2005.09.06
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連携活動による相互の可能性 学生と研究者の出会い(「科学教育連携シンポジウム2005」最終日)

連携活動による相互の可能性

3日間連続して行われた「科学教育連携シンポジウム2005」。2日目、3日目は、学びの場.comに、インターンシップとしてお手伝いに来てくれた学生2名にレポートしてもらいました!! 今回は、田中梨恵子さんの登場です。

8月25日は日本科学未来館で3日間に渡って行われた「科学教育連携シンポジウム2005」の最終日。最終日のシンポジウムでは、科学施設と学校の連携活動による成果や問題点などが発表された。台風11号の影響で、23日や24日に比べると参加者は少なかったが、その分密度の濃い学習や議論ができたようだ。

■科学施設と教育の連携による成果、発表される

 25日午後1時からみらいCANホールで科学教育シンポジウムが行われた。シンポジウムでは山梨県立科学館、青少年育成さいたま市民会議与野東地区会、社団法人プラズマ・核融合学会、東海大学、日本科学未来館、千葉県総合教育センター科学技術教育部によって、学校等との連携活動が紹介された。連携活動によって、生徒が最先端の科学技術に触れ、研究者と交流をし、コミュニケーション能力やプレゼンテーション能力を身に付け、能動的に学習するようになるなどの成果があったことが発表された。施設の側としても、科学館への来館者が増えるといったメリットがあるようだ。施設側の悩みとしては、連携したくても連携先が見つけにくいという声があったが、前日の教員シンポジウムでも同様の悩みが聞かれた。今後、互いにコミュニケーションをしていくことで解決の糸口が見出せるだろう。今日のイベントもそのきっかけとなることが期待される。その他、連携活動を行う施設のデータベース化も要望としてあがっていた。

 

 

■熱いディスカッション、繰り広げられる

 その後はディスカッションが行われた。山梨県立科学館の「QRIO Technology Tour/QRIOロボット講座―最先端科学技術の学校教育への活用―」で、高校生が開発者から講義を受けた後、次は自らが解説者となって、来館者に対してロボット解説に取り組んだという事例を受け、「人から聞いたことをまねて人に解説することで、科学センスが養われるのか」という会場からの質問があった。これに対して、日本未来科学館のインタープリター(展示解説員)の例が出され、「人に説明をするためにはより深い理解がないとできない。インタープリターは答えを覚えてもらうのではなく、共に考えることで理解を深めてもらうことを大切にしている」という言葉が印象に残った。

 日本科学未来館の場合は、展示物の内容がある一定の答えを持ったものではなくこれから考えていかなければならない課題を含んだものなので、インタープリターは展示内容を覚えてただ解説するだけではなく、その展示物について共に考えていくということだ。確かに、このやり方なら解説をしつつ、学問の探求ができそうだ。また、実際に高校生がインタープリターとして解説を行った際には、来館者に展示物を理解してもらうためにはどのような説明をすればいいのか相手に合わせて解説の工夫をしたり、説明のために展示物をきちんと理解したことで、コミュニケーション能力がついたことや、解説側に立つことで理解が深まったという事例が報告された。

 他にも、子供たちの「理科離れ」やインターネット上の情報の利用方法、エリート教育などについて、外の悪天候とは打って変わって、白熱した議論が行われた。


医療現場でも使われているAZEの3次元画像

■医療用最新技術に目が釘付け!!

 同時開催イベントとして、午前中は、「科学実験教室」と「未来の教室」が行われた。

 「科学実験教室」では、株式会社AZEによって「最新医療用3次元画像処理の流れ」が紹介された。その場で様々な画像の処理がされると、参加者は普段は見ることができない映像に見入っていた。参加した中学生は、「最新の技術はすごい」「見られて良かった」と医療現場で使われる最先端技術によるリアルな映像に感動していた。学校の資料集では2次元の写真しか見られないので新鮮だっただろう。
(AZEホームページ→http://www.aze.co.jp)

 

 

 


参加者が短歌を書く様子です。皆真剣な顔つきです

■400年のサイエンスと1000年の短歌の出会い!?

 「未来の教室」では「理科と文科を結ぶ実験授業」が行われた。理科の実験を短歌(五七五七七)にのせて表現し合うという内容の、理科と国語が融合された授業だ。まず、牛乳をコップに空け、牛乳パックから落ちる滴の一滴一滴を最後まで観察する。その後、参加者が短歌を書き、発表し合った。参加者は意表をつく展開に驚きつつも、真剣な顔で短歌を作っていた。特に、中学生に負けじと大人が積極的に授業に参加していたのが印象的だった。また、全く同じものは当然ながら一つもなく、それぞれの個性が短歌によく出ていた。参加者から短歌が出揃うと、“科学的に本質を突いているもの”という観点で鑑賞しあい、優秀作として「注がれる 量と速さは 手の加減 牛乳好きなら 手首をねじる」という短歌が選ばれた。傾け方によって注がれる量や速さが変わるということを見抜いている点で、“科学的に本質を突いている”と言えるだろう。そして、日本科学未来館の長期研修教員、小沢茂氏の「科学と国語は感性という点でつながっているのですよね」という言葉で授業は閉められた。


牛乳をコップに注ぎます。最後の一滴はどれでしょうか?

 

教育の現場では、授業内容や授業時間の削減によって「理科離れ」が進んでいることが叫ばれている。一方、科学館や博物館などは経営難による閉鎖が危ぶまれている。今回のシンポジウムでは、両者が手を結ぶことでよりよい方向に未来を切り開ける可能性が提案されたと言ってよいだろう。今後の更なる発展に期待したい。

(取材・文:田中梨恵子)

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