アグネスの教育アドバイス:子育ては親の自己実現の妨げか?
自分の時間がとれないお母さん「育児のせいで、自己実現ができない」と感じているお母さんが多いようです。ある調査では、子育て中のストレスの第一位は「自分の時間がとれない」ことで、実に6割以上のお母さんが該当していました(『AERA with Baby』2010年12月号)。今のお母さん世代は、小さいころから進学・就職など、頑張って自分の夢を実現してきました。ですから、出産を機に、すべてを子どものために差し出し、自分の時間がとれなくなった時、自己実現できないと感じてしまうのかもしれません。 私は、子育ても自己実現の一部と考えています。なぜなら、出産は自分で選んだことだから。今の日本では、もしも子育てを十分できないなら「出産しない」という選択肢もあるはず。また、子育てをきちんとできない人は社会から評価されません。 今月は、子育ては自己実現の弊害なのか、本当の自己実現とは何か、を考えてみたいと思います。 人のために無我夢中になっている時が一番輝いている![]() 自己実現とは、自分自身を好きになることです。「私は自己実現できていない」という人は今の自分に納得がいっていない、つまり自分を好きになれていない人です。ではどうすれば自分を好きになれるのでしょうか。親であれば、子育てをきちんとしていなければどこかで後ろめたい気持ちが生まれ、そんな自分を好きになることは無理でしょう。ですから、まずは一生懸命子育てをしてみるのです。そうすることで後ろめたさはなくなり、自分の人生に納得がいき、自分自身を好きになれるはずです。 そして、一生懸命さは必ず子どもに伝わりますから、子どもも親を大好きになります。小さな赤ちゃんのお世話は、子ども側の反応が薄いので、新米お母さんは子どもの奴隷になったような気がしてしまいがちですが、赤ちゃんもお母さんのことをちゃんと見ていて、一生懸命なお母さんを大好きになります。こうした積み重ねによって自己実現ができ、それがその人の人間形成の基盤となります。つまり、子育ては自己実現の弊害どころか、自己実現そのものであるともいえます。 また、自己実現している人たちは輝いています。実は、人間が一番輝くのは、エステやおしゃれをして友人たちと遊んでいる時ではなく、無我夢中になって、人のために一生懸命何かをしている時です。たとえば、子どものことを一番に考え、自分を忘れて一生懸命子育てをしているお母さんは、とても美しい。そうした魅力的な人のもとには、自然と人が集まり、新しい出会いが生まれます。その出会いからいろいろな恵みをもらえるので、さまざまなことが好転していきます。もちろん子育てのストレスもなくなっていきます。 命を育むことが最優先私は長男を妊娠した時から仕事を少しセーブしましたが、そのことについて何のためらいもありませんでした。なぜなら命を育むことよりも大切なことは他にないからです。もし仕事ばかりを優先させている間に、子どもの身に何か起きたら、仕事を失うよりもずっと辛い。ですから、子どもが20歳、せめて義務教育の終わる15歳までは子育てを最優先しようと決め実行してきました。その結果、50代の今、これまでの人生にまったく後悔はありません。 どの親御さんでも、仕事をしたり、子どもが学校に行っている間に趣味の時間を持ったりということはあると思います。その代わり、託児所に迎えに行った後、または幼稚園から帰ってきた後、子どもと一緒にいる時間にどれだけ接してあげられるかが大事です。 私は決して子育てが上手な方ではありませんが、一生懸命やってきました。仕事をしている時「いつも子どもを放って仕事ばかりして」と言われても、「いえ、私は一生懸命子育てしています」と答えられました。子育てを一生懸命していたからこそ仕事にも集中できたのです。中には、子育てをほとんど自分の母親にまかせっきりにしてきたばかりに、子どもが非行に走り、「自分の言うことをまったく聞いてくれない」と後悔している人がいます。でも、もう過去を取り戻すことはできないのです。 人間には人生の中でその時々に担うべき役割があります。それがその時の最優先事項です。我が子を持ったら、以前の自分とは違う自分、もう「親」なのです。ですから、親になったその瞬間から、子どものことを一番に考えること。それが後々の人生を悔やまないことにもつながります。 親として一生懸命になれば自ずとその人は輝き、自己実現もできることをどうか忘れないでください。 構成:菅原然子/イラスト:あべゆきえ ※写真・イラストの無断使用を禁じます。 |
アグネス・チャン 教育インタビュー





