2004.03.09
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現実社会を教室に・・・ 日経エデュケーションプログラム作品発表会

現実社会を教室に・・・

以前、学びの場見聞録でも紹介した日経エデュケーションプログラムの作品発表会が2004年2月28日東京大手町の日経新聞本社にて行われた。集まったのは、同プログラムに参加した全国の中・高等学校37校から選ばれた17校38チームだ。


日産自動車CEO
カルロス=ゴーン氏が激励






























理想の住宅づくり
積水化学工業×
立命館宇治高等学校

























20代の投資家を増やす
野村證券×
成城学園高等学校

































「イラストがおいしそう」
と吉野家安倍氏




























最後はにこやかに表彰式

 このプログラムは日本経済新聞社が持つ情報資産と幅広いネットワークを生かし、経済社会の今を学ぶことで、実社会から「生きる力」を身につけることができるというもの。先人の足跡を辿る「私の履歴書コース」や、企業にまつわるさまざまな体験的活動を通して、職業や経済活動への理解を深める「コーポレートアクセスコース」など、職業観育成や自分の在り方・生き方を考えさせるような内容だ。

 この日は、同プログラムの協賛企業である日産自動車株式会社社長兼最高経営責任者カルロス・ゴーン氏、前ヤマト運輸会長で現在ヤマト福祉財団理事長の小倉昌男氏、株式会社野家ディー・アンド・シー代表取締役社長安部修仁氏など各業界を代表するメンバーが見守る中、生徒たちの熱いプレゼンテーションが繰り広げられた。


ゴーン氏出演の日産ソングCMで100万台
           ~日産自動車×田園調布雙葉高等学校


 日産自動車社長兼最高経営責任者カルロス・ゴーン氏の前でプレゼンを行った田園調布雙葉高等学校の日産チームは、日産車を100万台売るための地域販売店プロモーションと、新車提案というミッションを与えられた。同校日産チームは以前、同本社に出向いてプレゼンを行った経験がある。自分たちの想像力だけで、華やかなパフォーマンスばかりを提案した。その失敗点を洗い出した上で、再度のチャレンジとなった。

 今回は、日産の地域販売店の実態を探り、販売店はお店の雰囲気、信頼関係、サービスが重要であることを肌で感じた。そこで考え出されたのが、「内戦勃発!ザ・バトル・オブ・ニッサン・フォー・ニッサン。つまり、日産の日産による日産のための戦いです。プロモーション活動を販売店同士で競い合います」というもの。お互いに高めあい、発展させるのではないか、と提案した。また、新車については、学校で実施したアンケートの結果をヒントに「暮らせる車」を提案。飛行機の座席をイメージした肘掛やTV鑑賞ができるシートや、足元をヒーターで暖めるなど、購入者が好きなように改造できるというもの。CMについては、「ニッサン」というフレーズを多く用いた「日産ソング」を提案し、ゴーン氏のCM出演を熱望した。

ゴーン氏の前でプレゼンテーション
聴衆からの質問にも「失敗を学習することができれば知識の一部になる」とゴーン氏
  

 これらの提案に対してゴーン氏は、こうコメントした。「一番聞きたかったのは、“いくらなら買うか”という点です。これは重要なポイント。ですが、とてもいいアプローチでした。興味深い点はメモしました。日産ソングはいいアイデアです。日産の名前を印象付けることによって、販売店に来てもらえるかもしれません。私がCMに出演し、歌うことについて、私はオンチなので、歌わない方がいいでしょう。」


経営再建までの長い道のりから小倉氏の偉業を辿る
           ~小倉昌男×渋谷教育学園幕張中学校


 ヤマト運輸といえば、今や宅配便事業の最大手。だが、ここまで上りつめるには規制緩和を巡る「民vs官」の闘いがあった---父親が経営する大和運輸(後のヤマト運輸)に入社し、発想の転換や当時の運輸省・郵政省とのやり取りの後、見事に経営再建を果たした小倉昌男氏の足跡を辿ったのは、渋谷教育学園幕張中学校のチーム。小倉氏から、「強い信念」が決断力と行動力の源になることを学んだという。

「経営はロマン」
やり方次第で新しい価値観を創造
 

 発表後、小倉氏はこう話した。「よく考えられた発表でした。ただ、一点触れて欲しいところがありました。それは全員経営の仕組みです。命令や、監督されながら仕事をすることは不愉快ですから、経営方針は会社が考え、その方法は全てお任せするというスタイルです。任された責任をもって一生懸命やることは、働くことの原点。そんな労働の原点を考えてみてください。」


 
 

「ブックオフラウンジ」を京田辺のカオに・・・
      ~ブックオフコーポレーション×同志社国際高等学校


 「京田辺を学生街として活性化させたい」新しいスタイルの中古書店を提案したのは、同志社国際高等学校のチーム。校内アンケートを行い、なぜか悪いイメージが目立つブックオフにカフェを誘致して、広くて開放的なフロア、学生向けの参考書などの買取販売も導入した今までにないカタチのブックオフ=ブックオフラウンジを提案した。「けいはんな学術研究都市」として、行政による開発が進み、今後、多くの学生が集まることが期待される京田辺市のカオになることをアピール。

「高校生ブックオフ」誕生なるか?!
 

