2020.07.06
新しい幼児体育 運動遊び
平成30年度より三法令改正が行われ、幼児教育から順次高い年齢へと新しい教育に切り替わっていきます。現場の先生方はきっと試行錯誤されていることと思われます。幼児体育においても、当然新しいやり方を求められていきます。どのように変えていったらいいのでしょうか。
旭川大学短期大学部 准教授 赤堀 達也
これまでの幼児体育
幼児体育というと跳び箱・マット・鉄棒をできるようにするという暗黙のルールがあります。これまではその目的に向かい、止まって順番待ちし、順番が来たら同じ動作を繰り返し行うことで、できるようにしていこうとしていたかと思います。しかしそれは筋力トレーニングと同じやり方・考え方です。筋力トレーニングでは、ダンベルをもって同じ動作を行い、しばらく休んだ後にまた繰り返します。それと同じことを行っています。
スキャモンの発育発達曲線から幼児期は神経が著しく育つことがわかっています。筋肉がついてくるのは高校時代です。これでは幼児期に合った運動とは言えないでしょう。小学校低学年や中学年くらいまでは相応しくありません。
それではどのようにしたらいいのでしょうか?
体育?体悪?
「何かをできるようにしなければ」という視点を捨てる方がいいです。
以前、バスケの指導に携わった小学校高学年の女の子がいました。
その子は私のスポーツ少年団に所属してはいたものの、運動に劣等感を持っており、運動するのが苦手な子でした。
ある日、跳び箱が3段しか跳べないと言ってきたため、その日は練習の時間を遅らせ、アップの時間を倉庫の中で遊ばせ(本当はいけないですが…)、その後に跳び箱に乗ったり、低い段を跳んだりして遊ばせ、20分くらい経ったころに跳ばせたら、8段まで跳ぶことができました。
これと言って指導していません。それ以降のびのびとバスケにも取り組むようになったのを覚えています。体育が「体悪」になっているのを実感した瞬間でありました。
以前、バスケの指導に携わった小学校高学年の女の子がいました。
その子は私のスポーツ少年団に所属してはいたものの、運動に劣等感を持っており、運動するのが苦手な子でした。
ある日、跳び箱が3段しか跳べないと言ってきたため、その日は練習の時間を遅らせ、アップの時間を倉庫の中で遊ばせ(本当はいけないですが…)、その後に跳び箱に乗ったり、低い段を跳んだりして遊ばせ、20分くらい経ったころに跳ばせたら、8段まで跳ぶことができました。
これと言って指導していません。それ以降のびのびとバスケにも取り組むようになったのを覚えています。体育が「体悪」になっているのを実感した瞬間でありました。
新しい幼児体育=運動遊び
いろいろ遊ばせたり、いろいろと楽しませたりすると良いと思います。
今の子どもたちは、外で遊ばせてもらえません。
公園では木登りもボール遊びも禁止されています。お友達や近所に迷惑をかけないように静かに大人しく遊ぶことを強いられます。
これまでの体育は運動遊びで育った子どもを対象に考えられているものです。今はその前提が変わっています。運動遊びをしていません。幼児体育ではなく運動遊びの場を設定することが大事になります。
今の子どもたちは、外で遊ばせてもらえません。
公園では木登りもボール遊びも禁止されています。お友達や近所に迷惑をかけないように静かに大人しく遊ぶことを強いられます。
これまでの体育は運動遊びで育った子どもを対象に考えられているものです。今はその前提が変わっています。運動遊びをしていません。幼児体育ではなく運動遊びの場を設定することが大事になります。
巨大つみき
私が推奨する遊びの1つに「巨大つみき」というものがあります。
私が掲げる運動理論に合わせて、ゼミ生たちが考え出した遊びです。それをご紹介したいと思います。
ダンボール箱にカラフルな模造紙を貼っただけのただの箱を多く用意します。子どもたちと一緒に作るといいでしょう。
そしてそれを大きいつみきに見立て、並べたり積み上げたりして自由に遊ぶだけです。
ダンボールを持つ際に片手では持てないため、両手がふさがることになります。手の自由が利かなくなるため、自然と体幹を使用することになります。
日本のトップアスリートが体幹にこぞって注目し、様々なトレーニングに取り組んでいますが、この時期の子どもたちにも体幹を使いこなせるようになってほしいです。ただこの時期は体幹筋をトレーニングするのではなく、体幹神経を張り巡らせることを考えるといいでしょう。そのためダンボールの空き箱を使用し、あえて重くないもので活動するようにしています。
このような遊びをゼミ生たちは考え出しました。子どもたちにも実践しましたが、たくさん汗をかいて、長い子で2~3時間遊んでいました。
非認知的能力の育成にもつながる遊びでありました。異年齢でもそれぞれ楽しく遊んでいました。
私が掲げる運動理論に合わせて、ゼミ生たちが考え出した遊びです。それをご紹介したいと思います。
ダンボール箱にカラフルな模造紙を貼っただけのただの箱を多く用意します。子どもたちと一緒に作るといいでしょう。
そしてそれを大きいつみきに見立て、並べたり積み上げたりして自由に遊ぶだけです。
ダンボールを持つ際に片手では持てないため、両手がふさがることになります。手の自由が利かなくなるため、自然と体幹を使用することになります。
日本のトップアスリートが体幹にこぞって注目し、様々なトレーニングに取り組んでいますが、この時期の子どもたちにも体幹を使いこなせるようになってほしいです。ただこの時期は体幹筋をトレーニングするのではなく、体幹神経を張り巡らせることを考えるといいでしょう。そのためダンボールの空き箱を使用し、あえて重くないもので活動するようにしています。
このような遊びをゼミ生たちは考え出しました。子どもたちにも実践しましたが、たくさん汗をかいて、長い子で2~3時間遊んでいました。
非認知的能力の育成にもつながる遊びでありました。異年齢でもそれぞれ楽しく遊んでいました。
最後に
このような視点で幼児体育、運動遊びに取り組まれるといいと思います。今後はこのような活動が求められてくるでしょう。
もしかしたら幼児体育という言葉はなくなるかもしれません。もしよかったら取り組んでみてください。
もしかしたら幼児体育という言葉はなくなるかもしれません。もしよかったら取り組んでみてください。
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参考資料
赤堀 達也(あかほり たつや)
旭川大学短期大学部 准教授・元パーソナルストレッチトレーナー・バスケットボールコーチ
幼児体育指導、小学校のスポーツ少年団指導、中学校の部活動指導、高校の体育指導、大学の体育指導及び部活動指導と、全年代の子どものスポーツ及び体育指導の経験を生かし、子どもの運動能力の向上を図る研究を行う。
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