アグネスの教育アドバイス:夢を持たせ、実現させるには?
「楽しそうじゃない大人」と「想像力に欠ける子ども」夢を持たない若者が増えているようです。子どもが夢を持たないと、積極的に勉強しようという意欲が乏しくなり、子どもの能力開発に悪影響を及ぼしかねません。 原因の一つは、まず大人にあるのではないでしょうか。「大人は働いている様子が楽しそうに見えないし、お酒を飲んで文句ばかり言っている」。これでは子どもは「大人になっても何も楽しいことはないんだ」と失望してしまいます。 こんな大人社会を見て子どもが悲観的になっている傾向もあります。例えば「野球選手になりたいけど、一軍になれなかったらいやだな」という男の子や、「どうせ会社で頑張っても、これくらいしか出世できないんでしょ」という女の子がいます。だから今の社会で足りないものは、活き活きと仕事をする「楽しそうな大人」です。 もう一つの原因は「子どもの想像力の欠如」です。今の日本ではいくらでも夢を叶えるチャンスがあるのに、そう考えようとしない子どもたちが多い。それに、最近では活躍の場が日本だけではなく、もはや世界、あるいは宇宙へと広がっているのに、そこまで想像を広げることも難しいようです。だから、家庭でも学校でも想像力をつけさせる教育をぜひ意識してほしいですね。 夢があれば辛いこと、悲しいことも乗り切れる人は夢を持たないと目の前のことが辛く感じられてしまいます。ただ義務で勉強をしても楽しくありませんが、夢があればどうでしょうか。夢のための一つの過程として目的を持って勉強に取り組むことができ、やがてそれは成績アップにもつながるはずです。 夢をまだ持っていない子は、自分の夢、つまり自分にとって本当に大切なもの、好きなものを見つけるためにも、より多くの勉強をしてほしいと思います。勉強をすればするほど、夢や目標の選択の幅が広がり、自分の夢に近づくためにより多くのドアを開けることができるようになるからです。 子どもが夢を見ないと、大人は“寝ぼけて”しまいます。わが子が「大学に行きたい」「海外に留学してみたい」と訴えることで、親もそれだけ仕事を張り切るのです。「ちょっとお金がかかるけど、子どものために頑張っちゃおうかな」と。子どもがいっぱい夢を見て“欲張り”になることが、社会の活力につながるのです。 ![]() 子どもに夢を持たせるには…私はいつも、子どものためにいかにたくさんの窓を開けてあげられるか、夢を見つけるきっかけをどれだけ用意してあげられるかが大切だと思っています。でも、私たち大人はつい窓を開けてその景色まで説明してしまう。しかも、子どもの手をつないで一緒に途中まで歩いていってあげてしまう……。そこまでしてはだめです。 大人がすべきことは、子どもが興味を持ったら、どんなことでもどんどん勧めてあげること。いろんな人に会わせてあげる。いろんなものを見せてあげる。その中でその子が興味を持ったものを追及できるようにしてあげるのです。 ただし、正しく自己評価をさせることも忘れてはいけません。「夢を見なさい」と、その子を褒めていくだけだと自分を過大評価して大変な勘違いをしてしまうこともあります。「あなたは何にでもなれるよ。ただ努力が必要」と付け加えてあげる必要があります。「目をつぶっての夢は夜、寝ながら見て。現実の夢を見るときはしっかり目を開けて」と私は息子たちによく言いました。やはり現実も自分の実力も十分わかった上で、夢を見ることがとても大事なのです。 とはいえ、「この夢は自分には大きすぎるかな」と諦める必要はありません。夢に大・小はなく、遠いか近いかだけ。大きい夢は遠いのです。だからそこまで歩いていくかどうかの覚悟が必要です。小さい夢を積み重ねて大きな夢に向かっていくという方法だってあるのですから。 夢に向かって諦めずにずっと歩き続けていると、いつの間にかそこに近づいていることもあります。私の大学時代の友人に野球が大好きな人がいて、プロ選手にはなれなかったけれど、今は少年野球チームの監督をやっていて「楽しくてたまらない!」と言っています(笑)。夢は完全な形でなくても、違う形で表れてくることもあるのです。 ぜひ、子どもが夢を追いかけている時にはずっと応援してあげてください。それがどんなに壮大な夢やびっくりするような夢でもです。私の次男は歌手になりたいという夢を持っていたので、私はずっと見守ってきました。やがて彼は歌手以外にも音楽に関わる道があるということに気づき、今は大学で「音楽エンジニアリング」を専攻しています。好きなことなので、楽しくてしょうがないようです。“ママが密かに応援していたこと”が、彼の本当に好きな学問を見つけることにつながり、親として本当に嬉しかったですね。 構成:後藤真/イラスト:あべゆきえ ※写真・イラストの無断使用を禁じます。 |
アグネス・チャン 教育インタビュー





