前回は正しく問題文の条件(人の発言など)を読み取って、次の4つのポイントをよりどころにして、問題を解きました。 ●前回のまとめ ポイント1:まずは、条件の文を正しく理解する。 ポイント2:明らかになっているところ(条件)から考えて、それを手がかりに順序よく考えていく。 ポイント3:条件を表や図にする。 ポイント4:強弱・大小・長短などで、順位をつける場合、矢印で図に表すと解きやすくなる。 今回は問題文の条件(人の発言など)にウソが含まれている場合について考えます。 解説はできるだけていねいにしました。そのため、少し長くなっています。理解できないところがあっても続けて、じっくりと読んでみてください。 それでは、次の問題に挑戦してみてください。論理問題の考え方を説明するための有名な問題です。 天使、悪魔、人間の3人がいます。天使はいつでも本当のことを言います。悪魔はいつでもウソをつきます。人間は本当のことを言ったり、ウソをついたりします。3人が次のように言いました。 黒いシャツを着た少年「私は天使ではありません」 青いシャツを着た少年「私は人間ではありません」 白いシャツを着た少年「私は悪魔ではありません」 3人の正体はそれぞれ何でしょうか? 解法を見る ある事件について、現場にいたA、B、C、D、Eの5人が次のような証言をしました。犯人はこの5人の中の1人です。犯人だけがウソをついており、その他の4人は本当のことを言っています。真犯人は誰になりますか。 Aの証言「私はずっとCと一緒にいましたから、私もCも犯人ではありません。」 Bの証言「犯人は、A、C、Dの中にいるはずです。」 Cの証言「Eは犯人ではありません。」 Dの証言「私から見えるところにA、C、Eはずっといたので、犯人ではありません。」 Eの証言「A、Bのどちらかが犯人です。」 解法を見る A、B、Cの3人が100m競争をすることになりました。観客Dと観客Eが1着と2着の順位予想を次のように立てました。 観客D「1着はA、2着はB」 観客E「1着はB、2着はC」 競争の結果、同着はなく、2人の観客の予想はそれぞれ1着と2着のどちらか一方の順位だけが当たっていました。実際の順位はどうだったでしょうか。 解法を見る 天使、悪魔、人間の3人がいます。天使はいつでも本当のことを言います。悪魔はいつでもウソをつきます。人間は本当のことを言ったり、ウソをついたりします。3人が次のように言いました。 黒いシャツを着た少年「私は天使ではありません」 青いシャツを着た少年「私は人間ではありません」 白いシャツを着た少年「私は悪魔ではありません」 3人の正体はそれぞれ何でしょうか? ■ 解法 いかがですか?お手上げの方も多いのではないでしょうか? わからない方は次のように仮に決めて(予想して)考えてみてください。 まず、黒いシャツの少年から考えてみましょう。 「黒いシャツの少年の正体は天使」と仮に決めて(予想して)みます。 黒いシャツの少年は「私は天使ではありません」と言っています。 天使はいつも本当のことを言うので、天使でありながら、「私は天使ではありません」とウソはつきません。よって「黒いシャツの少年の正体は天使」という予想はハズレです。 ※ここまで読んで、理解できなくても続けてこの問題の解説の最後まで読んでみてください。 では、次に「黒いシャツの少年の正体は悪魔」と仮に決めて(予想して)みます。 黒シャツの少年は「私は天使ではありません」と言っています。 悪魔はいつでもウソをつくので、悪魔でありながら「私は天使ではありません」と本当のことを言いません。 よって「黒いシャツの少年の正体は悪魔」という予想はハズレです。 結局、黒いシャツを着た少年は、天使でも、悪魔でもないので、正体は人間であることがわかります。 念のため、「黒いシャツの少年の正体は人間」と仮に決めて(予想して)みます。 黒シャツの少年は「私は天使ではありません」と言っています。人間は本当のことを言ったり、ウソをついたりするので(この場合、本当のことを言っている)、問題文の条件とは食い違いありません。 黒いシャツを着た少年は人間であることが、判明しました。
