2005.08.29
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現役教頭の研修報告(vol.3) 「全国理科教育大会」を取材する!

3週間もあると思った企業研修も、いつのまにか終盤にさしかかった。「学びの場.com」特派員としてのレポートもこれが最後である。 8月3日(水)から5日(金)にかけて、平成17年度全国理科教育大会(テーマ 科学的な自然観の育成を目指して-感じる・試す・考える-)が開催された。3日間合わせて、延べ600人を超える参加者があった。このうち、3日目の5日、東京大学駒場キャンパスでの研究発表および研究協議を取材することができた。 以下、大会の様子を報告する。


化学の研究発表の様子。資料をDVDで配布する人が多かった 

研究発表

大会参加の方たちは、高等学校の先生方ばかりのようだ。猛暑の中、皆さん精力的に研修に励んでいる。大会要項の研究発表予定を見ると、コンプトン振動・スポットライト現象・レイトレーシング法・ダニエル電池・疎水性液・光硬化性樹脂 等々 聞いたこともないような言葉が並んでワクワクする。発表会場では、やっぱりちんぷんかんぷん! しかし、基本的な教授法の理論は同じでした。そして、子供たちの理科離れをくいとどめ、理科好きを大量生産しようとする先生方の熱意と努力と工夫はよく伝わった。

 研究協議前の意見提示の様子;第5分科会

熱心に意見が交換された研究協議の様子
 

研究協議

 午後の研究協議は7つの分科会に分かれ、それぞれ活発な意見交換がされていた。第1~第5分科会は専門的な内容であった。
 第6分科会は『新しい手法を活用した理科教育』のテーマで、情報技術・教育機器の活用を積極的に取り入れた学習について議論が交わされた。DVDやデジタルビデオ等の特性を利用しながら、生徒の興味を引き出すことと、授業の効率化を図ることが論じられた。

 第7分科会は『次期教育課程の課題』のテーマで、学習指導要領の変遷、理科教育のあるべき姿について議論が交わされた。3点の意見提示を足がかりに、熱心な意見交換があった。参加者からは一様に、現在の物理・化学に偏った学習への再考を促す意見や対策が述べられた。また、大学受験のみに目を奪われずに、高校卒業後に社会へ巣立つ子供たちにどんな理科の力をつけておくべきか、学習計画を見直す必要性が確認された。

研究協議前の意見提示の様子;第7分科会
ポスターセッション

ロビー2か所でポスターセッションが行われ、ここでの簡易実験に人だかりしていた。指導案や資料の販売もしていた。意欲的だ。


理科教育用機器等 の展示

 会場では、理科教育に関する資料や参考書、新しい実験用器具などの展示・体験が行われていた。 

ポスターセッションでのやりとりの様子

理科教育用資料・機器展示の様子

大会宣言

 以下の6点が採択された。
(1)思考力・判断力の育成という観点を重視し、確かな学力の育成を目指す理科教育の充実に全力を尽くす。
(2)理科教員として資質の向上に最善を尽くし、指導力の向上を目指す。
(3)理科教育の新たなる飛躍を目指し、21世紀にふさわしい施設・設備の充実を図る。
(4)環境とエネルギーの教育の充実を図る。
(5)夢のある理科教育を推進する「科学技術・理科大好きプラン」の一層の充実に期待し、これを支援する。
(6)全国の理科教育研究団体の協力体制の確立実現に努力する。

 最終日の一日のみであったが、全国理科教育大会の研究発表・研究協議に取材ができてよかった。高等学校の理科の先生方ばかりで、多くが専門的なテーマであったが、生徒を理科好きにしよう、理科の力をつけよう、そういった思いが強く伝わるうれしい大会であった。特に理科の先生の教材開発は興味深いものが多く楽しい。わからないながらも、各分科会の会場はどれもプレゼンを見ているだけで面白かった。また、学習方法は高校になっても同じなんだなあと感じた。東京大学の雰囲気を味わえたのもいい思い出となった。ありがとうございました。

(竹内 宣友)

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