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2024.01.30
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東京

「映画が映す東アジア~ジェンダー、セクシュアリティ、社会」講座

映画はいつも、社会の「本音」を映してきました。ヒットする映画には作り手の意図と同時に、観客の求める欲望が映し出されています。本講座では、韓国のアカデミー賞作品・『パラサイト 半地下の家族』、実はヨーロッパなど海外に多く輸出されている朝鮮(DPRK)のアニメーション、近年注目を集める台湾のLGBTQ映画とホラー映画、中国でドキュメンタリー映画の興行記録を塗り替えた『二十二』、香港でロングラン上映となった、実際に起きた介護施設の性暴力事件をとりあげた『白日の下』(予定)など旬の映画をとりあげ、そこに映し出された現在の社会を解説します。

<スケジュール>
・全ての講座に、UDトーク(校正者あり)による日本語リアルタイム字幕が付きます。
・会場・オンライン併用、あとから配信あり。

第1回:1/30(火)19:00-21:00 梁・永山聡子さん
テーマ:「韓国映画『パラサイト:半地下の家族』は何を問いかけたのか?ー南北分断がもたらすいびつな社会階層の誕生ー」

・講座概要 
 『パラサイト 半地下の家族』(原題:기생충(寄生蟲)英語表記 Parasite)は、1955年以来、アカデミー作品賞とカンヌの最高賞を受賞し世界中の映画賞を受賞。全世界興行収入は2億ドル(約230億円)を超えた。日本でも、韓国エンターテイメント関連、映画専門誌だけでなく、様々なメディアで取り上げられ、地上波のテレビニュースでも数多く特集され、興行収入45億円・330万人以上が観覧。2023年には、日本の90年代の関西に舞台を移し、演劇作品となり上映後も話題に上がる作品である。
 主な評価は「世界トップクラスの格差社会・韓国の内実をコミカルに描いた」「世界中にある普遍的な階級問題を上手く描いた」「痛快な貧困層の逆襲」。しかし、この映画は登場人物の設定、多くのメタファーに「朝鮮戦争と休戦」「南北分断の影響」「南北統一とは?」など継続している冷戦構造ー朝鮮半島の南北分断が散りばめられているが、指摘する論も多いとは言えない。本講座ではそこを中心に論点を整理していきたい。(興行収入は2020年時点)

・プロフィール
 ふぇみ・ゼミ&カフェ運営委員、成城大学グローカル研究センター客員研究員。近年は韓国フェミニズムと社会変動を研究:「なぜ韓国社会は戸主制/戸籍制度を廃止したのかー被植民地秩序、家父長制解体をめざす市民の連帯から学ぶ」反差別国際運動(IMADR) 編『戸籍』(部落解放出版、2023年)、韓国エンターテイメントとフェミニズムの関係を研究:「ドラマ作品がフェミニズム化するとき」『ハッシュタグだけじゃ始まらないー東アジアのフェミニズム・ムーブメント』(大月書店 2022)

〇事前に映画を見たい方へ
・netflix:https://www.netflix.com/jp/title/81221938
・Amazonプライムhttps://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B0897QF56R/ref=atv_dp_share_cu_r
・DVDが発売されています。

第2回:2/29(木)19:00-21:00 金真美さん 
テーマ:「朝鮮(DPRK)アニメーションの肯定的価値と対立的空間が意味するもの」

・講義概要
 朝鮮(DPRK)では国営の朝鮮中央テレビにおいて毎日「子どもの放送時間」というコーナーが設けられており、20~25分程の「児童映画」が放映されている。その高いアニメーション技術が認められ、80年代からは海外にも輸出がはじまり外国合作作品も多数ある。今回は国内で爆発的人気を誇るシリーズアニメを通して、朝鮮が帝国主義文化に対峙する独自の社会主義文化としての独自のアイコンをどのように生産してきたのかを考察してみたい。

・プロフィール
 朝鮮大学校文学歴史学部准教授。2010年、金日成綜合大学文学大学実習過程修了、朝鮮作家同盟中央委員会候補盟員登録。2015年、朝鮮民主主義人民共和国文学碩士。論文に「朝鮮映画にみる『家庭革命化』政策の展開―シリーズ映画『わが家の問題』を中心に―」(日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究(B)「文化としての社会主義:北東アジアとDPRK」2021年)、『Changes in Women`s Policies of the Democratic People`s Republic of Korea and Images of Women as Reflected in Popular Music』(「S/N KOREAN HUMANITIES」Volume8 Issue1、2022年)など

第3回:3/17(日)17:00-19:00 赤松美和子さん
テーマ:「台湾LGBTQ映画からホラー映画まで―ジェンダー平等?バックラッシュ?」

・講座概要
 台湾において同性婚法制化の前年に行われた国民投票で、同性婚への否定的な票が過半数を超えたのはなぜか。LGBTQ映画を分析対象とし、 1980-90 年代(『ウェディング・バンケット』等)、2000 年代(『藍色夏恋』等)、2010 年代(『GF*BF』等)における子どもと家族に関する表象の変遷を読み解く。『紅い服の少女』『呪詛』などホラー映画における母と家族についても考察する。この30年間、台湾映画が描いてきたのはジェンダー平等か、それともバックラッシュか。