次に、青いシャツの少年について考えます。 「青いシャツの少年の正体は天使」と仮に決めて(予想して)みます。 青いシャツの少年は「私は人間ではありません」と言っています。 天使ならば「私は人間ではありません」という発言は本当のことなので、青いシャツの少年は天使である可能性があります。 では、「青いシャツの少年の正体は悪魔」と仮に決めて(予想して)みます。 青いシャツの少年は「私は人間ではありません」と言っています。 悪魔なのに「私は人間ではありません」と本当のことを言っています。 よって「青いシャツの少年の正体は悪魔」という予想はハズレです。 青いシャツの少年の正体は人間である可能性もありますが、人間は黒いシャツを着た少年に確定しているので、青いシャツの少年の正体は天使です。
残る、白いシャツを着た少年の正体が悪魔です。念のため、問題文の発言を見ても「私は悪魔ではありません」とウソをついているので、本当に悪魔であることがわかります。
ある事件について、現場にいたA、B、C、D、Eの5人が次のような証言をしました。犯人はこの5人の中の1人です。犯人だけがウソをついており、その他の4人は本当のことを言っています。真犯人は誰になりますか。 Aの証言「私はずっとCと一緒にいましたから、私もCも犯人ではありません。」 Bの証言「犯人は、A、C、Dの中にいるはずです。」 Cの証言「Eは犯人ではありません。」 Dの証言「私から見えるところにA、C、Eはずっといたので、犯人ではありません。」 Eの証言「A、Bのどちらかが犯人です。」 ■ 解法 この問題もウソを含む問題なので、仮に決めて(予想して)考えてみましょう。 Aが真犯人と仮に決めると(予想すると)、 Aは「私もCも犯人ではありません」と言っているので(犯人でありながら犯人でないと言っているので)、Aはウソをついていることになります。 Bは「犯人は、A、C、Dの中にいるはずです。」と本当のことを言っていることになります。 Cは「Eは犯人ではありません。」と本当のことを言っていることになります。 Dは「A、C、Eはずっといたので、犯人ではありません。」とウソをついていることになります。 Eは「A、Bのどちらかが犯人です。」と本当のことを言っていることになります。 すると、ウソをついているのは、AとDの2人になってしまい(犯人が2人になってしまい)、問題文と食い違いが生じます。よって、Aは犯人ではないことになります。 ここで、前回説明したポイント3:条件を表や図にする。 を活用するとわかりやすくなるので、次のように表にして考えてみます。
続けて、B・C・D・Eの順に真犯人を仮に決めて(予想して)、5人の発言がどうなるかを、先と同様に調べてみると、次のようになります。
問題文の条件から、犯人は1人で、しかもウソをついている人になります。 作成した上の表より、ウソをついているのが1人なのは、 ・Bが真犯人と仮に決めた場合 ・Dが真犯人と仮に決めた場合 の2通りです。 ところが、Dが真犯人とした場合は、ウソは1人ですがEがウソをついているので、問題文と食い違いは生じます(犯人はウソをついていなければならないから)。 Bが真犯人と仮に決めた場合は、Bがウソをついているので、問題文と食い違いはありません。よって、Bが真犯人です。 ■ 答え:B
(2)Bが2着であったと仮に決めると
(3)Bが1着であったと仮に決めると
(4)Cが2着であったと仮に決めると
結局、(1)と(4)の仮に決めたことは、問題文の条件とは食い違いが起こらず、順位は 1着A、2着C、3着B となります。 ■ 答え:1着A、2着C、3着B ●●●●●●●●●● 論理の問題を考え方・解き方のポイント ●●●●●●●●●●
ポイント1:まずは、条件の文を正しく理解する。 ポイント2:明らかになっているところ(条件)から考えて、それを手がかりに順序よく考えていく。 ポイント3:条件を表や図にする。 ポイント4:強弱・大小・長短などで、順位をつける場合、矢印で図に表すと解きやすくなる。 ポイント5:ウソを含む問題では、仮に決めて(予想して)、問題文との食い違いを見つけていく。 今回の解説文中で使った言葉で「仮に決める(予想する)」は「仮定する」の意味、「食い違い」は「矛盾」の意味と同等のものとして理解してください。 |