2012.12.28
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どうしていますか?外国語活動

カリタス小学校 教諭 長島 寛和

 今回は、日々の生活ではなく、勤務校で経験したおもしろい行事について書きたいと思います。

 最近の小学校の教育界で大きな話題として「外国語活動」が挙げられます。皆さんの学校では、外国語活動(多くの場合は英語だと思いますが)はどのように行われていますか? 私はつい最近まで「外国語活動」に週1時間の授業を当てることを快く思っていませんでした。なぜかというと、大きく3つの理由があります。一つ目は他の教科に授業時間を当てたいため。二つ目は日本人のALTの方が入る場合、日本人同士で英語を話すことに違和感を感じたから。最後が、担任も授業に入るのですが、専科教科と同じように英語は特殊技能であり、ちょっとやそっとの準備では授業と言える関わりができなかったり、妙なハイテンションで授業をしなくてはならなかったりするからです。ちなみに、私の知っている限りの外国語活動の研修は、大人同士で妙にハイテンションな講師の先生について行く、妙にハイテンションな先生方の集いというのが多かったです。

 しかし、現在の勤務校での外国語活動の行事に参加してみて、「これなら、何の疑問もなく、かつ、子どもたちが外国語に親しむという目標に照らし合わせてもすばらしい」と思いを外国語活動に対して抱くことができました。その行事とは、私の学校では「屋台村」とよばれる行事です。

 「屋台村」は、毎年、12月の始業式近くに、外国語の先生主体で、体育館を使い、56年生の教員、専科の教員、OGや保護者の方で英語やフランス語(本校は、男子が英語を、女子がフランス語を学びます)が話せる方で行われます。参加児童は、全56年生が4人ずつのペアに分かれて参加をします。

 教職員はじめ、大人は原則一人一つのブースを受け持ちます。このブースを「屋台」とよびます。ブースの内容は、「歴史人物クイズ」「先生の小さな頃の写真当て」など20種類くらいが開かれます。このブースでは、大人はすべて英語かフランス語を話します。もちろん台本がありますので、それを読んでもいいですし、さらで話してもかまいません。私は、もちろん台本を読みました。しかし、同じブースで、10回以上同じ対応をしていると、自然と覚えてしまって、最後の方には「先生、英語話せたんだ」と言われる状況になります。子どもたちは、大人が話す英語やフランス語を聞いて、そのブースのクイズやアトラクションをクリアしていきます。子どもたちは日本語を話してもかまいません。日本語で質問もしてもかまいませんが、ブースによっては答えやかけ声を外国語で行うとこもあります。

 ものすごく、自然な形で外国語をシャワーのように聞きます。クラス内の閉空間で、いつもは日本語で話している担任と子どもがぎこちない英語で会話するのではなく、広い空間のあちらこちらで外国が飛び交い、外国語を聞くのが当然で、先生が台本を読んでいても違和感がなく、子どもたちは愉しみながら活動をします。

 一番のキーワードは「自然」。本当に有意義な、おもしろい外国語活動の試みでした。もし、ご興味をもたれた方は、ぜひ、カリタス小学校までご連絡をください。

 しかし、デメリットもあります。それは時間の捻出と、一つ学校行事が増えてしまうという点です。私も以前在籍していた公立学校には、外国語担当の先生はおられましたが、外国語科の先生はいませんでした。誰が音頭をとるかが大事なところです。学校行事を企画、運営していくことになりますので、一つの特別委員会が立ち上がるかもしれません。ただでさえお忙しい先生方が、一つの行事を増やすことができるかどうかが、一番のデメリットでしょう。しかし、公立学校経験がある私から見ても、ものすごく有意義な行事です。だからこそ、紹介したいと思いました。私が今も公立小学校の教員でこの行事を研修等で知ったとしたら、参加できたとしたら、すぐに動き出すと思います。

 もちろん「屋台村」でなくてもかまわないのですが、外国語が苦手な先生方にとっても、英語を話すのが恥ずかしいと思う高学年の子どもたちにとっても、「外国語活動」が楽しいと思える授業、活動を創っていくことが、学習指導要領に「外国語活動」が明記された時代に教壇に立つ我々の責務ではないかと思います。その、ほんの一例として「屋台村」が役だったとしたら、うれしく思います。

長島 寛和(ながしま ひろかず)

カリタス小学校 教諭
公立小学校、大学附属小学校、私立小学校の3種の小学校を経験しました。それぞれの特徴を組み合わせた学校ができたらどんなにすてきな学校ができるかと、色々と思案しています。教師の勝負の場は「授業」と定め、学級経営と授業作りを愉しんでいます。

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