2019.03.06
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部活動問題から提唱する幼児期・児童期の保育・教育について(2)

コーディネーション能力

旭川大学短期大学部 准教授 赤堀 達也

前回、各地で部活動問題が噴出していることから、幼児期や児童期の保育・教育に非認知的能力を取り入れてみるといいのではということを提言しました。その際に、コーディネーション能力を意識して運動遊びに取り組むと効果が上がりやすいです。そのコーディネーション能力について説明したいと思います。

コーディネーション能力とは、ドイツ発祥で、もともとトップアスリートを育成するために考案されたものです。その能力を育成する方法をコーディネーショントレーニングと呼んでいます。そのトレーニングは神経系に働きかける特性があるため、その行い方を工夫すれば、幼児期や児童期にとても有効な遊びとなります。ちなみにコーディネーション能力とは7つに分類され、

<7つのコーディネーション能力>

  • リズム能力
  • バランス能力
  • 連結能力
  • 定位能力
  • 識別能力
  • 変換能力
  • 反応能力


となっています。通常、運動能力を高める際に、例えば、速く走るために足の筋肉を強くする、ボールを遠くに投げるために肩を強くするといったような出力を考えがちですが、この考え方の特徴としては、目をよくする、耳をよくするといったような入力から着目していることがあげられます。
例えば野球の外野の選手は、バットの「カキーン」の音を聞いて、手前なのか頭を越すのか判断できるといいます。またサッカーの名プレイヤーは視野が広く、右を見ながら、左から走りこむ選手にアシストパスを出したりします。このよう高度に情報を入力できるようにするようにトレーニングしていくものがコーディネーショントレーニングです。幼児期・児童期はこのようなことを運動遊びとして行っていくといいです。

それぞれの能力について簡単に説明しましょう。

  • リズム能力…音楽に合わせる能力。また見て真似する、イメージしたものを具現化する力も含む。
  • バランス能力…バランスを保ち続けたり、崩れたバランスを立て直したりする能力。
  • 連結能力…体をタイミングよく無駄なく動かす能力。
  • 定位能力…物や人との距離・速さ・時間と関連付けながら動く能力。空間認知能力。
  • 識別能力…道具やボールを操る能力。
  • 変換能力…予測したり、予想外な出来事に対応したりする能力。
  • 反応能力…音や合図に適切に反応する能力。


となっています。幼児期・児童期は、先ほども申したように人生のうちで最も神経が育つ時期であるため、これらの能力を偏ることなく満遍なく行い、後の可能性を広げるように考えてあげるといいです。次回はその実践例を紹介していきたいと思います。

赤堀 達也(あかほり たつや)

旭川大学短期大学部 准教授・元パーソナルストレッチトレーナー・バスケットボールコーチ
幼児体育指導、小学校のスポーツ少年団指導、中学校の部活動指導、高校の体育指導、大学の体育指導及び部活動指導と、全年代の子どものスポーツ及び体育指導の経験を生かし、子どもの運動能力の向上を図る研究を行う。

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