2005.08.27
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現役教頭の研修報告(vol.1) 「外国語教育メディア学会」を取材する!

現役教頭の研修報告(vol.1)

私は愛知県T市にある小学校の教員(教頭)である。夏季休業(夏休み)を利用し、企業での体験型研修に参加することにした。研修の一環として、「学びの場.com」特派員となり、教育イベントをレポートすることになった。その第一弾として「外国語教育メディア学会(LET)全国研究大会」を取材した。


学生とネットでコミュニケーションをとる方法についてのワークショップ 



ポスターセッション風景。この後、参加者が増えました


ソフトだけでなく、ハード面での進歩もすごい

 7月29日(金)から31日(日)にかけて、第45回 外国語教育メディア学会(LET)全国研究大会(大会テーマ 拡がる外国語学習環境 -メディアがもたらす学習支援の可能性-)が 東京国際大学(埼玉県川越市)において開催された。参加者は延べ918名を数えた。特派員として本大会を取材する機会を得たとは言うものの、「外国語教育」と「メディア」の2語がくっついてたときから、ちょっとやばいなって思っていた。

 東京国際大学の会場についたときから違和感バンバン! 外国語教育なら、まだテリトリーの周辺だね。これにメディアがセットアップされると、にわかに、義務教育の世界からテイクオフ! あちらの世界の様相です。実際参加の方たちは、どうも、高校や大学の熱心な先生風。なんとなくマニアックなメディア環境にどっぷり浸かったプロ集団っていう感覚かな! 
小生、義務教育畑の大根なれど、まあ、これも経験かなと変に納得しつつ、大会の一部をレポートします。

 第1日目のワークショップに始まり、2日目のポスターセッション。その後の実践報告では、CALLシステム(コンピュータを利用した言語学習システム)等コンピュータやメディアを活用した外国語教育の実践について、20本以上の報告と討議が熱心に行われた。また、公募シンポジウムでは「CALL(コンピュータによる語学教育支援)システムの導入・運用とその将来像」のテーマで、教員・事務当局・ベンダーそれぞれの視点による意見交換を、豊富な資料をもとに、100名ほどの参加者の前で行った。

 熱心な研究大会であったが、なにやら耳慣れないコンピュータ用語や横文字が乱れ飛び、私の身体は、ただの性能の悪いワープロになっている。(適当に文字っているだけ!)この場に不似合いな自分を再発見した。しかし、基調講演(文部科学省初等中等教育局 河野先生)や特別講演(東京工業大 赤堀先生)には納得! また、会場において、協賛企業のe-learningシステムやcallシステム、その他の教育機器が展示・紹介されていた。自分としてはこちらに多大の興味あり! 以下に、その内容を簡単に報告する。

  丁寧で、よく整理された内容でした ■基調講演「文部科学省における外国語の取組」
(文部科学省初等中等教育局国際教育課国際理解教育専門官 河野 浩 先生)

外国語教育の現状を簡略にまとめ、「英語が使える日本人の育成」はどうなっているか、7つの柱からまとめられた。
(1)英語の授業の改善
(2)英語教員の指導力向上及び指導体制の充実
(3)英語学習のモティベーションの向上
(4)入学者選抜等における評価の改善
(5)小学校の英会話活動の支援
(6)国語力の向上
(7)実践的研究の推進

これからの英語教育の課題として、以下の2点があげられた。

(1) 大学の先生方が義務教育の英語学習について関心が低い。
(2)中高大で1,200時間程度の英語学習時間では満足できる成果は得られない。
 生涯学習の観点で学びの場を整備して、4技能をバランスよく伸ばしたい。
最後に、教師は、より良い学習活動の支援者であってほしい。教師自身が熱心な学習者であってほしい。の2点で講演を締めくくられた。

 講演後の質疑では、研修にたいしていっそうの援助をとの意見に対し、河野先生は、研修にたいする自己努力の必要性も付け加えられた。教師の英語力と指導力の相関性についての意見には思わずうなずいた。

 カナダ人大学講師の、文科省は、なぜもっと大きな改革をしないのかという質問には、会場爆笑となったが、そこが日本人的なところという回答に思わず苦笑した。この人も、もう少しゆっくり話してくれれば少しは聞き取れるのに、早すぎ!

 河野先生の気取らない人柄と、わかりやすいプレゼンに好感がもてた。

 すばやいコンピュータ操作に感心しました
■特別講演「実践に学ぶメディアの活用法」

(東京工業大学 大学院 教授 赤堀 侃司 先生)

 豊富な研究事例を織り交ぜながら、映像を中心とするマルチメディアの活用が、単なる紙や黒板のみの学習に比較し、語学の習得には有効である事を確認した。
 主な講演内容は、
(1) マルチメディアを活用した疑似体験は実体験と併用することで、学習への意欲を高め、学習効果をあげる。特に、映像コンテンツは状況や場面が理解しやすく効果が高い。
しかし、操作が複雑なメディアは敬遠されやすい。
優れたメディアとは、以下の要件を満たすもの。
 ○ 独特のアイデアがある。
 ○ 自分で学習できる。
 ○ 印刷できる。
 ○ 加工や編集が不要。
 ○ 操作が簡単

(2) 優れたコンテンツを使用すると学習効果があがる。特に質の高い映像は、学習内容とのマッチングを図れば効果が高い。(著作権の問題のクリアが必要)

(3) 携帯電話ですら、一定のルールのもとで活用すれば学習には有効である。

(4) 今後の方向として
 ○ 現実世界とメディアの世界をいかにしてつないでいくか。
 ○ webサイトをより有効に活用するには。
 ○ 学習活動をいかにして対象のニーズに合わせていくか。
 ○ プレゼンスの能力をいかにして高めるか。
 (学生との心理的距離感をいかにして縮めるか)
 ○ 音声認識等のIT技術を高め、更なる活用法を探る。

 講演後の質疑では、学生と中年以降の教師との意識のギャップについてや、学生の集中時間の短さは、現代ならではの進化と取るかどうかなど、興味ある応答がなされた。

 赤堀先生の、豊富な資料提示(写真が多くわかりやすい)とメディアをスマートに手足のように使いこなしたうえ、わかりやすい語り口にひきこまれた。外国語教育の現状と今後の見通し、マルチメディアを活用した外国語教育の明るい未来(金があれば!)を感じた。

(竹内 宣友)

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