2005.06.21
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伝統文化を守るために 「カルチャーデーとプライズギビング」

今回は、椰子ノ木やほいさんからサモアの話題です!サモアでは、学校教育の中に、伝統を継承するための活動が盛り込まれています。さて、その活動とは?

小学校低学年のサモアン カルチャーデーには サモアンスタイルで登校

小学校低学年のサモアン カルチャーデーには サモアンスタイルで登校

1,962年、南太平洋島嶼国の中で最初に独立を果たした常夏の国サモアでは、今もポリネシアの伝統文化が根強く受け継がれている。人口約17万6千人程度の小さな国だからこそ、自国の伝統文化に拘り、国民が皆「サモアの文化を絶やさないために」という思いを持って暮らしているようにさえ感じられる。そして、その思いは学校教育の中でも随所に活かされている。

 サモアの公立学校では毎年、「カルチャーデー」という日が設けられている。小学校低学年は、この日はいつもの制服ではなく、サモアの伝統的な服装で登校する。男の子はラバラバと呼ばれる腰巻布に上半身はシャツか裸。女の子はプレタシと呼ばれる綿のカラフルなプリント生地で作られたスーツをおしゃまに着こなす。お弁当はいつものサンドイッチやコーラの代わりに、サモアン料理(石蒸し焼きで調理されたパンの実、タロイモ、青バナナや、パパイヤ、マンゴーなどのローカルフルーツ、ココナツなど)を持っていき、友達と交換しながら校庭でワイワイとピクニック気分で味わう。高学年は、青空の下、先生方が手作りした太鼓や楽器に合わせて体をゆすりながら元気いっぱいに歌い、「シバ」と呼ばれる伝統的なサモアンダンスを披露する行事を楽しむ。
  • 小学校高学年は、青空の下、校庭でサモアンダンスを披露する

    小学校高学年は、青空の下、校庭でサモアンダンスを披露する

ヤシの葉で編む カゴ作りを競う高校生ヤシの葉で編む カゴ作りを競う高校生

ヤシの葉で編む カゴ作りを競う高校生

中学生になると、シバの披露に加えて、学校の校庭でサモア伝統の「ウム」と呼ばれる石蒸し焼き料理を調理してしまう。生徒たちは石蒸し焼きに使う石をゴロゴロ、蒸す時に覆うためのバナナの葉をワサワサさせながら登校する。生きたままの地鶏を連れて登校する生徒の姿を見た時には一瞬、唖然としたが、なんとも滑稽なその様子にしばらく笑いが止まらなかった。逃げないように紐で括られた鶏は、校庭の片隅で生徒たちのお腹に納まるのをのんきに待っていた。日頃しっかり家の手伝いをするサモアの子どもたちにかかれば、生きた鶏の調理も朝飯前。お昼どきには「ウム」で調理された美味しいチキンとなって「ハイ。いただきます」なのだ。
ヤシの実を割り、ココナツの実を削りココナツクリーム 作りを競う高校生

ヤシの実を割り、ココナツの実を削りココナツクリーム 作りを競う高校生

高校生になると、「カルチャーデー」はさらにバージョンアップする。いくつかに色分けされたグループが、おそろいの伝統衣装を着て、一日中校庭で、シバ(サモアンダンス)、ウム(石蒸し焼き料理)、カゴ作り、ココナツクリーム作り、ココナツの皮むきなど、サモアの伝統技術やサモア度(?)を競うのだ。来賓や親も応援に駆け付ける。何しろ賞金までかかっているので皆けっこう真剣だ。

 こんなふうに小学校から高校までサモアの伝統文化を受け継ぐため、いろんな工夫を凝らした行事が用意されているが一年の締めくくりとして行われる「プライズギビング」と呼ばれる式典もまたサモアらしい。
プライズギビングで受賞した小学生高学年。本格的なサモア伝統の衣装で踊る。

プライズギビングで受賞した小学生高学年。本格的なサモア伝統の衣装で踊る。

毎年、サモアではその年の成績優秀者や、スポーツ功労者、よく努力した子どもたちを年度末に表彰する。「プライズギビング」は優秀生の発表、表彰、学芸会、終業式、卒業式を全部兼ねたような式典なのだが、サモア伝統のダンス「シバ」なくしては始まらない。

 受賞者の発表があり、壇上で表彰されるとサモアン音楽が会場に鳴り響く。すると、受賞した生徒は音楽に合わせてシバを踊りながら、受賞の喜びと感謝をあらわす。子どもたちが優雅に踊っていると、会場で見守っていた家族、親戚、友達などもウラ(花やキャンディで作られた首輪)を持ってステージに駆け付ける。お祝いのウラを受賞者の首にかけながら、祝う人たちも次々にシバに加わるのだ。踊りの輪はどんどん膨れ上がり、踊らなくては、喜びも感謝も賞賛も表せないといった感じになる。

プライズギビングで受賞 した小学校低学年の 子どもたち。首には 色とりどりのウラ。

プライズギビングで受賞 した小学校低学年の 子どもたち。首には 色とりどりのウラ。

これだけ踊る機会があればシバがうまくならないわけがない。サモア人としてシバができるのは当然のこと。そんな彼らたちによく「日本の踊りを踊って見せて」と言われたものだが残念ながら、日本舞踊はおろか盆踊りさえ踊ることができない伝統知らずの日本人を恥じた。小さな国だからこそ、伝統文化を絶やさないためにはいっそうの努力が必要なのだろう。サモアの人々の伝統を重んじる熱い思いや愛国心が教育の場でもしっかり活きていることに感心すると同時にそれが羨ましくも感じられた。
関連情報
記事協力:海外書き人クラブ  
http://gogo.chips.jp/kakibito/

海外書き人クラブお世話係 柳沢有紀夫さん の本もご覧ください!
 『オーストラリアの小学校に子どもたちが飛び込んだ.

元サモア在住 椰子ノ木やほい
地図画像著作権:白い地図工房&学びの場.com

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