2005.11.22
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中教審 梶田叡一氏に(再び)聞く!義務教育改革の行方 ~New Education Expo in 仙台より~

中教審 梶田叡一氏に(再び)聞く!義務教育改革の行方

11月1、2日の名古屋開催に引き続き、11月9、10日の二日間にわたり、仙台市のサンフェスタ・卸町会館でNew Education Expo in 仙台が開催された。New Education Expoは最先端の教材展示と教育界の著名人によるセミナーで構成される教育界最大のイベント。6月2~4日には東京で6月8~9日には大阪でも開催された。


 New Education Expo in 仙台では、教育改革、大学改革、科学教育、英語教育、教育の情報化など、幅広いテーマで、約40コマのセミナーが開催された。
 教育改革のテーマで注目されるのは、前文部科学省事務次官の御手洗康氏、文部科学省中央教育審議会委員の梶田叡一氏、両氏による基調講演。今回は、つい先ごろ中間答申を発表した中教審の、中心的なメンバーである梶田叡一氏の講演を紹介する。

 梶田氏は、2000年の教育改革国民会議、そして2001年からは中央教育審議会の委員を務めており、いわば今後の日本の教育の進路を握っているメンバーのひとりである。2001年1月には、教育改革国民会議から「教育を変える17の提案」を発表。それを受け、同1月に新発足した文部科学省では、「21世紀教育新生プラン」を発表した。

 2005年2月より改組発足した大型の第一期中央教育審議会では、教育改革国民会議の報告を基盤に多面的な審議を続け、義務教育の構造改革についての検討が行われ、10月26日に中間報告として、「新しい時代の義務教育を創造する(答申)」が鳥居会長から中山文部科学大臣に提出された。12月には本発表がなされる予定。教育基本法の改正、義務教育費の費用負担など、喧々諤々の議論の様子が洩れ聞こえてくるが、最終的にどのような方向に落ち着くのか。気になるところを聞いてみた。


 

● 義務教育費の国庫負担はなくなるのか

 現在議論されていることで最も重要なポイントは、義務教育費の負担をどうするかということ。いくら教育内容を議論しても、財源が確保されなければ絵に描いた餅になってしまいます。
 小泉首相の唱える「三位一体の改革」の一環で、教育費(具体的には教員の給与の二分の一)の国庫負担が打ち切られ、地方財源にゆだねるということが検討されています。すでに中学校教職員給与については、8500億円分を廃止する方針が政府から発表されました。
 昭和52年に一度、同じことをやって、自治体によって、学力に大差が出ています。お金のない自治体では著しく学力が下がったのです。地方税の豊かなのは東京、大阪、愛知などの大都市だけ。国庫負担を打ち切れば地域格差が出るに決まっています。
 そもそも義務教育というのは、国が全国一律に平等な教育機会を保障するもの。国が義務教育費を負担しない、というのはその大前提を覆すということに他なりません。
 今までどおり2分の1を負担することが難しいにしても、3分の1とか3割とかは国が負担するようなところに結論を持っていきたいところです。 

義務教育費は国が負担するべきか否か。2つの意見が真っ向から対立する中、妥協点を探るべく議論が続いているという。

 

 

●義務教育のこれからのあり方はどうなるのか

 基本的には、国や都道府県は、お金は出すが口を出さない、という方向にすべきだと考えています。学校ごとにいろいろ状況が違う中で、一律にやれ習熟度別学習だ、やれT.Tだ、と文部科学省の呼びかけに横並びにで対応してきたのが従来のやり方でした。が、これからは、校長を中心に、学校ごとに教育方針を決めていくべきです。2001年に文部科学省は「学習指導要領は最低基準」と方針転換をしました。学習指導要領を超える内容を教えても法律違反にならなくなったのです。学校が独自の取り組みを行うための条件は整ってきているのです。
 週5日制は継続されることがほぼ決まっていますが、土曜日の使い方は、市区町村の教育委員会および学校ごとの判断にゆだねられるようになります。夏休みや冬休みの期間も同様です。授業時数は週30時間と決められていますが、土曜日を使ったり、長期休暇を短縮するなどして、独自の教育活動が可能になります。
 「総合的な学習の時間」はいろいろな憶測もありましたが、残す方向で検討が進んでいます。週2時間程度の実施となるでしょう。
 小学校英語の教科化については、小学校3年からのスタートが決定したとのフライング報道がありましたが、まだ検討中の段階です。が、近いうちにほぼ結論が出るでしょう。

● 教員養成の仕組みはどうなるのか

 10年に1回の頻度で、免許更新制が検討されているが、「問題教師を排除する」という発想のもとに行うのではなく、「10年もすれば社会情勢も学校や子どもの様子も変化するので教育技術や知識をリニューアルするために」という発想で、実施を検討しています。また、教員を養成する大学も、責任を明確にするべきです。新しい学科の設置や教職大学院の設置を検討中です

● 大きな方向性としては合意に至っている

 中教審の中でも大きな方向性については、大筋合意がとれています。国が、ナショナルスタンダードとしての到達目標を明確にし、学力調査によって目標を達成しているのかどうかのチェックをする。そして目標に到達していない場合は処方箋を出す。そこまでは国が責任を持つ。その先は、市区町村の教育委員会、学校、教師が一丸となってやるべきです。そのためには、現状の教育委員会制度のあり方や機能も見直しが必要です。国、都道府県教委、市区町村教委、学校の関係を総合的に見直すことになるでしょう。

 中教審には30の部会と分科会があり、4~500人もの委員が参加している。異なる立場の委員から、さまざまな意見が飛び交い、賛成・反対に意見が割れる中、互いにどこまで歩み寄れるのか。日々の検討は続いている。マスコミのスクープ合戦もあり、「教育課程に関することで、今報道されることの多くは誤報かも、と疑ったほうがいい」とのこと。12月の本発表が待たれるところだ。

(取材・文:学びの場.com 高篠栄子)

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