2014.11.26
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働く魅力を伝える授業~キャリア教育授業の取り組みから~

立命館宇治中学校・高等学校 数学科教諭(高校3年学年主任・研究主任) 酒井 淳平

今回は本校キャリア教育授業の取り組みを紹介します。

1、働く魅力を伝えるプロジェクト
 

 以前、このページで「なぜ働くのかを考える授業」について紹介しました。

http://www.manabinoba.com/index.cfm/8,19722,21,185,html


学校ではキャリア教育という名のもとに、どんな職業に
つきたいかを考えさせることが多いです。
しかし、本当に職業だけを考えればいいのでしょうか。

多くの生徒は働くことを通して社会と関わります。
どんな職業についても、その職業でいろいろな人に関わりながら
日々の生活が営まれます。働くことは生きることと直結します。

こう考えると職業選びだけではなく、生き方や社会との関わり方
を考えさせることこそが重要だとわかります。


今年度のキャリア教育授業では、昨年度の実践をより発展させ、
「働く魅力を伝えるプロジェクト」を実施しています。
このプロジェクトは全6回の授業で、
ゴールは「働くことについての夢」を書くことです。

第1回目の授業では「NPO法人いい会社をふやしましょう」 
代表理事・江口耕三さまの協力で、講演会を実施しました。
講師として(株)フェリシモ・インナー事業部の藤田祥子さまと、
マイファーム代表取締役の西辻一真さまに来ていただきました。

 

2、働くカタチを考える

フェリシモの藤田様は大切にしている言葉として、
「食べていくよりも生きた仕事」「生きた仕事は生きた人生」
の2つを紹介されました。

藤田様は異動などの経験をへて、「どこで働くか」
「どんな業務をするか」ではない、「わたしの好き」を形にするのでもない、
私の生きた仕事って何なんだろうという問いを持つようになったとのことでした。

その後藤田様は、「色んな人とかかわりながら、自分にしか見つけられないことを
愛を込めて形にしていく。私が大切にしたいことはこれだった!!」
ということに気づかれます。こうして自分なりの働くカタチに気づいた藤田様は
「思いっきりやってやったなぁ~~!!」と思う商品企画が
ようやくできるようになったということでした。
 

藤田様のお話から、どこで働くのか、何をするのかだけでなく、
働くカタチを考え、自分の生きた仕事に気づくことの大切さがわかります。


西辻様は起業された経験から、「好きなことを仕事にする」
「会社がないから作った」というメッセージを伝えてくださいました。

西辻様は社会貢献したい分野や、社会をこのようにしたいという思いがあり、
それを起業として形にされていました。
ご自身で働くカタチを切り開かれているということが伝わってくる講演でした。


二人とも仕事が人生を充実させていること、仕事を通して社会と満足できる
関わり方ができていることは共通しています。
生徒の感想では以下のようなものが多く、
お二人のメッセージは確実に生徒に伝わっていました。


・生徒の感想(多かったもの)

「食べていくために仕事をするのじゃなくて、毎日を楽しく生きるために
 生きた仕事をすることにこだわっていて、すごくかっこいいと思いました」

「仕事って大変だけど、自分がやりたい!!と思ったことを
 夢中ですると楽しいんだとわかりました」 

 

3、働くカタチの追求は続く

講演会は主語が講師のお二人でした。そのあと生徒たちはサモアを題材に、
主語を自分にして働くことを考える授業を受けています。

11月8日に実施した公開授業では、「国の開発課題を働くことで解決する」
ということをテーマに、生徒たちはどのような分野で活躍したいのか、
どのような役割を担いたいのかを考えました。

 

藤田さまは「仕事を考えることは生き方を考えること」と言われました。
たしかにどんな職業に就きたいのかを考えることは大切かもしれません。
しかしより重要なのは自分の働くカタチを考えることです。
そのとき「自分にとって生きた仕事は」という問いも考えることに
なりますが、それは自分の生き方を考えることにつながります。

働くことを考える授業を通して、生徒たちには自分自身が
どのような生き方をしたいのかを考えてほしいと思います。

 

最後に質問です。
 

 みなさんはどのように社会と関わりたいですか?
 みなさんにとっての生きた仕事ってどんな仕事ですか?

 

4、研究もしています!

「働く魅力を伝えるプロジェクト」を通して、生徒の働く意識が
どのように変化したのかを調査する研究も進めています。
すでに、京都大学の大学院生(田中正之くん)と協力して、
生徒の書いたレポートを評価するルーブリックを作成しました。
これは11月23日のキャリア教育学会で発表しましたが、
機会があればこの場でも報告したいと思います。


次回も引き続き授業の様子を紹介したいと思います。
本校のキャリア授業ではソーシャルスキルがキャリア形成の
土台と考えています。次回はソーシャルスキルの授業を紹介します。


お読みいただきありがとうございました。
引き続きよろしくお願いします。

・働く魅力を伝える講演会の様子(立命館宇治中・高 HP)
http://www.ujc.ritsumei.ac.jp/ujc/news/detail.php?eid=01899

・11月8日公開研究会の様子(立命館宇治中・高HP)
http://www.ujc.ritsumei.ac.jp/ujc/news/detail.php?eid=01927

酒井 淳平(さかい じゅんぺい)

立命館宇治中学校・高等学校 数学科教諭(高校3年学年主任・研究主任)
文科省から研究開発学校とWWLの指定を受けて、探究のカリキュラム作りに取り組んでいます。
キャリア教育と探究を核にしたカリキュラム作りに挑戦中です。

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