2017.11.30
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ICTを活用した授業 体育×ICT③(体つくり運動)

ICTを活用した体育の授業(体つくり運動)について、これまで2回実践を紹介してきました。
[過去の記事はこちら↓]
第一回記事
第二回記事

今回も、前回と同様の単元(高学年、体つくり運動、体力を高める運動、力強い動き及び動きを持続する能力を高めるための運動)です。
これまで使用していた体育の学習カードをMicrosoft Excelを活用してデジタル化(デジタル学習カード)しました。
どうぞよろしくお願いいたします。
DSC_0006.JPG
大阪市立堀江小学校HP
私の自己紹介記事

大阪市立堀江小学校 主幹教諭   (大阪教育大学大学院 教育学研究科 保健体育 修士課程 2年) 川村幸久

◆児童の意欲を持続させるために◆

昨日の自分・自分のグループの記録を上回ることをめあてに

高学年の体力を高める運動の中の動きを持続するための運動は、
 ●一定時間に連続して運動すること
 ●一定の回数反復して運動すること
この2点を通して、動きを持続する能力を高めることをねらいとしています。

文部科学省の学校体育実技指導資料第7集体つくり運動に例示されている動きには、
 ●短なわ、長なわを使って全身運動を続けること
 ●無理のない速さで持久走をすること
 ●固定施設等を利用したサーキット等が例示されています。

例示されている運動を参考に、今回は短なわ・長なわを行いました。
目標は、昨日の自分や自分のグループの記録を1回でもこえるということです。
(目の前の目標を持ってやらなくては、なかなか意欲を持続させて取り組むことができません)
図2.png

◆体力を高める運動のねらい◆

矛盾するようですが

この単元では、
体力の向上を直接の目的としていますが、相対的な数値を向上させることが一番のねらいではありません。
さきほど述べたことと相反していて、矛盾していますが、昨日の自分・自分のグループの記録をこえることがすべて真であるということではありません。
大切にしていることは、
 ●子どもたち自らが工夫して運動に取り組むこと
 ●楽しみながら自分に合った体力を高めることに取り組むことです。

そして、
 ●体力を高めることの必要性を実感すること
 ●どうすれば体力を高めることができるのか、理解すること
 ●体力を高めることについて、学んだことを家や普段の学校生活に生かすことができるようになることを最終目的にしています。
(前置きが長くなりましたが、決して勝利至上主義ならぬ、記録至上主義でこの体育の実践をしているのではないということをおさえておきます)

上記の点を(大前提として)指導者も子どもたちも理解した上で、
その1時間1時間を一生懸命に取り組んでもらいたいので、昨日の自分・自分たちのグループの記録を1回はこえようねと声をかけて授業を行いました。

◆運動1 長なわリレー◆

縄の回し手も移動しながら縄を回す

この長なわリレーの運動は、縄の回し手も移動します。
どのように移動するかですが、まず
写真の赤い矢印の白の線と紺色の線に注目してください。
図4.png


2人の回し手は、この線に沿ってゆっくり移動します。
回し手はこの2人です。
今は、バスケットゴールの下あたりにいます。
図5.png


この2人がしばらく回していると、
図6.png

少しずつ移動して…
図7.png
隣にあるバスケットゴールのあたりまで移動してきました。

体育館の図で見るとこのようなイメージです。
図13.png
回し手が移動することで、跳び手もゆっくりとした速度でジョグをして移動することになります。
少し、持久走の要素が加わります。
2分で回し手を交代して、合計4分間跳びます。
その日の自分たちの記録をタブレット端末のExcelシートに入力し、昨日の自分たちの記録に1回でも勝つことができることをめあてに運動に取り組みます。


余談ですが…
この運動は、ダブルダッチにも関連しています。
関連している所は、長なわの回す方向です。
4.JPG
縄は、写真の矢印の向きのように回します。
これは『むかえなわ』という跳び方です。
ここでは具体的には説明しませんが、ダブルダッチを成功させるために、まずできないといけないのが、このむかえ縄で跳ぶことなのです。
(長なわリレーを通して、むかえなわで全員が跳ぶことができていたので)
この学級の子たちとダブルダッチの学習ができたらよかったなぁと、今思っています。

◆運動2 短なわ◆

1分間で何回跳ぶことができたのかを計測する

今回、短なわで取り上げた跳び方は、
 ●前とび
 ●かけあしとび
 ●前ふりとび
 ●あやとび
 ●かけあしあやとび
 ●前ふりあやとびの6種類です。

児童一人ひとりのタブレット端末には、このようなデジタル学習カード(Excelシート)が入っています。
キャプチャ.JPG

児童は、あらかじめ、それぞれの跳び方の自己ベストを入力しておきます。
(この時、自己ベストの入力は、休み時間にしました)
図9.png

授業では、2人1組になって自分の決めた跳び方に挑戦します。
図10.png

跳び方というところを選択すれば、
2.JPG

このように種類を選択することができるようになります。

1分間の計測を2回交互に行った後、各自のタブレットを開いて記録を入力します。
図11.jpg

記録を入力すると、瞬時に自己ベストとの差が今日の得点として表示されます。
図12.png

さらに、このExcelデータにはしかけがあり、
他のシートを見れば自分のこれまでの記録の変化をグラフでも見ることができます。
3.JPG

学習カードをデジタル化することで、より効率的に、効果的に運動に取り組む児童が増えました。
どうしても単調に、トレーニング的になりそうな運動ですが、意欲を持続させることができました。
ICTありきではなく、ICTの特長を生かした個別・協働学習を促進させるツールとした活用であったと考えています。


最後に、
 ●子どもたちが、運動が楽しいと感じる授業に
 ●子どもたちが、友達と一緒にすることの心地よさを実感する授業に
 ●子どもたちが、もっとこの運動をしたいと思う授業に
 ●子どもたちが、『そうか、なるほど』と動きを高める気づきがある授業に
 ●子どもたちが、次はこういうことに挑戦したいと自分から発する授業になるように、探究していきたいと考えています。

今後は、私が体育の授業で『これまで大切にしてきたこと』『学習中の運動量について』等について書いていきたいと考えています。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

◆学級経営・体育関連記事◆

川村幸久(かわむら ゆきひさ)

大阪市立堀江小学校 主幹教諭
(大阪教育大学大学院 教育学研究科 保健体育 修士課程 2年)
教師生活15年目。これまでの担任・教務主任の経験、大学院での学びを省察し、学級経営やICT活用、体育科教育を中心に、皆様と情報共有をさせて頂ければと思います。

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