・プロフィール
 大妻女子大学比較文化学部教授。日本台湾教育支援研究者ネットワーク(SNET台湾)発起人。2008年、お茶の水女子大学大学院博士後期課程修了、博士(人文科学)。2022年、お茶の水女子大学賞第6回小泉郁子賞受賞。主要著作に赤松美和子・若松大祐編『台湾を知るための72章』(明石書店、2022年)、『台湾文学と文学キャンプ』(東方書店、2012年)など。

第4回:4/14(日)18:00-20:00 熱田敬子さん
「”健気な被害者”を見たいのは誰ー映画『二十二』は中国の日本軍戦時性暴力の何を描かなかったか」

・講座概要
 2017年に中国で劇場公開された『二十二』(監督・郭柯)は、撮影当時存命中の、中国に居住し、名乗り出た日本軍性暴力被害者22人を取材したドキュメンタリー映画である。歴史的な背景を語らず、被害者の日常にフォーカスしたこの映画は、中国政府の「愛国」主義と一線を隔すと受けとめられ、ドキュメンタリー映画の興行収入を塗り替える大ヒットとなり、映画祭などで鑑賞した日本や韓国の一部の観客からも高い評価を受けた。そこにあるのは、監督の言葉を借りれば、「歴史の証人」ではない、「素朴」で「普通」の老人としての被害者の姿だった。
 しかし、旧日本軍の戦時性暴力を訴えてきた被害者たちは、実際には激しい「怒り」を持ち、日本政府の責任追及の先頭に立ってきた。映画『二十二』は被害者の怒りを削ぎ落し、中国内外の観客が求める被害者像を見せたのである。
 『二十二』のヒットが問いかけるのは、被害国でも長らく排除、差別の対象となって来た戦時性暴力被害の訴えを、一面的な理解で「愛国」と同一視する「リベラル」な観客の問題であり、かわいそうで健気な被害者を観たい観客の保護主義的欲望である。このような点から見れば、中国社会と日本社会は驚くほど共通性がある。
 本講座では、中国の社会背景、日本軍戦時性暴力被害者の運動について解説しつつ、被害者を弱者として描くことの問題性について考えたい。

・プロフィール
 ふぇみ・ゼミ&カフェ運営委員、ジェンダー、社会学研究、北京語翻訳通訳。研究テーマは人工妊娠中絶の体験談の聞き取り、日本軍戦時性暴力被害者の名誉回復運動、東アジアのフェミニズム運動、質的調査法など。共著に『ハッシュタグだけじゃ始まらない:東アジアのフェミニズム・ムーブメント』(編著者:熱田敬子、金美珍、永山聡子、張瑋容、曹曉彤、大月書店、2022)他。

第5回:5月12日(日)18:00-20:00 香港「記者の目で見た激動する香港のケアとジェンダー」(仮)

(「白日之下」(2023)と「淪落の人」(2020)を予定)
※詳細後日

<お申込み締め切り>
・お申し込みの締め切りは 5月31日(金)23:55までです。
・お申込み時点ですでに終了している回につきましては、後から配信でご覧ください。
・zoomでのリアルタイム参加を希望される方は開始時間の1時間前までにはお申込みください。それ以降の直前のお申込みには対応できないことがあります(その場合、後から配信でご覧ください)。

<受講ルールについて>
・zoomのURLは開始1時間前をめどにお申込のメールアドレス宛にお送りいたします。
・zoomで参加する際、表示名は必ずお申込み時にご登録いただいた名前でご参加ください。
 本人確認ができない場合、入室許可ができませんのでご協力をお願いいたします。
・原則として、可能な方はzoomでのカメラオンをお願いしております。
・配布資料や後から配信の無断転載は厳禁です。参加者の方で画面のキャプチャー、録画・録音もご遠慮ください。
・お友達、同居の方などと一緒にご覧になる際も、お1人1枚のチケットをご購入いただくようお願いします。
・Zoomのサポートはいたしません。ご自身で各サイトなどをご覧ください。
・ふぇみ・ゼミは学びの場です。事前の連絡なく、調査研究・取材を主目的として参加することは禁止です。これらの目的で参加を希望される方は、事前にふぇみ・ゼミのメールアドレス(femizemi2017@gmail.com)までご連絡ください。

<後から配信について>
・すべての回で後から配信を行います。
・講座の中でグループディスカッション等があった場合、その部分は後から配信には含まれません。ご了承ください。
・公開保証期間は5回分とも最終回の後から配信をお送りしてから2週間です。

詳細URL https://eastasianmovie.peatix.com
開催日時 2024年01月30日(火)19時00分~2024年05月12日(日)20時00分
主催 一般社団法人ふぇみ・ゼミ&カフェ ~ジェンダーと多様性をつなぐフェミニズム自主ゼミナール
会場 北区赤羽周辺+オンライン(Zoom)
定員 なし
参加費 一般 1800円 学生・寄付者(2023・2024年の寄付に5000円以上寄付くださった方) 1500円 ふぇみ・ゼミU30(2023、2024受講生共に) 1000円、通し券 通し券 一般   8600円 通し券 学生・寄付者 7200円
お申し込み方法 Web
※お申し込みの詳細は、上記URLをご覧ください。
お問い合わせ先 一般社団法人ふぇみ・ゼミ&カフェ
E-mail:femizemi2017*gmail.com (*を@に置き換えてください)

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