期末考査が終わりました。定期考査の採点を終えて平均点が出ると、他のクラスより高い、低いでクラスごとに成績が序列化されます。(結果として指導者の責任が問われます。)はたして、平均点を見ただけで英語の実力に関して何がわかるというのでしょうか。数学のように一つの問題に対して解が一つと限定されていれば、採点基準を決めるのにそう大きな問題にはなりませんが、英語の場合には記述問題となると採点者間で一定のルールを決めていても、採点者の英語に対する考え方によって大きく変わってくる場合があります。例えば、英語として意味が通じていれば多少文法的にぎこちなくても〇にする教員もいれば、考査という性格上、間違えは間違えであるとみなすのか、その判断は往々にして採点者に任せられます。採点基準に関する問題に関連して更にいえば、大学入試の問題に出てくる英作文の解答を公開しない、採点基準を示さないのもより大きな問題をはらんでいるといえます。今回は考査の内容や採点方法に関して私が考えていることを述べたいと思います。
旧課程のライティングや現行の課程の英語表現の授業では、文法書準拠の問題集を使って穴埋めや並び替え問題を解かせることが多いのではないでしょうか。ですので、結果として試験問題にも並び替えや、空欄補充、書き換え、4択の記号選択の問題が出題されます。この種の問題で、採点に関して大きなずれが生じることは少ないです。ただ、現行の課程の英語表現になってからは、科目の趣旨に合うように、従来の試験形式に加え、自分自身のことについて英語で書く問題を多く取り入れています。並び換えや穴埋め問題だけやっていると、正当数=英語力のようにとらえられていて、それに基づいて評価もつくわけですが、本当に英語の力が身についているのでしょうか。その答えは否であるといえます。過去形を習った際の考査問題に、How long did you study English yesterday?という問いを出題したところ、それに対してI was studied,やI did study, I studyed のような間違えが散見されました。be動詞と一般動詞の区別がついてないのがはっきりと分かります。これが4択だと正しい答えを選べても、いざ実際に自分が使うとなると先ほどのような間違いが見られるわけです。実際の使用を意識した練習の必要性を強く感じています。また、これを採点する際にどこまでを正当とみなすのかに関して、私はスペルミス以外は認めない考えですが、採点方法を相談したところ、共通で教えている先生は半分ぐらい点数を上げても良いと考えているようでした。これが累積すれば5点ぐらいに差が出てきてもおかしくはないです。採点をする側になって感じていることですが、採点は個人的な作業になりがちで、不透明さがつきまとう部分があります。どのようにしたらぶれのない採点を行っていけるのか。英語力を正しく測るテストとはなにか深く考えてみたいと思います。
神戸 崇寛(こうべ たかひろ)
駿台学園高等学校 英語科教員
英語の文法に興味があり、大学院で研究してきました。2011年より現勤務校。日々英語を教えながら学び感じ取ったことをお伝えし、 皆さんと共有していきたいと思っています。
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