勤務校では2年に1度、研究授業を行うことになっています。本来なら、1年目に行うものですが、私は先日行いました。科目は本年度から始まった英語表現Ⅰ、教材はNew Favorite(東京書籍)です。Lesson3 A Letter to the Future Meという10年後の未来の自分に向けて手紙を書くという設定で、現在時制(現在形、現在進行形)の文法事項を扱いました。
以下に大まかな指導過程を明記します。
1.Warm-up
題材が未来の自分へ向けた手紙なので、導入として、生徒の現在、10年後の年齢についての質問をしました。そこから、将来の夢や希望について簡単なやり取りをして、これから読む、聞く文章に関する背景知識の活性化を行いました。
2.Listening Comprehension
毎回ターゲットとなる文法事項を含んだ短い文章が冒頭に掲載されているので、それを聞き、ワークシートに記載された英語の質問(5問)に答えます。
3.Dictation
聞き取りだけで英語の質問に答えることは難しいので、今度は文法事項の部分が空所になった短い文章の書きとりをします。
4.Reading Comprehension
書き取りをしたら、教科書で確認をします。その後今度は出来上がった文章を読むことで、Listening Comprehensionの英語の質問に答えます。その後全体で答え合わせをします。
5.Read Aloud
これまで聞いて、読んできた短い文章の意味を日本語で確認させます。役をするのではなく、教科書の付録についている日本語訳を読ませます。
5.1 全体練習
全体でのリピート練習をします。長い文章は必要に応じて、短く区切りながら徐々に長さを長くして、発音練習を行いました。
5.2 個人練習
全体での練習ができたら、今度は個人のペースで2分間立って読み続けます。机間巡視をし、発音の確認をしました。
5.3 Read and Look up
これまで読んできたものを頭の中に定着させるために、1文ずつ10秒間黙読し、その後教科書を見ないで言う練習をさせました。
5.4 Pair Reading
隣の人とじゃんけんをして、勝った方が日本語を言い、負けた方がそれに対応する英語を言う練習をしました。通訳的な練習です。
5.5 Overlapping
教科書を見ながら文章をCDに合わせて読み、イントネーションやアクセントをできるだけ真似して読む練習をしました。これは3回繰り返しました。
5.6 Shadowing
今度は教科書を見ないでCDに合わせて読み、イントネーションやアクセントをできるだけ真似して読む練習をしました。
このようにしあの手この手で文章を何度となく音読させることで文法事項を意味ある文脈の中で理解させるよう努めました。ここまでで授業は終わりましたが、この後はできるだけ速く声に出して読む練習と、簡単な文法事項の解説を予定していました。
この授業では、4技能全てを使う活動を取り入れて、生徒が英語を使い、できるだけ実感を持たせるように努めました。科目名も変わったので、これまでのような教員が一方的に文法事項の説明に従事し、生徒はノートをとり、ワークの問題に答える形式は避けたかったからです。実際、問題集をいくら解いたところで生徒が文法を使いこなせるようになった感じがしていないことは身にしみてわかっていたからです。
改善点は音読の時間が長く、単調になりがちだったので、今後はいかにそれを改善していくか考えていきたいと思っています。
神戸 崇寛(こうべ たかひろ)
駿台学園高等学校 英語科教員
英語の文法に興味があり、大学院で研究してきました。2011年より現勤務校。日々英語を教えながら学び感じ取ったことをお伝えし、 皆さんと共有していきたいと思っています。
同じテーマの執筆者
ご意見・ご要望、お待ちしています!
この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)