2009.07.21
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14th New Education Expo 2009 in 東京 現地ルポ ここでしか手にできない、未来へのヒントがある

14th New Education Expo 2009 in 東京 現地ルポ

今年で14回目を迎える「New Education Expo 2009 in 東京」が6月4日~6日に開催された。今年度補正予算に学校のICT環境整備費が盛り込まれたことを受け、多くの教育関係者の注目を集めた3日間の模様を、ICT活用に関するセミナーと展示ゾーンを中心にリポートする。

14th New Education Expo 2009 in 東京 現地ルポ

補正予算に対応したICT関連のセミナー・展示が大盛況


文部科学省大臣官房審議官 初等中等教育局担当
前川喜平 氏

 毎回、教育界のタイムリーな話題を取り上げている「New Education Expo」。今回もっとも大きなテーマとなったのは、「教育の情報化」だ。平成21年度補正予算に学校現場のICT環境整備費用が盛り込まれたことを受け、ICTを活用した新しい学習活動を提案するセミナー、最新機器を集めた展示ゾーンなどが充実。訪れた多くの教育関係者に、予算を有効に活用するためのヒントを提供した。

 「小学校外国語活動」については、共通教材「英語ノート」での授業づくりを検討するセミナーや、「英語ノート・デジタル版」の活用を提案する展示コーナーが、学校現場での関心の高さを反映し連日盛況となった。


兵庫教育大学 学長
文部科学省 中央教育審議会 副会長
梶田叡一 氏

 イベント初日には「大学改革」に関する講演とセミナーが多くの関係者を集めたほか、3日目には筑波大学附属小学校の教師と児童による公開授業も実施。有識者による基調講演では、今後の教育改革の方向性や、移行期に入った新学習指導要領に関する講演が注目を集めた。

 さらにイベント全体の活況を受け、同時開催の「宇宙教育シンポジウム」(宇宙航空研究開発機構)、「JST理科教材活用シンポジウム」(科学技術振興機構)も、例年以上の盛り上がりを見せた。

セミナー

ICT(デジタルテレビ、パソコン等)が、教育を変える!
-電子黒板等を活用した、新しい授業デザイン‐

文部科学省生涯学習政策局参事官 椿 泰文 氏
放送大学ICT活用・遠隔教育センター教授 中川 一史 氏
港区立高輪台小学校校長 井上 文敏 氏
熊本県立教育センター指導主事 山本 朋弘 氏
松戸市立馬橋小学校教諭 佐和 伸明 氏
文部科学省生涯学習政策局参事官付メディア係長 牧 雅英 氏

デジタルテレビ・電子黒板の効果的な活用法

 本セミナーでは、補正予算の「学校ICT環境整備事業」を受け、今後導入が進むと見られるデジタルテレビ(および電子黒板)などICT機器の整備・活用のポイントを議論した。

 まず佐和氏が、馬橋小での電子黒板の活用状況を報告。「先生方には『英語ノート・デジタル版』との組み合わせが好評。グループでの話し合いやプレゼンなど、子どもたちの活用も広がりつつある」と述べた。


6人の講師たち。会場は立ち見が出るほどの盛況ぶり

 井上氏は、ICT機器導入のポイントとして、「段階的に取り入れる」「意図を持って使う」「活用アイデアを共有する」「周辺機器やコンテンツを含めた活用環境を整える」といった点を挙げた。

 これに関連して山本氏は、活用を定着させるための研修のあり方を提案。導入期は基本的な操作を全員が理解する、展開期は授業での活用法を具体的に検討するなど、「段階に応じた内容の工夫が必要」と強調した。さらに牧氏は、「各校の優れた事例を、地域から全国へ広げていくことも重要」とし、活用事例の収集と発信、コンテンツ整備など文科省の施策を紹介した。


展示ゾーンには補正予算に対応したデジタルテレビもズラリ

 議論のまとめとして中川氏は、「黒板やノートとの組み合わせ」「教科書準拠のソフト、周辺機器の導入」「地域や企業との連携」が、電子黒板などICT機器の整備・活用のポイントと指摘。

 椿氏は、総額4000億円規模となる今回の予算措置について、「学校のICT環境を一気に充実させるチャンス。『わかる授業』を実現する環境づくりのために、ぜひ有効に活用してほしい」と来場者にメッセージを送った。

