2006.06.06
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教育の未来は!?~第11回New Education Expo2006 in 東京 ◆EXPO大阪も大盛況!

今年11年目を迎えるNew Education Expo2006(以下NEE)。6月1日~3日の東京開催、3日間で入場者は5000人を超えた。6月7日、8日には大阪で開催(当日現地受付可)、秋にはさいたま、つくば、名古屋での開催も予定されている。

 

 毎回NEEでは、教育界の著名人をお迎えしての基調講演と、「教育改革」「大学改革」「教育の情報化」「理科教育」「語学教育」「子どもたちの安全・安心」などの各テーマでセミナーや実践事例の報告が行われる。

 今回の基調講演では中央教育審議会会長の鳥居泰彦氏、文部科学省初等中等教育局長の銭谷眞美氏、文部科学省大臣官房政策評価審議官の樋口修資氏、社団法人日本教育工学振興会会長の坂元昂氏、独立行政法人メディア教育開発センター理事長の清水康敬氏をお迎えし、各会場とも満席状態の盛況ぶりであった。

 


「世界と日本の教育改革」
鳥居泰彦氏



「世界の教育の情報化緊急レポート」
坂元昂氏
 

 テーマ別セミナーでは全43の発表が行われた。文部科学省大臣官房広報調整官の寺脇研氏、山田純二氏、藤原和博氏、倉光恭三氏らを迎えたパネルディスカッション「民間人校長サミット~学校改革はできるのか」(6月1日)、韓国教育工学会会長のクオン・ソンホー氏、日本教育工学会会長の赤堀侃司氏、日本福祉大学の影戸誠氏によるパネルディスカッション「どう動く アジアの情報教育」(6月3日)など、興味深い特別企画も催された。

 
「民間人校長サミット」
寺脇研氏、藤原和博氏、
山田純二氏、倉光恭三氏

「どう動くアジアの情報教育」
クオン ソンホー氏、赤堀侃司氏、
影戸誠氏
 

 また、初めての試みとして、筑波大学附属小学校の児童40名が参加する公開授業「国語・算数教育におけるICTの活用」(6月3日)も行われ、現場の教師たちの興味を惹いた。


学びの場.comも出展しました!


 展示ゾーンでは、約90社が最新の教育システム、教材等を出展した。今年目新しかったのは、情報セキュリティに関する商品、校務サポートツールなどの展示。また、e黒板、デジタルコンテンツなど、教育の情報化を推進する製品群は、ここ数年毎回展示され注目を集めているが、今年はより使いやすく、また高機能に進化しているという印象だった。

 

以下、目に付いた製品をいくつか紹介する。

Scan Snap~スキャンスナップ(株式会社PFU)

紙の文書を瞬時(A4両面カラー1分間に18枚)にスキャンして自動的にPDFに変換してくれる優れモノ。以前「教材大研究」でも紹介したが、ちょっと見ない間に随分進化していた。思わず「うっそー!」と叫んでしまったのが、文書をPDFだけでなく、ワープロソフトや表計算ソフトにも変換してくれること。ワープロや表計算ソフトで作った過去の文書を上書きして編集したい、でも元データを紛失して紙しか残っていない、ということはよくあるだろう。そんな時は面倒でもイチから入力しなければならなかったが、スキャンスナップがあればそんな手間も無用だ。

プラズマ電子情報ボード(パイオニア株式会社)

会場でひときわ目を惹いていたのがこれ。画面上に直接書き込みができ、画面上で直接パソコン操作ができるのはもちろん、カメラも付いた! 電子情報jボード(e-黒板)がますます進化。

eB-P e-黒板アシスタント(株式会社内田洋行)

e-黒板はここ数年注目を浴びているが、黒板と併用できることで人気が高いのがこれ。外部操作パネルがついて、黒板上で直接PC操作ができるようになった。

 


CO2濃度計で実験中

CO2濃度計(株式会社内田洋行)
左の写真は、植物に光を当てて光合成をさせることにより、空気中のCO2量がどのように変化するかを測定する実験装置。CO2濃度計はPCにつなぐことができ、測定値は自動的に折れ線グラフで表示される。
試しに測定器にフッと息をふきかけると数値が急上昇。ちょっと感動。

パスツールの実験装置(株式会社内田洋行)
パスツールの実験とは、カビや細菌が何もない所から自然にわいてくる、という当時の常識を覆した、ルイ・パスツールの有名な実験だが、この実験に使われる「白鳥の首フラスコ」は、高価で手入れが難しいという難点があった。これを手軽に授業の中でもできることを可能にした装置。

 

百ます計算対応電卓(CASIO)

脳を鍛えるゲームが売れているらしいが、高額なゲーム機を買わずとも脳が鍛えられそうなのがこの電卓。百ます計算、虫食い算、九九ドリルなどチャレンジしたいメニューのボタンを押し、制限時間あるいは問題数を設定してスタート。次々と出てくる四則計算式に解答していく。正答率も即座に計算。もちろん普通の電卓としても使える。

 


小4上「電気のはたらき」の単元に使える教材セット

単元材料セット(株式会社ウチダテクノ)

理科離れの原因のひとつに、実験時間の減少が挙げられているが、この単元材料セットは、単元ごとに必要な実験道具が1グループ(6名程度)分、全部そろって箱に入った状態の商品。1セット5000円~というのも嬉しい。


ソーシャルスキルトレーニングボードゲーム(株式会社内田洋行)

LD、ADHD、高機能自閉症(アスペルガー症候群)、軽度発達障害といわれる、特別な支援を必要とする子どもたちのための教材がいくつか展示されていたが、最近注目されているのがソーシャルスキルトレーニングの教材だそうである。
たとえば、このソーシャルトレーニングボードは、いわゆる双六(すごろく)。普通の双六と同様さいころをふってコマを進めていくが、コマを進めるごとにカードを引きカードに書かれた問に答えていく。例えば「○○君は貸したものを返してくれません。あなたは何といいますか?」といった問があり、相手を傷つけずに自分の意見を上手に伝えるためにどのような言い方をすればいいかを考えさせる。言いたいことがうまく表現できずに手を出してしまう、などのトラブルは、小さい子どもにはだれにでもあることなので、特別支援を必要とする子だけでなくこどもたちみんなで取り組んでもいい教材である。

他にも、ほう、なるほど!と驚かされ、教材も教具も進化し続けていることを実感させられる製品が多数展示されていた。今回機会を逃した方も、ぜひ次の機会にはNEEでこれらの製品を体験して欲しい。

(取材・文:学びの場.com 高篠栄子)

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