい。さらに押しつけではなく地域の木材関係者や企業、行政が協力し合いながら長い目を持ってそのシステムを作り上げたところが素晴らしい。それは学童家具を単なる共同消耗品から地域を理解し、大切に使いこなす道具へと昇華させた。
【受賞者】
藤森泰司アトリエ 藤森泰司、石橋亜紀/Re:吉野と暮らす会 石橋輝一、中井章太、田中寿賢/パワープレイス株式会社 若杉浩一、奥ひろ子/株式会社内田洋行 秋田美紀
(グッドデザイン賞HPより)