2012.06.26
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17th New Education Expo 2012 in 東京 現地ルポ(vol.1)

17th New Education Expo 2012 in 東京 現地ルポ(vol.1)

「New Education Expo 2012 in 東京」が6月7~9日の3日間、東京・有明の東京ファッションタウンビルで開催された。今年で17回目を迎える本イベントでは、新学習指導要領に対応した実践、学校経営、教育行政など多種多様なテーマを掲げたセミナーが行われた。またタブレットPCやデジタル教科書など最新の教育機器を、100社を超える企業・団体が展示。その模様を4週にわたり紹介する。まずは、本イベントの今年のトレンドと会場の様子をいち早くお届けしよう。

今年のキーワードは「児童・生徒一人1台」

未来の教育の在り方に来場者の熱い視線が注がれる

New Education Expo実行委員会 事務局 プロジェクトリーダー 宇多清二さん
New Education Expo
実行委員会 事務局
プロジェクトリーダー
宇多清二さん

季節外れの冷たい雨が降りしきるにも関わらず、会場は若手教員からベテラン教員まで大勢の来場者が詰めかけ、熱気であふれかえっていた。
「今年の参加者は、過去最高を記録した昨年と同様、3日間で約4,500人の予定です」
   とは、New Education Expo実行委員会事務局プロジェクトリーダーの宇多清二さんだ。今年のトレンドは何でしょうか? と尋ねると、
「児童・生徒一人1台です」
   と即答してくれた。
「フューチャースクール事業が話題になったこともあり、一人1台のタブレットPC(以下、TPC)で授業や教育がどう変わるのか、先生方は熱い視線を注いでいます」。
   nbsp;事実、今回のNew Education Expoでは、フューチャースクール事業に関するセミナーやTPC関連の展示ゾーンはいずれも大盛況。とりわけ筑波大学附属小学校が行ったTPCやデジタル教科書などを活用した公開授業は、会場を立ち見の参加者がぐるりと囲むほどの人気ぶりだった(筑波大附属小の公開授業は、第3回で詳しくリポートする)。

フューチャースクールの現在と未来を考えるセミナーに注目集まる

“一人1台のTPC”に興味関心を持つ教育関係者が数多く詰めかけたセミナーの一つが、「1人1台タブレットPCの活用 フューチャースクール事業(総務省)・学びのイノベーション事業(文科省)の実践事例から」だ。総務省と文部科学省の担当官がそろい踏みするという貴重な機会であると共に、フューチャースクール実証校から“生の声”を聞けるとあって、会場は満席に。コーディネータの堀田龍也氏(玉川大学教職大学院教授)は、「今までの授業に、TPCを使った新しい指導方法が“融和”する」と冒頭で解説。フューチャースクール実証校の各担当者も、「今までの授業スタイルが大きく変わるわけではなく、板書やノート指導、言葉による伝えあいや発問の大切さは変わらない」と報告し、聴講した多くの教員は熱心にメモを取っていた。

最新のICTを設置した展示ゾーンで「未来の教室」を体感

“一人1台のTPC”への注目度の高さは、展示ゾーンでも垣間見えた。今年は主立った企業からTPCが出そろい、TPCを紹介するブースはいずれも黒山の人だかり。“教室の未来像”を具現化したブースも人気を集めていた。中でもひときわ目を引いたのが、内田洋行が出展した“3つの教室”だ。現在の教室から、いきなり各種ICT機器をフルにそろえた教室へ進化するのではなく、“HOP”“STEP”“JUMP”と、三つの段階を踏まえながら整備してはと、内田洋行は提案している。

写真1:小学校外国語活動コーナー
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写真2:新しい教室提案コーナー
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写真3:フューチャークラスルーム
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「小学校外国語活動」のコーナーには、ユニット型のインタラクティブ・ホワイト・ボード(IWB=電子黒板)を設置した、“HOP”の段階に該当する教室を設置。ユニットをスライドするとスクリーンを収納でき、黒板を広く使える。子どもが書きやすいように、黒板の高さを無段階で調節できる(写真1)。

「新しい教室提案」のコーナーには、黒板をスライドさせると70型の大型IWBが出現するICT壁面システムが登場。黒板の下には、クラス全員分のTPCを収納・充電できるワゴンなどを収めており、一括施錠できる工夫も。ここはまさに“STEP”段階の提案だ(写真2)。

“JUMP”の段階に相当するのが、未来の学習空間を提案する「フューチャークラスルーム」。普通教室をICT空間に変えられるシステム「スマートインフィル」を利用して作られた教室には、複数のプロジェクタやIWB、書画カメラなどをそろえ、一人1台のTPCは無線LANにつながっている。昨年に続き2度目の登場となる同コーナーでは、TPCを使った英語の模擬授業やデジタル顕微鏡を使った理科の模擬授業等を連日実施し、毎回満員御礼。生徒役で参加した教員の方々が「すごい!」と感嘆する姿が印象的だった(写真3)。

各教科書会社が出展したデジタル教科書のブースも、黒山の人だかり。どんな機能があるのか」「紙の教科書にはないコンテンツも入っているのか」と、さまざまな年齢層の教員が企業担当者に熱心に質問していた。

理科教育から防災教育まで、旬なテーマの展示も充実

TPCやIWB関連以外の展示も充実していた。

写真4:UCHIDA SCIENCE
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写真5:防災教育コーナー
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デジタル顕微鏡や電流・電圧計などの機器を展示したコーナー「UCHIDA SCIENCE」。デジタル顕微鏡の画像をライブで映し出したIWBに、見入る教員も多々(写真4)。

東日本大震災以降、防災教育への関心も高まっている。気象庁などからの緊急地震速報を受信するユニットも登場した(写真5)。

原発事故以来、“節電”は、教育テーマとしても学校経営の課題としてもクローズアップされている。一見、普通の蛍光灯に見えるが、中身は教室向けLED照明という製品は、机上面照度400lx以上、遮光角24度を実現し、文科省の「学校環境衛生基準」をクリアしている(写真6)。

写真6:快適に節電コーナー
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校務の情報化を可能とする、校務支援システムも人気が高い。校内の情報担当教諭や教育委員会の担当者が多く訪れていた。

1日だけではとても全てを見て回れないほど、セミナーも展示スペースも充実。いくつかのセミナーは、北海道や福岡のサテライト会場にも中継され、東京には足を運べない遠方の教育関係者が熱心に聴講した。
   最後に、実行委員会事務局プロジェクトリーダーの宇多清二さんの言葉をもって、第1回現地ルポの締めとしたい。
「New Education Expoに来て頂ければ、現在そして未来の教育をハード・ソフト両面から見ることができます。来年もぜひお越しいただき、今後の教育実践に活かしてもらえればと思います」。

写真:言美 歩/取材・文:長井 寛 ※文・写真の無断使用を禁じます。

 
 

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