2014.01.07
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教科書改革実行プランで何が「改革」されるか

下村博文文部科学相は2013年11月15日、「教科書改革実行プラン」を発表し、編集・検定に関しては教科用図書検定調査審議会(検定審)に、採択に関しては中央教育審議会(中教審)初等中等教育分科会に、いずれも審議を要請して年内に了承を得た。次の中学校教科書(2014年度検定、15年度採択、16年度から使用)に反映できるよう、法令改正を行うことにしている。何が改革されるのか。

政権の強い意向で

 教科書改革は、「教育再生」を掲げる第2次安倍内閣にとっての重要課題だ。

 政権を取り戻した2012年の総選挙で自民党は「子どもたちが日本の伝統文化に誇りを持てる内容の教科書で学べるよう、教科書検定基準を抜本的に改善し、あわせて近隣諸国条項 も見直します」と公約していた。(※近隣諸国条項:1982年に追加された、近隣のアジア諸国との間の近現代の歴史的事象に関する記述などには十分な配慮を行うという規定)

 沖縄県竹富町教育委員会が2012年度以降、八重山採択地区協議会(石垣市、竹富町、与那国町から成る)の答申と違う教科書を採択した問題では、「地方公共団体自ら教科書を購入し、生徒に無償で給与すること」(竹富町の場合は民間による寄付)を容認した前民主連立政権の見解を翻し、2013年3月に義家弘介政務官(当時)を現地に派遣して同一教科書を採択するよう直接指導。同10月には地方自治法の規定に基づき、沖縄県教委に対して竹富町に是正の要求を行うよう指示している。

 また、自民党の「教育再生実行本部」も同6月の中間まとめで、「いまだに自虐史観に強くとらわれるなど教育基本法や学習指導要領の趣旨に沿っているのか疑問を感じるものがある」「特定の教科書を長期にわたって使い続ける地域がみられる」などとして、検定基準や採択の改善を求めていた。

改正教育基本法 に沿った編集に

 教科書検定については、まず、申請時に提出させる「編修趣意書」の様式を改める。これまでも第1次安倍内閣時に全面改正した教育基本法の第2条(教育の目標)各号について「特に意を用いた点や特色」について該当箇所まで示す対照表を作成することとしていたが、これでは図書の構成・内容全体で同法の目標がどのように反映されているかを確認できないとしている。

 検定基準も「公正・中立でバランスの取れた」記述となるよう、(1)未確定な時事的事象は特定の事柄を強調し過ぎていないことを明確化する (2)近現代史の歴史的事象のうち数字など通説的な見解がない事項はその旨を明示する (3)政府の統一的な見解や判例がある場合には取り上げることを定める――という趣旨から検定基準を改正する。

 併せて、検定審の議事概要をより具体的に作成したり、検定終了後に全ての検定意見書(現在は歴史分野のみ)をホームページに掲載したりするなど、検定手続きの透明化を図る。

共同採択の協議ルール明確化

 教科書採択制度の改善では、まず、これまで協議ルールのなかった構成市町村による共同採択について採択地区協議会規約で明確化する。これによって八重山地区のように教科書が一本化できず、無償給付ができない事態の発生を防止する。

 次に、複数自治体で構成する採択地区も、これまで「市郡」単位となっていたものを、引き続き広域採択制を原則としながらも、郡を超えた市町村合併が行われている実態を踏まえて「市町村」に柔軟化。これにより、地域の実情に沿った採択地区設定を可能とする。

 併せて、採択結果・理由等の情報の公表を法的に義務付け、各採択権者による責任ある採択を促進するとしている。

 こうした教科書採択の改善を図る「教科書無償措置法改正法案」を、文科省は2014年通常国会に提出するとしている。

渡辺 敦司(わたなべ あつし)

1964年、北海道生まれ。
1990年、横浜国立大学教育学部を卒業して日本教育新聞社に入社し、編集局記者として文部省(当時)、進路指導・高校教育改革などを担当。1998年よりフリーとなり、「内外教育」(時事通信社)をはじめとした教育雑誌やWEBサイトを中心に行政から実践まで幅広く取材・執筆している。
ブログ「教育ジャーナリスト渡辺敦司の一人社説」

構成・文:渡辺敦司

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