 熱意とデータを駆使したプレゼンにすっかり参ってしまった担当者。すでに大学生経営者による「学生ブックオフ」を展開しているが、もう少し煮詰めた事業計画書があれば、「高校生ブックオフ」も考えたいと今後の高校生の活躍に期待している。


 

カメラが生きてる?全く新しいゲームの誕生
               ~コナミ×京都市立西京高等学校


 京都市立西京高等学校は、小型カメラを使った全く新しいゲームを提案した。それは、「フォトビュー」という名称で、撮影したものに応じてポイントがつく小型カメラゲームだ。簡単に持ち運ぶことができ、どこでも誰でも直感的に操作できるデザイン。カメラに感情があるという設定で、身近な風景や人物などを撮影して、その撮影物をカメラが気に入ると高ポイントを獲得できるという。課せられたノルマを達成したり、一枚の写真でポイントを競ったり、カメラに内蔵されているアンテナでミッションを受け取り、その内容を撮影するなどモード設定も6種類用意。発表が終わると同時に聴衆の大人たちから「すごい・・・」と感嘆の声が思わずあがる。

小さいけど大きな可能性を秘めた
ゲーム機に 聴衆も興味津々
 

 「この企画のよかった点は、今までになく、しかも実現可能そうな点です」「このカメラをペット感覚で飼ってみたいと思わせる楽しさと、今の技術でならできそうなアイデア。楽しさと現実性が両立していて納得できる」とプレゼンを聞いていたコナミの担当者も絶賛。発表前に、担当者のところへ名刺を持って挨拶に行った姿勢もプレゼンを聞いてもらうための行動として好感が持てると高く評価した。


 

新メニュー発表!?実際に試作してみました!
        ~吉野家ディー・アンド・シー×清教学園中学校

 清教学園中学校3年生5人のチームは、BSE問題に直撃された牛丼の吉野家に「新メニューに取り組むいい機会です。ぜひとも生き残って欲しいです」と力強くエールを送った。まずは新メニューの提案。実際に試作して食べてみたという「豆腐カレー丼」や「玉子丼」、かき揚げ丼、サイドメニューのサラダなど女性客を増やすことを意識したメニューや、飲んだ帰りのサラリーマンを意識したお茶漬け、子ども向けには小さい丼にプリンを付けたお子さまセット、さらには限定メニューとして、韓国ブームにちなんだビビンバ丼や、オムライス丼なども用意。これらのメニューに共通するのは「吉野家のダシ」だという。

 また、店舗の内装については、カウンターと2人用テーブル席を用意し、店内に植物を置くなど清潔感を。入り口に段差をなくすことで、バリアフリーも意識している。さらに一般から「イメージキャラクター」を募集。キャラクターと考案者をCM出演させて、入りやすさをアピール。これには「CM料を安く抑えることができます」というメリットまで提案し、聴衆を唸らせた。

「商品開発部に提案したい」と
吉野家担当者も乗り気

 吉野家ディー・アンド・シー代表取締役社長の安部修仁氏は、「直言型、断言型のプレゼンには説得力がありました。メニューと値段はメモしました。彼らの値ごろ感を感じることができました。実は今日、提案してもらったものの中には、すでにやろうとしているものもあります」と笑顔。
 

 


 全ての発表が終了した後に行われた閉会式では、各コースの代表校が表彰を受けた。 その後の講評で、一橋大学イノベーション研究センター教授の米倉誠一郎氏は、講評で「君たちは、まだまだチャレンジできる力を持っている。自分を過小評価しないで取り組んで欲しい」とコーポレートアクセスコースの協賛企業を代表して吉野家ディー・アンド・シー代表取締役社長の安部修仁氏は、「興味のあるもの、追いかけたいものを徹底的に深く追求することも大事。大人はつまらないと思われがちだけど、振り返ると、20代より30代、30代より40代、そして、今50代が一番おもしろいと思える。大人はおもしろい。おもしろいと思えることを見つけ出して欲しい」とエールを送り、締めくくられた。
 

(取材・構成/学びの場.com)

 
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