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東京都初の区立中高一貫校〜九段中等教育学、その魅力は?

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INDEX

●取材ルポ1東京都初の区立中高一貫校〜九段中等教育学、その魅力は?
●取材ルポ2 アニメ好き小学生集まれ!〜TBSキッズ・アニメワークショップ
●オススメ本
●つぶやき

取材ルポ 1

東京都初の区立中高一貫校
 〜九段中等教育学校、その魅力は!? 〜

九段中等教育学校校舎
鉄筋5階建ての真新しい校舎。エレベータも完備。屋上にはビオトープが!

 平成18年4月に開校した、東京都初の区立中高一貫校、九段中等教育学校。つい先ごろ行われた適性検査(入学試験)の応募倍率は、初年度を更に上回る、11倍という高倍率。公立の学力低下を懸念して、私立の中高一貫校への人気が高まる中、区立、つまり公立の中高一貫校ができたとあっては、人気が殺到するのも当然だろう。

 しかし、九段中等教育学校の魅力は、ただ「学力をつける」というよりむしろ、同校が掲げる教育理念「個性的自立」にも表されるとおり、子どもたちにさまざまな体験の機会を与えることにより、興味関心を広げ、国際社会で活躍できるコミュニケーション能力や表現力を身につけていく、全人教育にあるのではないだろうか。

 今回は、九段中等教育学校の魅力の迫るべく、取材にうかがった。(2月23日)

 個性的自立を促す「九段自立プラン」

掲示板
2階の職員室前に設置された、大型のプラズマディスプレイ。今日の予定がひと目でわかる。

 それが最もよく現れているのが、「九段自立プラン」と呼ばれる総合的な学習の時間。キャリア教育の視点に立ち、「コミュニケーション能力」「情報活用能力」「将来設計能力」「意思決定能力」の伸長を図るプログラムが週2回で組まれている。学習課題としては「環境」「福祉」「文化」「国際理解」の4項目を設定し、中高の6年間でスパイラルアップしていくよう計画されている。

 面白いのは、「文化」の発展的な学習として年間5回行われる「伝統文化」の時間。取材当日には、一年生が、「三味線」「笛」「大道芸」「茶道」「華道」「着物の着付け」「けん玉」の講座に取り組んでいた。

  大道芸1 着物着付け
 
伝統文化の講座でひときわ目を引いたのは「大道芸」。大道芸研究会の方々が講師を務める。生徒たちは、バナナの叩き売り、ガマの油売りの口上に挑戦。大声を出すのは恥ずかしいが、「発表会で舞台に立ったときは、すごく感動した」と参加の生徒たち。
着物の着つけ講座。指導者は理科担当の安川先生。「生徒の授業で見るのとは違う面を見ることができる。ほめてあげる機会がたくさんできるのが楽しい」どの講座も、先生自身も楽しんでいるようすが伝わってくる。
  和楽器 けん玉
 
最も人気が高かったのは笛と三味線。東京芸大の学生たちが指導にあたる。笛を選んだある生徒の声。「習い事では和太鼓をやっている。和楽器で日本文化のよさを広められればいいと思う」
選択の動機は「見た事はあったが、やったことがなかった。できるようになればいいと思って」
競技用の剣玉を使って練習中。けん玉検定を受けて合格した子もいる。
  茶道 いけばな
 
意外に男子生徒にも人気の茶道。選択の理由を尋ねたら「茶せんをまわすとき、心が洗われる気がするところが好き」とのこと。国語の後藤先生が講師。
菜の花、桃、など季節の花を思い思いに生けていく。中学3年の担任、荒川先生が担当。
東先生
1年4組担任の東先生
 廊下から大道芸の講座の様子を見守っていた1年4組担任の東先生にこの授業の手ごたえを聞いた。

「総合の時間を子どもたちは楽しみにしています。伝統文化の講座は、直接学習に関係ないかも知れないですが、興味関心の幅を広げるきっかけになると思います。本校は、勉強だけできるエリートを育てる学校ではない。幅広い体験が、新しい自分を発見する手がかりになるのではないでしょうか」
 地域の資産を活用する

創作劇
上演会に向けて、英語劇の読み合わせ中

 もうひとつ「文化」の発展学習として特筆すべきは「都市文化」の時間。千代田区という立地がら、周囲には大手企業や、在外公使館大使館、文化施設、大学等が集中している。それら地域の資産をフル活用して、企業訪問や博物館探訪、大学研究者による公開講座など、生きた体験学習が行われている。

 3年生では、さらに「創作文化」の時間が設けられており、英語劇を創作し、上演する。英語の脚本は、もちろん生徒たちの創作。演技指導には、プロの劇団員があたる。

 一貫校ならではのメリット

2年
課題探求合宿で訪れた関西について調べたことをプレゼンテーションソフトでまとめる2年生の生徒たち。「みんなと意見を言い合いながら一つのものを作るのはすっごく楽しい!」

