50年前のロケットを飛ばそう! 「ペンシルロケットフェスティバル」
直径2cm、全長23cm、重量約200g。両手にすっぽりおさまるほどの小さなロケットが、50年前に糸川英夫博士によって日本で初めて打ち上げられた。これを記念して幕張メッセで「ペンシルロケットフェスティバル」(主催:宇宙航空研究開発機構)が行われる。今回のイベントの企画を担当されたJAXA広報部の平川倫子さんと宇宙教育推進室主査の堀口俊尚さんに、「ペンシルロケットフェスティバル」の見所をお聞きした。
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50年前に日本ではじめてロケットが打ち上げられたことはご存知だろうか。直径2cm、全長23cm、重量約200g。そのその軽量コンパクトな形から、ペンシルと名づけれられたロケットが、1955年4月12日、糸川博士によって打ち上げられた。
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50年前に使用された実験装置。木の枠に電線を通した半紙が取り付けられている。(写真提供:JAXA) |
それからちょうど50年目の今年、20代、30代の若手エンジニアたちが、当時の設計図や論文を読み解き、50年前と同じペンシルロケットを再現。8月19日の「ペンシルロケットフェスティバル」で、実際に飛行実験を行う。 ロケットといえば、「上に打ち上げるもの」というイメージがあるが、ペンシルロケットは、「水平発射」といって、横向きに発射する。なぜなら、50年前に飛行したロケットには、飛翔状況のデータを正確に記録できるシステムがなく、上に打ち上げたのでは、ロケットの行方を追うことができない。そこで、水平に発射し、高速度カメラで撮影するほか、木の枠に電線を通した半紙を貼り付けた装置をつくり、ペンシルロケットが紙を突き破るタイミングや破け方で、飛翔状況を確認したという。「ペンシルロケットフェスティバル」では、この実験装置も当時のままに再現するという。 |
クイズラリー全問正解者にもらえるスペースバンド。このスペースバンドをつけることは、次の50年のロケット開発を自分が支える、という決意表明でもあるのだ。(写真提供:JAXA) |
余談だが、スペースシャトル・ディスカバリー号に搭乗した野口宇宙飛行士は、糸川博士の夢を宇宙に届けるべく、50年前に飛行したペンシルロケットの実機を宇宙ステーションに持ち込んだという。ペンシルロケットに込められた野口宇宙飛行士のメッセージを紹介しよう。
今回お話いただいた平川さん(向かって右)と堀口さん。手にしているのは、日本が誇る2大ロケット、M-V(向かって右)とH-IIA(同左)の模型。 |
展示されている宇宙服のレプリカ。かなり大きい! |
JAXAについて知りたい方のために!~ショールーム「JAXAi」~ 「ペンシルロケットフェスティバル」を主催するJAXAのショールーム「JAXAi」がJR東京駅丸の内北口前の丸の内オアゾにある。JAXAiでは、宇宙航空関係の最新情報を提供している。野口宇宙飛行士のフライト中は、NASA TVでミッションの模様を生中継で放映。宇宙服のレプリカや、話題のスペースラム(宇宙食ラーメン)の実物も展示された。貴重な映像資料やビデオソフトの貸し出しも行っている。ぜひ一度訪ねてみて!
(取材・文/学びの場.com 高篠栄子) |
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