皆さん、スキーされますか。今年は雪不足ぎみでスキーも出来なかったという方が多いのではないでしょうか。

では、皆さん目をつぶった状態でスキーができますか。目をつぶって、他人の声だけを頼りに右左とゲレンデを滑っていくことができますでしょうか。

私にはできそうもありません。でも全盲の生徒がスキーを楽しんだのです。

当サイトの「先生が撮る! 今週の一枚」の写真に、将来のオリンピックを目指すかのような生徒が写っていますね。

先日、スキー学習があり、生徒を引率して県内のスキー場に出かけました。
(参考:http://www.tateyama36.co.jp/ski/gerendemap.html

大阪の中学生が2泊3日のスキー修学旅行で来ていました。県内の他の高校1年生もスキー学習に来ていました。平日ではありますが、思いの他スキー客がいて驚いてしまいました。

私は、全盲の生徒が、平生の体育の授業で十分な事前学習の成果も相まってでしょうが、400Mほどのゲレンデを左右に曲線を描きながら、一度も転ぶことなく滑りきったことに感動し、正直驚きました。斜面を滑り降りるまでに20~30分程度の時間はかかりました。インストクター役の先生は、後ろ向きにハの字(逆ヴォーゲル?)でA君に声を掛けながら、一緒に滑っていきます。このすべりにも驚きでした。膝や足や肩などの向きや力の掛け具合など細部に注意を向けながら、本当に上手に生徒を招いて下まで滑っていかれました。
私といえば、後ろを恐る恐る、A君にぶつからないように後ろをある程度距離をとって滑っていきます。2本目からは、私がA君に指示を出しながら、降りる大役をまかされていたからです。

A君にどのように意識して滑っているのか尋ねてみました。すると、スキー板の裏で、斜面の傾き具合を感じています。急な斜面であるとか緩やかな斜面であるとかが分かるのです。また、斜面にどのような角度で滑っていくとスピードがでるとか、スピードが抑えられて止まるのかもわかっています。ハの字(ヴォーゲル)ですが、問題なく滑っていきます。彼が滑る恐怖を軽減できるのは、○○の体勢になれば、必ずスピードが遅くなり、止まることができるという自信があったからでした。
彼の横で、本来御守り役の私が、足腰が弱っていたのと斜面でのバランス感覚が上手にとれず、何もないところで、不覚にも一人で尻餅をついてしまうような恥ずかしい様でした。トホホホ。

このスキー学習から、私はとても簡単なことにたどり着きました。どのようなハンディーがあっても、その状態に適した支援や方策をとれば、この世の中で、不可能なことはほとんどないのではないだろうかという事です。もちろん準備に掛けた時間と目に見えない労力と努力があって、やっと達成されることかもしれません。回りからの働きかけに加えて、さらに大事なことは、そもそもA君がスキー学習を、何週間前から大変楽しみにしていたということでした。A君自身がスキーを楽しみたい。「スキーが好き(おやじギャク?)だ」という内的動機があったからこそだと言えるようです。そんな気持ちにさせた体育科の先生のご尽力によることこそ大だとも言えましょうか。

実は支援教育で実践または取り組まれていることが、支援教育でない教育機関で、もっと広く共有されることが大事でないかと考えています。

縁なもので、数年やっていなかったスキーに、A君のおかげで今年はのめり込みそうです。先日降った雪で今週末のスキー場はちょっと楽しみです。

付記:前回は『点字盤』に関して紹介させていただきました(2月6日)。翌週の2月10日の夜8:00に、NHK教育放送の『福祉ネットワーク』という番組で、点字が扱われていました。
(参考http://www.nhk.or.jp/heart-net/fnet/info/0902/90210.html
何気なく新聞のテレビ番組表に目が留まり、視聴することが適いました。国立民族博物館の広瀬先生が講師役兼点字ユーザーとして、パックンマックンに点字を身近に感じさせるような紹介をしていました。その中で、点字を凹凸の2種類の文字という発想で、点字の「あ」には凸の点字と、裏にひっくり返した凹の点字があると紹介しておられました。この裏にひっくり返した点字こそが、『点字盤』を用いて書く時の文字なのだと、一人で合点し、喜んでしまいました。
1つの文字に、点字では2通りの表記方法があり、それは普通の凸の点字と、それをひっくり返した凹の点字があると考えればすっきりするのだと、あらためて気づかされたのでした。何気ないことですが、発想の転換に近いものを感じています。