荒川先生
荒川美奈子先生

 こうした総合学習で、社会に出てからも活躍できる人間としての素地が鍛えられていく。もちろん、学力についても一貫校のメリットを生かし、体系的なプログラムを立て、確実に定着させていく。

 九段中等教育校の開校前から、カリキュラムの開発メンバーとなって、九段自立プランを開発してきた荒川美奈子先生は、一貫校のメリットをこう語る。

「中高一貫校の一番のメリットは、高校入試で学習が分断されず、6年を通して計画的に授業を組み立てることができること。前に習ったことを何度も繰り返しながらスパイラルアップして学習することができるように計画しているので、生徒たちも取りこぼすことがありません」

 授業は常時公開が原則で、保護者たちはいちでも見学にくることができる。当然満足度も高く、学校評価アンケートでも好意的な評価を得ている。

「一年間、大きな失敗もなくうまくいってほっとしている」
と荒川先生。が、来年度からは、現在3年生の生徒たちが、4年生(高校一年生)になる。九段中等教育学校にとって、初めての高校学校の教育課程ということで、またゼロからのスタートだ。

 しかし、今回の取材で何より印象に残ったのは、先生たち自身が、新しい試みに楽しんで取り組んでいる姿である。それは必ず生徒たちに伝わるだろう。3年後、九段の子どもたちがどのような姿で巣立っていくのか、今から楽しみである。


取材ルポ 2

アニメ好き小学生集まれ!
 〜TBSキッズ・アニメワークショップ 〜


TBS  東京赤坂のTBSにて、「TBSキッズ・アニメワークショップ」が、1月27日、2月10日、2月24日の3回にわたって開催された。
本イベントは、TBSが運営する親子向けサイト「ブーブ☆キッズ」主催、東京大学先端科学技術研究センターNPO法人CANVAS協力によるもの。今回は、2月10日の様子を取材した。

 プロの指導のもとに、アニメを制作!

ブーブキッズ
ブーブ☆キッズのTOP画面
 参加したのは小学校4、5、6年の子どもたち20名。CGキャラクターデザイナー、番組制作プロデューサー、音響効果マンなど、プロのクリエイターたちの指導を受けながら、4人ずつのグループに分かれ、3Dアニメを作る。台本は、構成作家があらかじめ作っているが、ところどころセリフが空白になっている。そこに子どもたちが考えたセリフを入れてショートコントを完成させる。
青木輝勝
ソフトを開発した東京大学の青木輝勝講師
「教育で大切なことは、自ら学び、考え、それを発表すること。このソフトで、楽しみながら、ムービー制作に取り組み、発信能力を養って欲しい」と、話す。このソフトは、ムービー塾から無料で配布中。

 3Dアニメ制作に使用されたのは、東京大学先端科学技術研究センターの研究グループがNHK技研の技術をもとに開発したDMD(デジタル・ムービー・ディレクター:Digital Movie Director)というソフト。これを使えば、次のようなステップで、難しい専門的な技能・知識が一切なくてもアニメーションが作れてしまう。

1 舞台設定:あらかじめ登録されている「学校」「喫茶店」「砂漠」といった30の場面から選択。

2 キャラクター設定:これもあらかじめ設定されている「男子生徒」「女性先生」などのキャラクターを選択。今回は、TBSのCGキャラクターデザイナー山口さんがデザインしたオリジナルキャラクター、「ヤマ」と「トク」を選択

3 セリフ、動きを入れる:セリフの入力画面にセリフを入力。動きや表情は、「歩く」「ジャンプする」などあらかじめ用意されたパターンから選択

4 効果音、BGMを入れて完成

  入力画面
   再生ボタンを押すと、ついさきほど設定したとおりにキャラクターが動く。
 子どもたちは簡単な操作を理解すると、どんどんキャラクターを動かしたり、セリフをかき変えるなどして、オリジナルストーリーを作っていく。
  入力画面 製作中 製作中
 
キーボード操作も手馴れたもの。簡単な操作でどんどんとキャラクターを動かしていく。 自分が設定したとおりにキャラクターが動くと感動!
TBSスタッフ、CANVASのスタッフが、各グループのファシリテーターを務める。子どもたちからアイデアを引き出し、SE(音響効果)、BGM、なども盛り込みながら、オリジナルのアニメを作っていく。
カメラ、セリフ、音響、ディレクターなど担当を分け、協力して制作。 みんなで協力してものづくりをする、という経験も今回の狙いの一つ。

 「お勉強」以外の経験をさせたい

山口
今回使用したキャラクター「ヤマ」と「トク」をデザインした山口さん。
「身近にいる面白い人やできごとをもとに作るといいよ!」と、アニメ作りのコツを披露してくれた。

 子どもたちの制作の様子を遠目で見守る保護者たちに、参加の動機を聞いた。

「パソコンは自宅で日ごろから使っている。文章や絵は簡単に作れるが、それよりひとつ進んだことをさせたかった。インターネットもPCも好きなので、それらを融合させた創造活動をさせたかった。自分では教えられないので、こういうイベントがあると知って応募した」

