|
かつて、私はミュージアムグッズの分類をいうことを試みたことがある。今から7、8年前になるだろうか。「土産品がミュージアムグッズになるとき」というもので、温泉饅頭的ミュージアムグッズからの脱却を願い、どこをどうどうすればミュージアムグッズ誕生となるのか、を独断で書いたのだ。
その一部を簡単に紹介すると、世の中の商品を「芸術性(教育性)」「意匠性」「実用性」「それ以外」の4つの観点からみて、ミュージアムグッズなるものはどういう場にあるのかを考えたのである。例えば、芸術品である名品の陶磁器の壷は範疇外で、それのレプリカは「芸術品の複製」としてミュージアムグッズになる。さらにそのレプリカ壷を花瓶として作り替えたら「芸術的実用品の複製」となる。またさらにその壷の形をしたキーホルダーに美術館のロゴマークが入れば「実用的な意匠品」となる。実際にそんなことを考えてグッズ開発している方は少ないかもしれないが、そうやって見てみるとミュージアム的なものの姿が見えてくるのである。そうして、「ミュージアムグッズと土産品をみていくと、その大きな違いは芸術性(教育性)と実用性の程度の差による。さらに意匠性がどの程度つくかによってグッズとしての幅が広まり、教育性を高めるためには、グッズ化に対する説明文を添えるといった配慮が必要になる」とした。まあ、要するミュージアムのショップにあるからミュージアムグッズなのではなく、また単にロゴやマークを入れ込んだだけでなく、芸術性や教育性を兼ね備えしかも日常に使えるモノがいいとしているのである。
本人は、かなり力んで書いたのだが、その後その文章やイラストが引用されたものを見たことがない。気持ちだけはわかったという代物だったのだろうか。日本のミュージアムグッズをもっとよいものにしたいと燃えていたので、許してほしい。
ということで、私の考えるミュージアムグッズは「教育性」が大切なのである。教育のための「教材」ではなく、「教育性」(=発見)のあるグッズ。そしてミュージアムの考え方やコンセプト、雰囲気をあらわした「らしさ」がそこにのっかってくるグッズ。「う〜ん、これは教材に使えるぞ!」と現場の先生たちをそそる代物について、この連載では取り上げていきたい。 日本各地の教育性に満ちた、たのしい、発見のある「学び」が似合うミュージアムグッズを紹介します。
(イラスト:かわばたとみこ) 《お知らせ》 第1回目は、『新潟県立歴史博物館(新潟)』のミュージアムグッズについてご紹介します。6月6日公開予定、お楽しみに!
|
|
|
|
山下 治子
「月刊ミュゼ」編集長。フリーライターを経て、日本のミュージアムがもっと魅力的になってほしいとの願いを込めた専門誌「月刊ミュゼ」の創刊に携わり、94年より現職。著書に『ミュージアムショップに行こう!』(アム・プロモーション)がある。1959年福島県生。國學院大学史学科卒。
|