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■何が起きるか想定するのが第一歩
----学校における危機管理の基本を教えてください。
学校における危機管理は、企業の危機管理とはまったく別のものです。まず第一にすべきことは、シナリオ作りです。どんなおかしなこと、望ましくないことが起きる可能性があるか、考えられる可能性をすべてピックアップします。そしてそれらの対策を検討するのです。
学校の危機管理で大切なのは、一般的な危機管理の規範を個々の状況に合わせてどう適用させるか、ということです。それを徹底的に行い、たとえば机や椅子の配置に至るまで掘り下げる必要があります。
ところで、危機管理というと、外部からの侵入者に対する危機管理を真っ先に思い浮かべるかもしれません。しかし欧米では、いじめや生徒同士の暴力事件、先生によるハラスメントの方が大きな問題になっています。地域によっては、人間が起こす災害より自然災害が重要なところもあります。スイスとイタリアで私が扱ったケースでは、自然災害に対する対策が大きな比重を占めていました。
----欧米では、どこが中心になって危機管理体制の確立を進めているのですか?
体制の確立を進める母体はたくさんあります。まず学校自体、これは訴えられたくないという理由からです。それから子どもに不安を感じているPTA。最近では政府が主体になる例が増えてきています。コロンバインハイスクールで銃撃事件があったあと、コロラド州とネバダ州では法律で危機管理体制の確立を義務づけています。アメリカの教育省が予算を付けて、暴力と麻薬に対する対策を進めています。
■日常的な訓練が不可欠
----そうやって危機管理体制を作ったとして、それが正しく機能するかどうかはどうやって判定したらいいんでしょう?
それは実際に訓練をして試してみるしかありません。マニュアルというのは基本的な道具でしかありません。それを自分のケースに適応させ、試してみることです。それも日常的に訓練を行うことです。企業などでマニュアルを見せてもらって「メディア担当の方のお話を伺いたい」というと「ああ、去年退職しました」というんです。それではマニュアルがあっても何の役にも立ちません。
私が強調したいのは、日常的な訓練は絶対に必要だ、ということです。学校に侵入者があった場合を考えれば、子どもを安全な場所に避難させるか隔離することが必要です。保護者に通達するシステムを確立しておくことももちろん必要です。訓練には学校にいるスタッフ全員が参加することが大切ですし、近くの消防署、病院、警察などとも連携して行うことが必要です。外部組織との連携が訓練に入っていないと、実際になにか起こったときに危機管理のプログラムがうまく働かないからです。
----連携の中心は学校ですか?
危機管理センターをどこに置くかということもプログラムの一部です。学校に置いてもいいし、学校外も考えられます。学校外というのは、たとえば近くのレストランでもいいし、病院でもいいし、神社でもいいかもしれません。
危機管理委員会にはディレクターとサブディレクターが必要です。それにいろいろな仕事を分担したメンバーが加わります。ディレクターとサブディレクターは、どちらかひとりが常にいることが大事です。それからメディアに対応する広報係がいります。学校が大きい場合には家族や病院とのコミュニケーションを図る連絡係も必要です。
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