「受験勉強もさせなければならないけど、こういう活動も大事だと思う。」

「子どもは、ものづくりが好き。インターネットも好き。アニメ制作は音楽や絵などいろいろな要素があって面白いと思った。こういう活動は、学校の勉強には役立たないかも知れないが、何かの学びになると思う」

など、「お勉強」ばかりではなく、創造力も伸ばしたい、という親心が垣間見えた。

  会場

 作り手の立場になってアニメを見ると面白い

 

 さて、3時間試行錯誤の末、アニメーションが完成。いよいよ発表タイム。 1分程度の短いコントだが、最後のオチでは、会場から笑いが起こる。「やった、ウケタ!」と子どもたちも満足げだ。

 日ごろよく見るテレビやゲームの表現手法を知らず知らずに身につけているのだろう、カメラ位置をアップ、ルーズ、俯瞰、仰角など、使い分けることで、より笑いの効果を高めているグループが多かった。たとえば、ギャグがうけなくてキャラクターが「ガーン」と言う時に、今までアップで捉えていたキャラの顔を、カメラをぐっと引いて遠景の中にぽつんと立っている姿に。それだけで、より「ガーン」というオチが引き立つ。

プレゼン
海野
TBSの番組制作プロデューサー海本氏。普段はバラエティ番組を担当

 5チームの発表の後、TBSの番組制作プロデューサー海本氏からの講評があった。

「効果音やBGMの使い方、カメラワークも意外に上手で驚きました。きっと、みんな面白いテレビをよく観て、自然に身についているのでしょう。

 技術はだれでも身につくので、アニメを作ること自体は簡単にできます。大事なのは構成力。つまり、この絵の次にどんな絵を持ってきたら面白いか、何を加えたらもっと面白くなるか、ということ。プロの仕事の現場でも、常にギリギリまで何度もやり直しているのがこの構成の部分です。これからTVを見るときも、どうしてこういう構成になったのか、作り手の立場になって意識して見ると面白いと思いますよ」

和田のり子
総合プロデューサーの和田のり子さん

 今回のDMDのように、手軽にアニメが作れるソフトが普及することで、子どもたちの表現力はさらに拡張するだろう。しかし、簡単にパソコンで作れてしまうからといって、個人の閉じられた創造活動にしてしまうのではなく、今回のように、共同作業の機会を提供することも大切だ。意見が分かれることもあるが、仲間たちとコミュニケーションしながら、ひとつのものをつくりあげていく、その難しさと楽しさも、子どもたちは学ぶことができる。

 今回の企画の発案者であり、総合プロデューサーの和田のり子さんは、
「これからは、メディア側が一方的に番組を作る時代ではない。子どもたちがどんどん作り手として参加できる仕掛けをつくりたい。」
と語る。

  今回子どもたちが作った作品はブーブ★キッズのサイト上(リンク先待ち)で紹介しています。また、「DMDを使って作ったアニメを投稿できるようにしたい」とのこと。子どもたちから、どんな作品が飛び出すのか、乞うご期待!


以下、高篠栄子の勝手なオススメ&つぶやきコーナーです!

おススメ本〜今月読んだ本の中からおススメ本をご紹介!

宇宙授業

中川 人司 (著)
出版社: サンクチュアリ出版 (2006/7/20)
価格: ¥ 1,470 (税込)



宇宙授業

著者は、元宇宙航空研究開発機構(JAXA)の職員で、高校教師になったという経歴の持ち主。

宇宙の予備知識が全くなくても、宇宙人って本当にいるんだろうか、宇宙に果てってあるんだろうか、などなど思いを馳せる人は多いだろう。そんな素朴な疑問にわかりやすく答えてくれる。

たとえば、宇宙人って本当にいるのかについては、今のところ見つかっていないけど宇宙に向けてメッセージを送るなど、まじめに宇宙人を捜している人たちがいる、とか、宇宙にごみを捨てられるかについては、太陽にゴミを捨てれば地球1コ分でも簡単に処分できるけど、100億円かけてロケットを飛ばしても運べるのはゴミ4トン程度、とか、瞬間移動(テレポーテーション)は理論的には可能だけど、いったんブラックホールに吸い込まれると宇宙船も人間も粉々になってしまうので実用的でない、など、へぇ〜〜の連発。

そういえば、学校で宇宙について勉強することって意外に少ないですもんね。子どもとも楽しめる一冊だと思います!


今月のつぶやき

★フレーベル館より『親子できたえる防犯力―親子の会話が、防犯の第一歩! 自分で考え、自分で身を守る子どもを育てるために』を出版しました! 家族の会話によって、子どもの防犯意識を高め、自分で考えて自分で危機回避ができる子どもを育てることを目的に書いた本です。小学校新一年生、低学年のお子さんをお持ちの保護者の方にぜひオススメします!

★今月をもって、「高篠栄子の教育現場ルポ」のコーナーは終了いたします。取材にご協力いただいた皆様、ありがとうございました。また、長い間ご愛読いただきありがとうございました。またどこかでお会いできることを楽しみにしています!



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