[特別協賛セミナー]教員・児童生徒一人一台PC時代の利活用を考える
インテル(株)マーケティング本部 本部長 江田 麻季子 氏
富士通(株)
(株)内田洋行

企業がサポートする「教育の情報化」の可能性


注目のテーマに多くの来場者が詰めかけた

 本セミナーでは、企業と学校が連携して取り組むプロジェクトの成果を踏まえ、学習や校務のための新しいICT環境のあり方を検討した。

 最初に江田氏が、柏市の市立小学校で2008年から行われている「子ども一人一台PC」の活用実験を紹介。「漢字の定着率など学力のアップ、学習意欲の向上、授業の効率化など多くの成果が上がっている」という。

 2009年9月からは、中央区立小学校でも同様の実験がスタートする。新たに英語学習のコンテンツも追加し、小学校外国語活動での利用も検証する計画だ。


児童一人一台PC実証実験に使われた機器も展示

 江田氏は、「柏市での実験からICT環境整備上の課題も見えてきた」とし、「学習に適した教育専用PCの開発」「授業内容に即したコンテンツの提供」「運用のサポート体制の充実」の3点を挙げた。

 次に、上記の3社を中心とする協同プロジェクトとして、さいたま市の小中学校で今年度から始まっている、「教員一人一台PC」の活用実験の内容が紹介された。

 「企業における情報化から、教育の情報化を考える」をテーマに、教員用PCを校務や教務の改善につなげる環境づくりを検討するもの。本格的な活用はこれからとのことだが、すでに「情報共有の基盤となるグループウェアの整備」「学校現場の実態に対応したセキュリティの確保」「教員用PCの利用環境を統一するポータルシステムの提供」などが検討課題として上がっているという。

展示ゾーン

普通教室・英語教室

関心の的は「英語ノート」とデジタルテレビ


英語ノート・デジタル版をより有用にするICT機器を提案

 普通教室での新しいICT活用を提案したこのコーナーでは、通常の黒板に電子黒板としての機能を付加するユニットや、教科書やノートを手軽に映せる教材提示装置、短焦点タイプのプロジェクターなど、小学校外国語活動にも役立つ最新機器を多数展示。


満員のミニセミナー。小学校外国語活動への関心の高さが窺える

 これらの機器と「英語ノート・デジタル版」の活用を提案する模擬授業形式のミニセミナーが、連日大勢の来場者を集めていた。また、補正予算の整備目標となっている50インチクラスのデジタルテレビ・電子黒板の並ぶ一画には、カタログを手に説明を聞く自治体関係者の姿も多く見られた。

理科室

理科室のイメージを変える新しい学習空間

 モニターやプロジェクター、移動式ホワイトボード、各種ケーブル類を収めたフレームなどを組み合わせてつくる学習空間システム「スマートインフィル」で構築したコーナー。「見せる収納」や、タブレットPCを組み込んだカラフルな実験台なども設置し、従来のイメージを一新する魅力的な理科室づくりを提案した。

職員室

一人一台PCを効果的に活用するシステム

 教員一人一台PCの整備をテーマに、セキュリティ対策や校務の効率化、保守・サポート体制のあり方など、導入から効果的な活用までの流れを提案。すべての教員のPC画面を統一することにより、行事予定や校務上の情報、教材などを手軽に共有できるシステム「デジタル職員室」が注目を集めていた。

CALL教室

小学校でも使える英語学習コンテンツ

 小学校外国語活動にも対応する最新の語学教材が体験できるコーナー。言語習得メカニズムの研究成果を取り入れた英語学習支援システム「ATR CALL BRIX」は、子どもを含む30人以上のネイティブの音声データに加え、学習者の発音を判定する機能も搭載し、「使える英語」の習得をサポートする。

特別支援教室

子どもの感情表現を手助けするツール

 イラストや写真入りのカード、自分の気持ちを書き込む吹き出し型のボードなど、先生と子どものコミュニケーションに役立つ教具や、プレイセラピーのためのツールを多数展示。学校での友達づくりをテーマにしたすごろくゲームなど、子どものソーシャルスキルを育てる教材を手に取る来場者の姿も見られた。

内田洋行教育総合研究所・学びの場.com

学校現場の声に応える活動を展開

 未来の教育環境を創造し内田洋行の教育支援事業をリードする組織として設立。「New Education Expo」をはじめとするイベントの企画運営、教育に関する調査研究・コンサルティング活動などを展開。最近では文部科学省の全国学力調査や「英語ノート・デジタル版」開発などの事業も受託している。同社教育事業のブランディングを担い、5万人以上の教育関係者に、日々最新の教育情報とコミュニティを無料で提供する「学びの場.com」の運営も手がける。

 

写真:言美歩/取材・文:栗林俊晴 ※写真の無断使用を禁じます。

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