いつも忙しい中、実習生を指導していただき、大変感謝しております。前回に引き続き、教育実習生・保育実習生に関する記事を書いていきたいと思います。
実習巡回の際のお話や実習日誌の最後のコメントで、現場の先生方からよく「実習生さんはシャイで大人しい学生さんですかね?もっと質問をしてきて積極性をみせてほしい」という意見を多くいただきます。そう言われることが多いため、実習事前指導の授業では「実習先の先生とコミュニケーションをしっかりとって、積極的に質問しましょう」と必ず指導しています。
しかしそれでも実習生の中には、質問をせずに、実習生独自の勝手な解釈をして実習日誌に書き、後から「そうではなくて…」と指導を受けることが多いようです。
実習生に、なぜ実習先の先生に聞かなかったのか問いただしてみると、「聞きづらくて…」「先生方が忙しそうで…」ということが多いです。もう少し深く聞き出してみると、どうも言い訳で言っているわけではなさそうです。
「質問することで、先生と子どもたちの流れを止めてしまうのではないか…」
「実習先の先生方は、子どもの相手だけでも忙しく、そのうえ実習生までいて忙しい状況であるのに、更に手をわずらわせてしまうのは本当に申し訳ない」
と空気を読んでのようです。
現場の先生方も気づいてくださって「なんでも質問していいからね」「落ち着いたときに聞くからね」と仰ってくださる先生が多いようです。本当にありがたいです。ただ、そう言ってもらっていても、このように思っている実習生は一歩が踏み出せないことが多いです。
もちろん積極的に質問できる実習生もいます。一方で、ただ単に聞き忘れた、先生の行動がそこまで深いことだとは思っていなかった、本当にボーっとしている、という実習生もいます。
もし先生方が良かったら、余裕があったら、実習先の先生の方からそのようなきっかけを作っていただけないでしょうか。例えばお話しながら「あの場面で、なぜこうしたかわかる?」「あの時、こんな言い方したけど、どうしてだと思う?」などです。
そこで実習生たちは、「この先生はここまで考えていたんだ」「その一言にそこまで意図を持っていたんだ」と思うでしょう。「そんな大それたことしていませんよ」と、先生方にとってみたらほんの些細なことでも、実習生たちにとってみたらスペシャル級の超実践テクニックです。
実習から帰ってきた学生たちと話をしてみると、そのような会話をしていただいた先生に対して「うちの実習の先生は凄かった」「あんな先生になりたい」と尊敬の念を抱くことが多いようです(残念ながら大学・短大の先生は学生から尊敬されることはほとんどないです…)。
日本人の文化で「(伝統は)見て学べ」「自慢は嫌われる」「言わなくてもわかるだろう」的なものがあるため、多くを語らない先生方も多いようですが、時代は完全に変わりました。いろいろな思考を巡らし指導テクニックを駆使していても、大抵の実習生はわからないです。少しの時間だけでいいので実習生とお話していただき、きっかけを作っていただけた本当にありがたいです。
いつも現場の先生方に助けていただいています。ありがとうございます。
赤堀 達也(あかほり たつや)
旭川大学短期大学部 准教授・元パーソナルストレッチトレーナー・バスケットボールコーチ
幼児体育指導、小学校のスポーツ少年団指導、中学校の部活動指導、高校の体育指導、大学の体育指導及び部活動指導と、全年代の子どものスポーツ及び体育指導の経験を生かし、子どもの運動能力の向上を図る研究を行う。
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