2014.09.02
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東京都若手教員育成研修 ~1年次(初任者)宿泊研修~

独立行政法人国立青少年教育振興機構 教育事業部 企画課長 松村 純子

   

 二学期が始まり先生方は、真っ黒に日焼けした子供たちに囲まれ過ごしていることと思います。

 9月1日が二学期の始業式のイメージが強いのですが、既に8月25日から、二学期が始まっている学校もあると聞いています。

 夏の青少年教育施設は、子供対象の事業だけでなく、指導者の研修もあり、8月も通常通りに働いていました。

 4月21日の「新任研修について」の中で、「夏には、東京都教職員研修センターの初任者研修のお手伝いをさせていただくことになっています。研修の結果は、夏に紹介したいと思います。」と書かせて頂きましたので、今回は、平成26年度 東京都若手教員育成研修についてお伝えします。

 

東京都教職員研修センターと国立青少年教育振興機構との連携

 東京都若手教員育成研修(以下初任者研修)は、東京都教職員研修センターが主催しているものです。

 昨年度、新聞に教員の体験不足の記事が出た後、東京都教職員研修センターの初任者研修担当者を訪ね、国立青少年教育振興機構から、初任者研修に「体験活動」を組み込むことを提案させていただきました。

 その後、話し合いを重ね、活動場所の実地踏査等を行い、国立オリンピックセンターにおいて、平成26年8月13日~15日に初任者研修の3グループうちの1グループ(100人)に初任者研修を実施することができました。

 

体験活動研修のプログラム

 東京都教職員研修センターは、今回の研修の目的を「1年次(初任者)教員に対し、各学校における実践上の課題(生徒理解、個に応じた指導等)の研修を行い、実践的指導力の向上を図る」としています。

 国立青少年教育振興機構は、その研修の一部である「体験活動」の研修を担当させて頂くにあたり、今回の研修を通して参加者である東京都の高等学校新採教員が、「青少年教育施設の現状を理解するとともに、仲間づくりや火起こし等の体験活動等の体験活動の重要性について学ぶ」ことをねらいとしました。

  

 100人の参加者を5グループに分け、1日目1回、2日目と3日目は午前・午後の2回、合計5回を体験活動の指導にあたりました。

 私たちが頂いた時間は120分間でしたので、仲間作りの活動を30分間。火起こし活動はアンケート記入も入れて90分間で行いました。

 

 仲間作りの活動では、じゃんけんのバリエーションを用いたアイスブレイクを体験し、じゃんけん列車からエグザイルエクササイズ、インパルス、最後はグループで人間知恵の輪をほどくという活動で終わりました。

 

 火起こし活動では、3グループに分かれて、かまど作り、薪割り、火起こし、そして最後にアンケートを記入しながらコーヒーブレイクを行い、片付けまで時間内に終わりました。

 

参加者アンケートから

 研修に参加した先生方に「体験活動」の部分についてアンケートを実施しました。

 (1)体験活動実習で、参加した実感が持てましたか。という問いに99%の先生達から充分持てた・持てたと回答頂きました。(以下、自由記述の抜粋)

・協力せざるを得ない状況をつくってアイスブレイクで打ち解けたあとの作業は、非常に意欲的に参加しやすくなるのだと思う。

・アイスブレーキングの流れから、グループワークをしたので充実していた。

・ペアや組を作ったり、グループで役割分担したりするのを自分で動いて体感できたので、参加した感が高かった。

・一人ひとり活動を体験する時間をとってくれたことがよかった。協力する大切さも感じた。

 

 (2)仲間作りのレクリエーションは、学校生活のどの場面で活用できそうですか。の問いに対する自由記述回答の抜粋です。

・学級の始めのレクリエーション(自己紹介など)。

・道具なしでできることを多く教わったので、担任をもったときのクラス運営ですぐにでも活用したい。

・友達と「自然と」仲良くなるし、コミュニケーションをとらないと何もできないので、コミュニケーション力が高まると思う。グループワークなどで活用できる。

・自己紹介や、オリエンテーション等で活用。生徒間や他の学校との交流の場。

・学級開きや授業の導入、雨天時の休み時間、クラス作りや課外活動で行ってみたい。

 

 是非、体験を体験だけで終わらせる事なく、2学期の中で活用頂きたいと切に思っています。

 

(3)野外炊事の基本的な技法を体験し、習得できましたか。という問いに93%の先生方から充分習得できた・習得できたと回答頂きました。(以下、自由記述の抜粋)

・ブロックの組み方、薪割の基本など、実際に体験することができて今後必要な場面で思い出すことができると思う。

・技術指導はもちろんですが、東日本大震災で実際にこれらの知識が活用されていたという話が印象的でした。

・薪を並べる作業を積極的に行ったので、1人で指導できる自信につながった。

・薪の割り方や組み方、かまどのつくり方など、知らないことも多かったけど、知識として身についた。

・習得することができたので、生徒にも習得させてあげる機会を設けたい。

 

 ほとんどの新任教員の皆さんが、男女に関係なく薪割り・火起こしは、初めての体験だったようです。小・中学校時代の移動教室・宿泊体験学習で行ったことがあるだろうと思っていたので、驚きました。

 今回は高校の先生方でしたが、小・中学校の先生方も同様だとすると是非、小・中学校の先生方の初任者研修にも組み込んで頂きたいという思いを強くしました。 

 

次年度の研修に向けて

 次年度の研修に向けて、感想等も自由記述していただきました。(以下抜粋)

・教科指導や学校運営に関してのみならず、このような体験的な研修も盛り込まれていると研修として充実すると思う。

・もう少し自然体験の時間が欲しかった。

・時間を長くして、もっといろいろなことを知りたい。

・もう少し長い時間活動し、ご飯やカレーを作ったり、実際の災害時の訓練ができたら良いと思う。

・様々な体験活動が定期的にあってもよい。

 

 初めて東京都教職員研修センターと国立青少年教育振興機構と連携し、初任者研修に「体験活動」を取り入れて実施しましたが、参加した新任教員の皆さんからのアンケートを読むと、「体験活動」を取り入れたことはプラスだったと思います。また、「体験活動」を体感し、更にもっと体験したいという意見を頂けたことは、機構の職員にとっても嬉しいことです。

 

 明日の東京を背負う元気な新任教員の皆さんたちと3日間過ごし、私たちのお盆は、終わりました。

 きっと初任者研修に参加された先生方は今頃、笑顔で生徒たちの前に立っていることでしょう。 

松村 純子(まつむら じゅんこ)

独立行政法人国立青少年教育振興機構 教育事業部 企画課長
元小学校の教師です。勤務地の異動に伴いしばらくお休みをしておりましたが、2年半ぶりの再登場です。「青少年の体験活動の重要性」を発信したいと思います。




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