2017.03.24
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子ども達の成長・発達のために『今よりもっと、繋げよう!繋がろう!』

特別支援教育とは、特別な支援・教育をすることだけはなく、
特別な才能のある子ども達を、皆が繋がり協力・連携して、支援教育すること!

京都教育大学附属特別支援学校 特別支援教育士・臨床発達心理士・特別支援ICT研究会 中川 宣子

学校は、卒業式を終え、間もなく一年の学習の終わり「修了式」を迎えます。
そして、この「学びの場
.com:第二十期教育つれづれ日誌」も、
今回が最終回となりました。
これまで「デジタル連絡帳アプリ」による教育支援連携活動について、発信してきましたが、
おかげさまで、全国から、また海外の日本人学校からも、ご意見や問い合わせをいただくことができました。
皆さん、ありがとうございました!!

最終回は、今後の「デジタル連絡帳アプリ」による教育支援連携活動、
『今よりもっと、繋げよう!繋がろう!』です。

「繋ぐ」「繋がる」

これまで連載してきた「デジタル連絡帳アプリ」による教育支援連携活動は、
「繋ぐ」「繋がる」がキーワードでした。
「デジタル連絡帳アプリ」によって、
子どもと子どもが繋がり、
子どもと家族が繋がり、
保護者と教師と学校が繋がることが、
子どもの成長・発達に大きな影響を与え、
結果、よりよい子どもの成長・発達の姿を導きました。

「繋がる」ことは難しい!

これまでもよりよい教育において、
子どもと子どもが繋がり、
子どもと家族が繋がり、
保護者と教師と学校が繋がることの重要性は、
誰もが承知のことです。
しかし現実は難しい!

子どもと子どもが繋がろうとしても、
言葉では伝わりにくい、
相手のことを知らない、
互いのことがわかり合えない。
子どもと家族が繋がろうとしても、
毎日の生活が忙しい、
子どもの起きている時間に帰宅できない、
ゆっくり子どもの話をする時間がない。
保護者と教師と学校が繋がろうとしても、
行き違いがある、
言葉の解釈から誤解が生じる、
立場の違いがある。
というように、
「繋がる」ことの重要性はわかっていても、
なかなかうまくいかないのが現実でした。
心当たりはありませんか?

「デジタル連絡帳アプリ」で、子ども情報が、繋がった!

子どもを中心として、保護者も教師も学校も、
子どもの成長・発達を思い、願う気持ちは同じです。
しかし、それぞれの立場から一所懸命になればなる程、
繋がるどころか、バラバラになってしまうことさえあります。

そこで「デジタル連絡帳アプリ」はまず、
子ども情報を繋げました。

ICTのメリットである写真や動画の活用は、
言葉だけの情報よりも、はるかに、
子ども情報の量と質を向上させました。

一枚の写真やほんの一場面の動画からは、
対象とする子どもの姿だけではなく、
周囲にいる友だちや先生の関わり、
使っている教材・教具といった、
子どもを取り巻く学習環境までも伝えることができました。

また家庭からの子ども情報においても、
子どもがどのような家庭学習環境であるかや、
ご両親の何気ない支援の仕方や、
兄弟姉妹のかかわりなども、垣間見ることができました。

これまで学校内だけで、あるいは家庭内だけでしか、
知り得なかった子ども情報が、
「デジタル連絡帳アプリ」によって「見える化」となり、
互いに子ども情報を知り合えるようになった、
つまり、子ども情報が、繋がった!のです。

「繋がる」ことで、子ども達は?

子ども情報が繋がると、子ども達にとって、
どんな変化があったでしょうか?

「すごいやん!と言ってもらえた」
「がんばってるね!と褒められた」
「見てみて!聞いて聞いて!が伝わった」

「デジタル連絡帳アプリ」によって、子ども情報が繋がることで、
自分のことを知ってもらえた、
伝えたいことが伝わった、
褒めてもらうことが多くなったと、
子ども達は、自分が皆から認められているという実感を得られるようになりました。

これは、アメリカの心理学者アブラハム・マズローの欲求5段階説(自己実現理論)でいう
4階層の「尊厳欲求(承認欲求)」が満たされていることにあたり、
子ども達の学習やコミュニケーションに対するモチベーション向上に繋がりました。

子ども達の成長・発達のために、「今よりもっと、繋げよう!繋がろう!」

家庭と学校の子ども情報は、
「デジタル連絡帳アプリ」によって繋がりました!

そして今後は、もっと繋がることで、
子ども達の成長・発達のための教育支援連携活動を強化できる!
と考えています。

その一つは、家庭と学校だけではなく、
地域、医療、福祉と、子どもを中心とした関係諸機関が繋がることです。

特別支援学校に在籍する多くの子ども達が今、放課後等デイサービスを利用しています。

また児童相談所や医療も利用しています。
それぞれの場で得られた子ども情報を、
子どもを中心に、横に広く繋げていくのです。

と同時に、個別の教育支援計画や個別の指導計画といった、
子どもの誕生、就学前から小・中・高の12年間、そして卒業後といった
一生涯にわたる情報、縦の繋がりも必要です。

さらには、一個人だけでなく、
特別支援学校と特別支援学校、地域の小・中学校と特別支援学校といったように、
学校間を繋げることによって、教材・教具や指導法に関するノウハウを情報共有し、
子どもに関する学習情報はさらに繋がることができます。

このように、まだまだ繋がりたい!繋げたい!ことがあり、
今よりもっと繋がることで、
教育支援連携活動は効率的、効果的に強化され、
子ども達一人一人が、
自立と社会参加に向かう成長・発達へと繋がるのではないでしょうか。

私も子ども達のための教育支援連携活動の一員として、
今後も「繋げよう!繋がろう!」に貢献していきたいと思っています。

子ども達の成長・発達のために、今よりもっと繋げよう!繋がろう!

最終回さいごに・・・

最後に、
これまで読んでくださった方、「学びの場
com.」事務局の方には、数々の応援をいただきました。
応援あってこそ頑張れることも実感いたしました!

これからも子ども達の成長・発達のための応援が、一人、二人と繋がっていくような発信を!
これまで、本当にありがとうございました!
そして引き続き応援の程、よろしくお願いします!
感謝!

中川 宣子(なかがわ のりこ)

京都教育大学附属特別支援学校 特別支援教育士・臨床発達心理士・特別支援ICT研究
「特別支援教育とは、子ども達の特別な才能を学校・家庭・地域の連携により支え、教え、育てること」と考えています。日々の教育実践を、情報発信・交流し合い、共に子ども達の成長・発達に役立てていきましょう!

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