教育セミナー「校長就任 半年を問う」 杉並区立和田中学校
東京都初の民間出身の校長として、杉並区立和田中学校に就任した藤原和博氏、100ます計算でお馴染みの陰山英男氏がパネラーとして、作家の林真理子さんがコーディネーターとして参加するという、なんとも豪勢なイベントが10月11日に開催された。当日は、今話題となっている2人の校長の話を聞こうと、PTAや学校の先生など、多くの教育関係者が会場に足を運んだ。
藤原和博氏 陰山英男氏 林真理子さん 600名が会場に詰めかけた。 作曲家の三枝成彰氏もディベートに参加!
堂々と意見を述べる生徒たち |
今年4月、杉並区立和田中学校に東京都初の民間出身の校長として藤原和博氏が就任した。藤原校長は就任以来、中学生に生きた社会科を学んでもらおうと、[よのなか]科など特色ある授業を行うなどして注目を集めている。10月11日には、その和田中学校を会場に、藤原校長や同じく今年4月から広島県尾道市立土堂小学校の校長に就任した100ます計算でお馴染みの陰山英男氏がパネラーとなり、「校長就任 半年を問う」をテーマにした教育セミナーが開かれた。当日は、今話題となっている2人の校長の話を聞こうと、PTAや学校の先生など、多くの教育関係者が会場に足を運んだ。 今回の教育セミナーを主催したエンジン01(ゼロワン)文化戦略会議は、幅広い分野にわたって、表現者や思考者たちが集まったボランティア集団。日本の文化を深めることを目的に活動しており、藤原校長も会員に名を連ねている。この教育セミナーは、今年3月に中央区立泰明小学校で開催されたイベントに続くものとなる。 ■土曜日の休みは是か非か生徒達がディベート 2部構成となるセミナーの第1部は、和田中学校の生徒とエンジン01(ゼロワン)文化戦略会議会員による集団ディベート。学校週5日制になって土曜日が休みとなったが、土曜日はこのまま休みで良いか、それとも授業を復活させるべきかについて討論がなされた。 そうした大人達に混じって、和田中の生徒たちも大人に負けず、しっかりとした意見を述べていった。「早起きしなくて良いので土曜の休みがうれしい」、「土曜日が休みになって自分の好きなことがでできるようになった」などの意見が、土曜日は休みで良いという側の代表的な意見。その一方で、授業を復活させた方が良いという側からは、「土曜日が休みだと平日の授業時間が増えるのがいやだ」、「土曜日が休みになって生活のリズムがくるってしまった」といった意見が上がった。 「このディベートにより、完全週5日制が是か非かの答えを出そうというものでは無い」と説明する藤原校長。こうして、それぞれ違った考えを持った者が意見を取り交わすことが大切だと語る。そして、まとめとして陰山校長が、「学力低下の問題以上に、朝早くに起きられないという子どもが多く体力低下の方が心配。しきりに学力低下と騒がれるが、その原因を探ることなく制度を動かそうとするのは危険なこと。事実に則って冷静な議論を交わすことが大事」と語り第1部が締め括られた。 ■パネルディスカッション 陰山校長に問う ■2人の新任校長が語る、これからの学校教育 まず、藤原校長が「学力低下の問題は社会問題で、学校だけで出来ることは限られている」と訴える。小学校も中学校も主要科目を習うのは時間にして1年間に400時間程度で、お父さんの通勤時間とほぼ同じだという。これで土曜日の授業を復活させたとしても、この数字は大きく変わるものでは無いと説明する。子どもの学力を伸ばすためには、学校に任せきりにするのではなく、家庭や地域での取り組みが重要になると語る。 また、杉並区では学校選択制がしかれているが、地域に開かれた学校づくりを行っているところが目に見えて改善されてきていると、藤原校長は語る。ここで、杉並区で保護者が主体となって進めている土曜学校について説明してもらうため、会場に来ていた学校教育コーディネーターの方が藤原校長から紹介された。その土曜学校でも、子どもが進んで来たくなるような場所づくりが行われているという。 最後にこれからの活動の話になると、「今後も子ども達の能力が伸びるカリキュラム作りにつとめる」と陰山校長は語り、「子どもを成長させることは親子のアプローチの一つ。自分の子どもが伸びていく姿は、親に喜びを与えてくれる。土曜日が休みになったことで、子どもが家にいる喜びを感じてほしい」と、家庭での教育の重要性を改めて強調した。 ■今回のセミナーを振り返って
(取材・構成:田中雄一郎)
【陰山英男】 エンジン01(ゼロワン)文化戦略会議ホームページ |
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